カミナシ 広報PR 宮地正惠 Miyachi Masae

連載④カミナシ広報PR・宮地正惠さんと考える「共感からファンへ!note発信の力」

こんにちは。営利と非営利、両分野で頼られるPRパーソンになりたい麓(ふもと)です。全6回でスタートアップの広報PRについて連載しています。今回はnoteの運用について、現場DX プラットフォーム「カミナシ」を提供する株式会社カミナシのPR、宮地正惠さんにお話を伺いました。

宮地 正惠
Miyachi Masae

株式会社カミナシ / 広報PR

【Profile】BtoB企業を中心に、ベンチャーでの広報の立ち上げを複数社経験。広報歴通算13年。 カミナシのミッションに強く共感し、2020年6月より参画。ひとり広報として、広報戦略からメディアリレーションのほか、事例取材、noteでの発信など、プロダクト、コーポレートの両面から広報を担当する。
Twitter:https://twitter.com/MasaeMiyachi

スタートアップひとり広報の自由と孤独

―広報PR歴が13年とベテランですね。お仕事をどんな風に掴んでこられたのですか?

広報PR歴の始まりは20代後半ですが、実は30代が暗黒期だったんです。30代の時に職場環境や会社都合の問題から数回転職したところ、最終的にPRではない職種になってしまって、PRの仕事ができない時期がありました。今となっては笑い話ですが、PR職に戻りたくて必死で転職回数だけを見ると一見堪え性がないと思われてしまう、いわゆる“ジョブホッパー”の経歴になってしまったのにも悩みました。2015年末からカオナビというスタートアップにPRとして入社することができて、ようやくカムバックしたのです。

―スタートアップの広報PRにもなってから、どんなことをされていますか?

これまでほぼずっとひとり広報としてやってきて、はや8年目になります。広報機能の立ち上げを行う場面も多く、自由にできて嬉しい反面、1人しかいない孤独も味わっています。スタートアップ広報3社目として、2年前にカミナシの当時10人目の社員として半ば無理矢理(笑)ジョインしました。
メディアリレーションやnote編集部の立ち上げなどをしています。今はカミナシも社員数70名を超えたのですが、広報PRは現在も正社員は私1人のみです。やっと2人目広報を採用しようかという流れになっていますので、ご興味ある方はぜひお問合せください!

―カミナシの事業のフェーズに変化があるのですね。広報PRの役割にも変化があるのでしょうか?

はい。社員数が増えて、人事もマーケティングもそれぞれチーム化されました。広報の機能も採用PRから事業PRへと注力することになり、これまで採用PRという位置付けで運用していたnoteとPodcastを、この10月にHRへ移管して今後ブラッシュアップしていく予定です。私は事業PRに注力することになります。

これからは自分達のストーリーを伝えるということを、メディアを通じて伝える役割になります。今は年明け以降にリリース予定のニュースが複数あるので、その発信準備に追われています。事業PRとしてカミナシのニュースの発信を増やし、採用にも寄与していきたいですね。

愛社精神全開!カミナシのnote発信を全力オープン

―カミナシのnoteはひとつ読むと次!次!と読み耽ってしまうほど、社員の皆さんの愛社精神とサービスへの熱意が溢れていることに惹きつけられます。

ありがとうございます!会社のバリューに「全開オープン」と「外向きベクトル」というものがありますが、バリューに定める前からそういったカルチャーは既にありました。私が入社してすぐに『カミナシnote編集部』を立ち上げましたが、その前から社内に経営層を含めnote発信者が何人かいたのです。加えて、2020年6月『カミナシ』サービスローンチ前日に代表の諸岡が公開したnoteの反響が大きく、「noteで書くと良いことがある」というのは社内で共通認識になっていました。

―そのnote発信文化に宮地さんがブーストをかけたということでしょうか。

当時、採用PRに力を注いでいたので、入社エントリは特に書いてほしいと思っていました。ジョインした人がいたら1on1して、「あなたの経歴のここが面白いからここをフィーチャーしたnoteを書くといいと思います!ぜひ書いてみましょうか」と励ますというか…せっせと“noteハラスメント”をしていました。笑

入社直後に『カミナシnote編集部』を立ち上げましたが、実は公開したnoteのほとんどは社員の皆が書いてくれています。編集部としては、社員インタビュー、月刊カミナシ、数ヶ月に1本の企画記事くらいしか出していません。

―宮地さんご自身が強くお感じのカミナシの魅力を発信する場に、noteを選んだ理由は何ですか?

当時noteというツールが盛り上がっていた、というのもありますが、作りがシンプルで企業や社員の想いが伝わりやすいツールだと思っています。特にスタートアップにとって重要な開発者の想いやストーリーをしっかりと伝えられると感じます。採用PRに留まらない幅広い使い方ができるのも魅力的です。

公開した記事を企業の情報資産として考えると、過去記事が埋もれない作りになっているのは嬉しいですね。SEOに強いのもそうですし、カミナシのnoteの中でも検索やマガジンで過去記事も見てもらいやすい仕組みが充実しているなど、機能的なメリットが多いように思います。

―noteにはツールそのもののファンがいますものね。

そうなんです。note自体が好きな方々がいてくださって、カテゴリごとのおすすめなどからの流入も見込めるのはありがたいです。転職目的でなくとも記事を見つけてもらえて、企業のファンが増える可能性があります。オウンドメディアとしての可能性を推して、経営陣にpro契約の提案をして了承をもらい、最初からnote proで運用しています。

―note運用の効果はどうやって測定していましたか?KPIの置き方が難しいかと感じるのですが。

立ち上げ当初はとにかく継続することを目標に、週に1本、月に4本を継続するというアクション指標のみで、細かなKPIは置いていませんでした。noteでもブログでも1ヶ月や2ヶ月では成果は出ないことは経営陣もわかってくれていて、とにかく続けていこうと話し合っていました。

徐々に本数が出せてきた頃にnote proのセミナーに参加しました。登壇した企業さんが先行事例として「1ヶ月にスキが50ついたらすごい、100以上ついたらエクセレントだ!」とおっしゃっていて、それをひとつのKPIとして持ち続けていました。
ただ、当時まだ10名だったカミナシにとっては「50スキ」はとても大きな意味を持ちましたが、70名以上に増えた今は、社員全員がスキを押してくれちゃうと70スキになってしまうので、ちょっと測定が難しいなとHRと話しています。

社員を巻き込む!「note・ブログまつり」成功は準備が決め手

―カミナシの発信が盛り上がる名物イベントに「note・ブログまつり」がありますが、どんな狙いで開催したのでしょうか?

「note・ブログまつり」は、昨年2021年秋に初めて開催し、2回目が今年の春、そしてちょうど今3回目をHR主催で開催しているところです。チームごとにnoteを書いて公開し、発信カルチャーを盛り上げるための社内イベントとして行っています。実行できたという実績だけでなく、結果として社外の方から「カミナシはnote発信を頑張っている」「カミナシのnoteはすごい」と言っていただけるようになりました。

経営陣のフォロワーも多く、そこから波及して社員のnoteも読んでくださいます。記事を書いた本人にとっても、これまで取り組んできたことを執筆するのでキャリアの棚卸ができて、良いこと尽くしになっています。

―「note・ブログまつり」を盛り上げるコツをお聞きしたいです。

とにかく準備を念入りに行うことだと思っています。noteのビュー数やスキの数でポイントが入るようにルールを決め、4人ほどのチームで競い合います。回を追うごとに盛り上がるようになりました。

チーム分けから気をつけて、note発信に熱心な人、音頭をとってくれる人を各チームに散りばめて配置します。部署ごとに分けるのですが、チームごとの盛り上がりの差はどうしてもありました。2回目の開催は初回の反省を活かしてブラッシュアップし、途中経過報告を織り交ぜながら…すると、途中から書き始めてくれるチームも増えて、最終結果はすごく盛り上がりました。

また、記事の質を上げるという点でも気を配りました。カミナシの社員はみんな自社や自社サービスへの愛情がしっかりあって、書くことへのモチベーションは元々あるので、文章の作り方などTips的なことを共有し、文章を推敲するための壁打ちも惜しまずに行いました。

―まさに日々の気配りこそが成功の秘訣ですね。イベント成功によって社内に起きた良い影響を教えてください。

それまでは地道な活動だったnote発信をイベント化して、社内みんなで楽しめたことそのものが良かったと思います。社内に「書く文化」が根づきました。さらに採用面談などで「あのnote読みました」と言われることが増えて、「noteいいじゃん!」「noteを書くと想いが伝わる」という成功体験が社内全体に伝播しました。まつりの時期でなくても、私が”noteハラスメント”をしなくても「書いていこう、発信していこう」というカルチャーが根付いてきていて、とても嬉しいですね。

宮地さんの思う、スタートアップに必要なPRパーソン

―幅広い業務に取り組む必要があるスタートアップのPRパーソンですが、宮地さんはどんな人が向いていると思いますか?

スタートアップに限らず、広報PRって、コミュニケーションという武器を使って企業の経営課題を解決する活動だと考えています。特にスタートアップにおいては、世の中の当たり前とされることに一石を投じるという心構えも必要となってきます。社会に広く認知変容を起こすのが、私の考えるスタートアップのPRパーソンの最終目標です。

そのための行動を起こせる方が、スタートアップのPRパーソンに向いていると思います。1人目広報は未経験でも問題ないとも思いますが、絶対に譲れないのが、自社と自社のサービスが大好きで熱意を持って語れる人であることです。愛情と情熱に、意志をかけ合わせて行動できる人に、スタートアップのPRパーソンとして参画してほしいですね。

現場DXプラットフォーム『カミナシ』の魅力と今後の展望

―最後に、『カミナシ』の魅力と今後の展望についてお聞かせください。

今までにないサービスだ、ということが第一の魅力だと考えています。デスクを持たずに働くノンデスクワーカーの才能を解き放つ、というミッションに真っ直ぐに向き合ったプロダクトと事業に、私自身が大きな魅力と可能性を感じています。

現在、現場DXプラットフォームとして「紙を無くす」切り口のプロダクトを提供しているカミナシですが、将来はプロダクトの幅を広げて、現場で働く方々が必要なツールを全部取り揃えたSaaSへ進化していきたいと考えています。世の中の「現場DX」を後押しする企業を目指していきます。。

―『カミナシ』はまさに社会全体をトランスフォーメーションしていくサービスだと思います。今日は学び深いお話をありがとうございました!

株式会社カミナシ

現場のムダを削減し利益を生む現場づくりを実現する「現場DXプラットフォーム」
手書き情報のデータ化から集計、報告など、これまで紙やエクセルで行っていた事務作業やルーティンワークをデジタル化し、一元管理を可能にします。製造や小売り、飲食、物流などのあらゆる業界で、ペーパーレス化、業務効率化、働き方改革をサポートし、現場DXの実現に貢献しています。

https://corp.kaminashi.jp/

番外編 ~ネコ好きに悪い人はいない?!~

神成:宮地さんのTwitterのヘッダー、可愛いですね。飼い猫ですよね?

宮地:はい、うちに5匹います。2匹も3匹も一緒だと保護猫を受け入れていたら、5匹になっていました!

麓:うちにも保護猫が5匹います!助けを求められると断れない一家です。

神成:私たち「チーム 猫」ですね!私も実家に1匹カワイ子ちゃんがいて、メロメロです♡「猫好きに悪い人はいない」が私の持論なんです(笑)

―オンライン取材をさせて頂く最中に、宮地さんのお宅のネコちゃん(レオくんとルビーちゃん)が顔を出してくれました!かわいい

次回予告

次回は「発信するだけで終わらない、プレスリリースの書き方」をテーマに、対談記事をお届けする予定です。お楽しみに!

【編集後記】

私自身が両親経営の縫製工場を手伝って育った経緯があり、生産現場の「紙か個人の記憶に頼る危なっかしさ」を思い起こしながら、宮地さんのお話をお聞きしました。これこそが社会を一気に変革し、多くの方々の働きがいを掘り起こすSaaSだと思います。今回は、noteの運用と魅力についてだけでなく、広くPRパーソンの社会における役割までもお聞きすることができ、身が引き締まる思いでいます。学び実践し行動していこうと思います。最後まで読んでいただきありがとうございました。(ふもと)


取材日:2022年11月4日  
文:麓 加誉子  
編集:神成 美智子  
プロフィール写真:カミナシ提供

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