Vol.45 株式会社ワンキャリア・寺口 浩大さん・諸角 早智さん

第45回は、ワンキャリアにてPRパーソンとして活躍する経営企画部 広報・PRチームEvangelist寺口浩大さんと、同チームCo-Creation Director諸角早智さん。

PRは「ずっとやり続ける必要があるもの」だと語るお二人。理由は、会社の規模が大きくなって世の中にインパクトを残していくフェーズになった時に、いきなり仲間になってもらうことは難しいから。「PRは1日もさぼっちゃいけないし、できた仲間との対話はやめてはいけない。」と言います。

その考えのもと、周りのステークホルダーと共に次々とPR企画を生み出されています。PR TIMES社と業務提携(*1)を行い、採用担当者と学生の本音の対話を目指すプロジェクト「採用の作り手たち」(*1)をリリースした他、次のキャリアが見える、転職サイト「ONE CAREER PLUS」の「年末だし、キャリアを話そう」キャンペーン(*2)ではスタートアップ40社超、大手企業50社超のキャリアパスを公開するコンテンツ「キャリアの地図2022年ver.」や国内最大級の音声メディアVoicyとのコラボ企画「あの時キャリアは動いた」を公開。
*1:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000079.000035321.html
*2:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000088.000035321.html

なぜ、社内外を巻き込み、沢山の企画を創り上げていくことができるのか。
そこには、多様な立場の人たちと対話をしながら新しい価値を「共に」「創る」こと=「コ・クリエイション」の考えがベースにあり、実践されていることが分かりました。
PRパーソンのお二人の思考・マインドセットに迫るとともに、コ・クリエイションの具体例も明らかにします。

寺口 浩大 Teraguchi Kodai / 経営企画部 広報・ PRチーム Evangelist

兵庫県生まれ。京都大学工学部卒業。リーマンショック直後、三井住友銀行に入行。企業再生、M&A関連の業務に従事したのち、デロイトで人材育成支援に携わる。現在、株式会社ワンキャリアでEvangelistとして活動。「#ES公開中」「#令和の就活ヘアをもっと自由に」など、PR発想で社会が前向きに動くソーシャルムーブメントを仕掛けることに夢中。2021年6月にリリースされた「ONE CAREER PLUS」において、「キャリアの地図」をつくるプロジェクトを進めている。諸角さんが来てくれてPR人生が変わり始めている。

諸角 早智 Morozumi Sachi / 経営企画部 広報・ PRチーム Co-Creation Director

慶應義塾大学総合政策学部卒。新卒で株式会社リクルートキャリア(現:株式会社リクルート)に入社。就活情報メディア「リクナビ」の合同企業説明会事業を担当。コンテンツ企画や学生集客等マーケティング・プロモーション業務を5年間担う。転職スカウトサービス「リクルートダイレクトスカウト」の立ち上げ・プロダクト開発(PdM)を担当したのち、2022年5月にワンキャリアへ入社。コーポレートミッションである「人の数だけ、キャリアをつくる。」の達成に向けたPR企画の立案を担当。スタートアップに人が流れるエコシステムの実現に向けても構想中。

カテゴライズしない、全ての人をフラットに見る

NovolBa 西:数々の企画を繰り出され、活躍されるお二人がPRパーソンとして意識されていることをお伺いしたいです。

ワンキャリア 寺口 :コ・クリエイションに必要な「一体感」はどう生み出すか。それは、相手目線や自分中心ではなく、「場」を主語にする意識が重要です。今日の取材だったら、ここにいるみんなが良かったと思えることがベストですよね。だから、基本「We」を主語に、自分視点でなく、少し俯瞰した目線でその場を捉えることを大切にしています。

Weの視点があると、「一緒にやっている」という一体感が生まれます。それが結果、コ・クリエイションを生み出していくことにも繋がるのだと思います。

波に乗った、PR TIMES社とのコ・クリエイション

西:先日、PR TIMESさんとの企画「採用の作り手たち」をリリースされましたが、これもまさにコ・クリエイションから生まれたものですか。

ワンキャリア 諸角:企画の発端は、就活は本来、「個人と個人のコミュニケーションの場」のはずなのに、まだ多くが「企業 対 学生」「法人 対 個人」という関係性になっている。それってなんでだろう?という疑問からでした。そこでまずはできることからということで、自社で企業人事の方の想いを顔写真付きで出すプロジェクトを企画しました。

西:その企画は、どのような経緯でPR TIMESさんと一緒にやることになったのですか。

寺口:もともとはPR TIMESマガジンのライターさんと編集長との雑談で「何か一緒にやりたいですね」と妄想レベルで色々なアイデアについて話をしていました。その後、PR TIMESさんが運営するメディアで私が取材を受ける機会がありまして。その記事を山口さん(PR TIMES代表取締役社長)が見て下さったタイミングで「具体的な企画を提案してみよう!」と持ち掛けました。

企画を作る上で、“タイミング”はとても大事だと思います。ただ、狙っているわけではないです。例えると、スナイパーみたいな狙い撃ちではなくて、「波乗り」みたいな感覚に近いです。

諸角:波乗りのベースにあるのは、いろいろな人に会いに行くことです。
私たちは「お散歩」と呼んでいるんですが、イベントに呼んで頂いたりもしますし、自分からイベントに参加することもあります。「お散歩」を日常的にする中で出会った方々と意気投合して、仲良くなる。そうすると、自然にWeを主語にして会話できるようになります。初めましての時は、私とあなた、いわゆるIとyouの出会いかもしれないですが、話していく中で、「私たち」「俺たち」のWeで意気投合できるようになります。そうするとその場が解散しても、家に帰ってから「すごく楽しかったな、あの人と今後一緒に何かやりたいな」みたいな妄想が始まるんです。そういった中で、波が来た時に妄想していたものをお伝えする。そうすると今回のような企画が生まれるんですよね。スタートアップもWeの考えをもってPRをしていくことで、思わぬ企画や発想を実現できると思います。

波を待つのでなく、お散歩をしながら波を作っている感覚。自分たちだけで頑張って波を作るのでなく、皆さんとお会いし、意思が集まることで、渦ができて、大きな波を作っていけていると思います。

企画の実現可能性は無視する

西:魅力的な企画を次々と繰り出すお二人ですが、企画を考える上で大切にされるポイントは何ですか?

寺口:「こんなことできたらいいよね」って、ずっとブレストしています。考える時、実現可能性は無視することも大切ですね。出来ないことはあとから畳めばいいので、最初は風呂敷をこれでもかってくらいに広げて妄想する感じです。

諸角:それこそ「お散歩」でフットワーク軽くいろいろな人に会いに行って話す中で「面白そう」と思えるものが出てきたら、せっかくだったらそれを実現したい!と企画を考えます。そこには「相手のために」という気持ちはなく、それぞれの意思を合わせていくという感覚があります。

だからこそ、企画内容はもちろんですが、「それをどのくらいやりたいのか」という意志の強さが一番重要だと思います。ちょっとやってみたいだけなのか、やらないと夜も眠れないほどのものなのか…。強い意思が集まると実現に向けた大きな原動力になりますし、なにより面白い企画になるのだと思います。

コ・クリエイションには、ありのままの「意思」が必要

西:そういった「強い意思」を持つ方を見つけることで、コ・クリエイションを生み出してこられたのでしょうか。

諸角:意思を持っている人を「見つける」というよりは、「本来はみんな持っている」と思っています。ただ、環境的に表に出せていなかったり、会社内で発言しても仕方ないと、飲み込んでしまっている人はいます。意思を発信できる人とできない人がいる理由は、個人対個人の話をしているかどうかだと思います。会社を主語にして話すと難しいことも「あなたはどう思ってるの?」という視点で聞くと、「実はこういうことがしたくて」とか、「こういう思いがあって」など、みんな内から出てくるんです。個の意思が集まって、形創っていく、まさに「コ・クリエイション」を行う上で重要な意識です。

寺口:自分の内側から沸き出る意思ほど強いものはないと思うんです。
赤ちゃんの時ってみんな叫んで生まれてきますよね。でも成長するにつれ、「今泣いたら親を起こしちゃうかな」とか考えてしまうようになる。もちろん世の中や周りの環境に合わせることも必要なんですが、社会に過剰適応してしまっている人も多いと思います。
赤ちゃん返りするわけではないですが、周りの目を気にしていなかった赤ちゃんや小学生の時のように、「自分の意思」を表だって発信することは重要だと思います。考えや想いを発信することで、そこに人が集まり、コ・クリエイションできる世界が実現できると思います。

「自由演技」である、PRパーソンに必要な要素

西:ここまでの話を踏まえて、お二人が思うPRに向いている人の特徴をお伺いしたいです

寺口「Weの視点が持てること」。ベースに「みんな違ってみんないい」という個を大事にする考えがあること。この2つだと思います。

諸角:評価や比較ではなく、個人 対 個人としてコミュニケーションが取れること。違いを受容でき、違いを楽しめるマインドがある人は向いていると思います。

寺口:あとは、“公私循環”な人や、“公私循環”を楽しめる人。僕も昼間に友達とランチしているときも、これはプライベートだ!仕事だ!と自分で枠を決めていません。公私が循環しているので、仕事で仲良くなった人と友達になってもいいし、友達の仲が仕事に繋がってもいいなと思っています。

諸角:仕事・プライベートで分けず色んな方々と関わり合うことで、新しいアイディアや気づきを得ることができ、PRの企画に繋がっています。PRは一つのこれという型があるのでなく、日常の関係性から生まれてくるものだと思います。

寺口PRって、一言でいえば「自由演技種目」だと思うんですよね。「あらゆるステークホルダーと持続的に良好な関係を構築していくこと」が仕事なので、そのやり方や過程は自由でいいと思います。

「コ・クリエイション」をテーマにイベント開催!

“株式会社ワンキャリア登壇 コ・クリエイション企画の作り方”

沢山の企画が生まれる背景に迫った今回の取材。今月開催されるイベントでは、コ・クリエイションの他の具体例も交えて、更に深堀っていくセッション、自社のPRに落とし込んで考えていくワークショップを開催します。交流会も行いますので、ぜひご興味ある方は下記よりお申込みください。

株式会社ワンキャリア

社名   :株式会社ワンキャリア / ONE CAREER Inc.
本社所在地:東京都渋谷区桜丘町 20-1 渋谷インフォスタワー 16階
設立   :2015年8月18日
代表者  :代表取締役社長 宮下 尚之
事業内容 :キャリアデータプラットフォーム事業(採用DX支援サービス、その他)https://onecareer.co.jp/


【編集後記】

はじめてお会いした日のお二人のチーム感がとても印象的でした。誰に対してもフラットなお二人だからこそ、話していると「寺口さん、諸角さんと一緒に何かやりたい!」を思います。今回の取材もNovolBaで開催したイベントに“お散歩”しに来てくだったことがきっかけでした。お二人で取材受けられるのははじめてとのこと!ばっちり素敵なユニット感ある写真を納めさせて頂き、嬉しいです!お二人が大切にされるコ・クリエイションの考えはPRに留まらず、事業・組織を広げていくために非常に重要な考えだと感じています。皆さんもぜひ実践してみては。(原康太)


取材日:2022年10月27日
インタビュー
西 可菜子
編集:原 康太
写真:原 康太

最新情報をチェックしよう!