Asobica アソビカ 今田孝哉 Imada koya  Coorum

Vol.052 株式会社Asobica / 代表取締役・今田 孝哉さん

「スタートアップと共に歩んでいきたい」という想いから立ち上がった、スタートアップの挑戦に”光”を当てるWebメディア『WITH by NovolBa』。
第52回は、ロイヤル顧客プラットフォーム「coorum(コーラム)」を運営するスタートアップ、株式会社Asobica代表の今田孝哉さんに、スタートアップの事業や組織の作り方と、その根幹となる考え方と体験をお話しいただきました。

「遊びのような熱狂で、世界を彩る」をミッションに、効率化の先の「心が豊かになる体験」を追求し、ロイヤル顧客プラットフォーム「coorum(コーラム)」を運営するAsobicaは2018年創業、急成長中の注目企業です。

  
Asobica アソビカ 今田孝哉 Imada Takashi Coorum
  今田 孝哉  
  Imada Koya 
  株式会社Asobica / 代表取締役CEO

【 Profile 】2015年ファインドスターグループに入社。CS領域におけるSaaSサービスの立ち上げに従事し、500社以上のカスタマーサクセス部門を支援。その後2018年2月に株式会社Asobicaを創業し、2019年4月には30歳以下のアジア次世代リーダー「Forbes Asia Under30」に選出。

 

事業も組織も逆算で創る

NovolBa鄧雯今田さんは新卒当時から起業を志向していたようですが、どういう想いでAsobicaを創業されましたか。

人生50年を懸ける価値ある事業を創りたい

Asobica今田まず一番最初に決めたのが、次のチャレンジに人生の残り50年を賭ける、というものでした。すると決めた途端に思ったのが、あってもなくても変わらない会社や事業に自分の残りの人生をかけたくないということでした。どうせ人生をかけるなら世の中にとって大きな価値を生み出せるチャレンジがしたい。具体的には、数万人の雇用を生み出し、業界のあり方を定義し、いわばインフラになるような無くてはならない事業・会社を作ろうと思いました。 

これまでの産業革命やテクノロジーは時間の短縮化や効率化を多くもたらしました。今や意思決定するための時間すらもデータやAIによって短縮化されはじめています。

加えて価値の変遷も起こっており、モノの価値が薄れ、体験の価値が増しています。これら2つの変化を踏まえると、夢中になる体験や熱狂する体験の重要性がより一層増していく未来が来るのではないかと考え、自分たちは世界で一番心の豊かさを満たす企業になろうと決めました。

成長+協力できる環境=働くのは楽しい

まさに逆算思考ですね。組織についてはどうお考えですか。

今田組織づくりの起点はミッションです。「遊びのような熱狂で、世界を彩る」というミッションを実現するためにも、まずは働いている自分達が働くことに対して熱狂する状態、あるいは楽しく働ける状態を作りたいという想いがベースにあります。

 楽しく働くためには、2つの条件があると考えていて、1つ目は「一人ひとりが成長できる環境」です。そのため一人ひとりの意思決定の機会を増やすために、ボトムアップ型の組織を意識しています。採用においても主体性が高いかどうかにこだわって仲間集めをしています。2つ目は「協力できる環境」です。一人で成し遂げられる仕事のサイズには限りがあるので、部門を横断して協力できる仕組みを作っています。この2つの視点で施策を具体的に落とし込んでいます。

Asobica アソビカ 今田孝哉 Imada Takashi Coorum

 

変化し続けられる組織は強い

どんな組織が強いと思いますか?

今田外部環境が変化する中でも、ミッションやバリューを中心に、一人ひとりがスピード感を持って主体的に意思決定できる組織は強いと思います。既存事業を超えるような事業・プロダクトが社内から起案され次々と再現性を持って生み出されていく組織であれば、どんなに時代が変わっても常に非連続な成長を実現できるのではと思っています。

「100人の壁」の乗り越え方

組織の成長過程でよく言われる「100人の壁」はあったのでしょうか。

今田100人前後で一人ひとりの認識を揃えることの重要性と難易度がグッと上がった感覚がありました。社員30人くらいまでは0→1に長けている人が多く、フルスタック型*で柔軟性のある人が集まりやすい印象があります。そこから人数が増えて徐々に部署が細分化されて専門性の高い人が増えると、経験や価値観が異なるメンバーが増え、様々な視点や立場で意見が出るようになり、すり合わせの議論に時間がかかるというシーンが多くなっていきました。 

そこで3年後のビジョンを考える機会を作り、全員でアップデートを行いました。一人ひとりが主体性を持ってアウトプットすることで、それぞれの解像度が格段にあがり、腑に落ちるので実行力も上がる。意思決定をする上での社内のコミュニケーションコストも減らすことができました。

*複数の技術分野において、知識・スキルに深い理解があること

逆境こそチャンス 〜大学時代ダンス部立ち上げ

これまでのお話を聞くとまさに、ゴールからの逆算と物事の本質をとらえて考えている印象ですが、そのような思考に至る原体験はあるのでしょうか。

今田大学時代のダンス部立ち上げの経験は価値観が180度変わった大きなものです。部を立ち上げたのはいいものの、何しろ人が集まらないのです。チーム競技なのに3ヶ月も4ヶ月も1人。自分は「大学で一番大きな部活を作る!」などと宣言しているので、恥ずかしいし、孤独だし、今考えると甘いですが、すごく凹んで挫折と逆境の体験でした。

そこからやり方を変えてみようと「無料レッスンします!」を売り文句に変えてみたところ、後々コアメンバーになる2人が参加してくれて、その後70名まで増えました。逆境こそ長期的に見ると大きなチャンスだと学びました。今の自分の考え方に大きく影響を与えた経験でした。

元々は1人で一番を目指す人生を模索していたのですが、これらの経験から、自分1人でやることのちっぽけさと限界を知りました。仲間を集めてチームでコトを成すことによって、多くの人が喜んでくれる。与えられるインパクトの総量が圧倒的に大きいことを痛感した出来事でした。

Asobicaの事業ピボットは最大のターニングポイント

創業してからもそのような逆境はありましたか。

今田Asobicaでも事業をピボットする前後で社員の多くが辞めていった時期がありました。

創業当初は今のAsobicaとは別の事業案があり、まずそこから手掛けて、結果が出なかったら半年で見切りをつける前提でスタートしました。しかしユーザーも増え、うまくいっているように見えましたが、マネタイズの難しさを感じ、事業のピポットを決断しました。

当時自分以外に5名の社員がいましたが、1名を除いて全ての社員が退職する形になりました。Asobica現CCOの小父内が週2日でジョインしてくれたのはその頃です。ある休日に呼び出されて「週7日でやる」と宣言され、辞める話だと思い込んで会いに行ったので驚きました。後日「なぜあの頃ジョインする意思決定をできたのか?」と聞いたところ、「人も資金も無い状態の中で今田くんだけが諦めていなかったので逆に燃えてきてしまった」とのことでした。小父内はAsobicaにとってかけがえのないキーマンですし、そこから二人三脚でやってきましたね。

当時は大変なことも多かったですが、自分の人生を振り返るとそういった時こそ大きな転機になっているケースが多いので、この機会を成長の機会に変えようと考えていました。5年後、10年後に必ず、あの頃の変化や努力があったからこそ大きな目標を実現することができたと思える日がくるはずだと。当時の自分に諦める選択肢が無かったのは、大学のダンス部での成功体験が導いてくれたマインドだったと思います。

Asobica アソビカ 今田孝哉 Imada Takashi Coorum

 

すべては“顧客中心の経営をスタンダードにする”ために。

最後に、今後の展望を教えてください。

今田2026年までに、「顧客中心の経営をスタンダードにする」というビジョンを実現したいです。これまでは一方通行で企業中心のアプローチが多く、マスプロモーションに頼る経営がスタンダードだったように思います。一方で国内では人口が減少し新規獲得の難易度が上がったり、消費者側の意思決定のあり方も広告からSNSを主体とした形に変化しています。そのため、今後はより一層、既存顧客やロイヤル顧客を大切にしながら、彼らの声やインサイトを軸にあらゆる意思決定を行っていくような、顧客中心の経営に変化していくべきだと考えています。

そのためにも、あらゆる企業が自社のロイヤル顧客の特徴やニーズを常に深く理解できる状態を作り、質の高いマーケティング施策や商品開発を実現できる状態を作りたい。ロイヤル顧客のデータを起点に、あらゆる部門の意思決定のあり方を再構築する事ができれば、本当の意味で企業にとっての必要不可欠なインフラ・OSになれると思っています

お客様の思いが経営の判断軸になるということ、それもまさに持続可能な経営に繋がりますね!今日はありがとうございました!

 

株式会社Asobica

顧客との繋がる場を提供し、顧客を徹底的に見える化・分析するカスタマーサクセスプラットホーム「coorum(コーラム)」を運営。

遊びとは”熱狂”。一方通行ではなく顧客と向き合う企業をもっと世界に増やす。そして世界を”熱狂”で面白くするために挑戦し続けています。

ウェブサイト:https://asobica.co.jp/

 


取材日:2023年10月13日
インタビュー・編集:鄧

文:麓 加誉子
写真:原 康太

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