Zenyum Japan 伊藤祐 Ito Tasuku

Vol.041 株式会社 Zenyum Japan・代表取締役 CEO  伊藤 祐さん

第41回は、アジアの9つの国と地域で透明マウスピース矯正を展開するシンガポール発スタートアップ『Zenyum(ゼニュム)』の日本法人、株式会社Zenyum Japan代表取締役 兼 CEOの伊藤 祐さんにインタビュー。英語を使ったキャリアの築き方から外資企業で働く時に気を付けたいことなど、グローバルに活躍する伊藤さんの興味深いお話を伺いました。

伊藤 祐 
Ito Tasuku
株式会社Zenyum Japan
/代表取締役 兼 CEO

【 Profile 】慶応義塾大学・経済学部卒。新卒でアクセンチュアに入社し、シンガポールやフィリピン等でビジネスプロセス改善のプロジェクトに従事。2016年にフロスト&サリバンジャパンに転職。2019年からOYO Japan(現:Tabist)で全社戦略の策定および推進、営業戦略の立案等を主導。現在はシンガポール発の歯科製品ブランド『Zenyum』の日本法人代表として、ビジネス拡大を主導。

約3年でアジアの市場を席捲するシンガポール発スタートアップ

NovolBa 神成:伊藤さんは歯並びが良いですね。自社の商品で矯正されたんですか?

Zenyum Japan 伊藤 :実は絶賛矯正中でして、今は15枚目を装着しています。スタンダードなタイプは10日ごとにマウスピースを変えながら20枚で完了するので、終わりに近づいています。

神成:透明だから全く目立たないですし、もう十分キレイな歯ですね!
Zenym(ゼニュム)はシンガポール発の会社だと思いますが、社名はマレー語のSenyum(スニュム/笑顔)からきているのではないですか?

伊藤:よくご存じですね!ドイツ人のJulian Artopeが2018年にシンガポールで創業して「Make Asia Smile More」というブランドミッションの元、アジア9つの国と地域で展開しています。なぜシンガポール発なのかと言いますと、日本ほどではないですが結構クオリティに厳しく、アジアの中では高所得者が多い国なので、ここで成功出来れば他国にも展開できるだろうと考えたそうです。
日本はランゲージバリア(言葉の壁)が高い国ということもあり、昨年2021年秋に上陸したばかりです。

神成:海外スタートアップの驚異的なスピード感にビックリしています…。コロナもある中、3年くらいで9つの地域に拡大するのは凄すぎますね!

伊藤:創業から3年目のシリーズBで、4,000万ドル(約60億円)の資金調達をしているんです。この大型調達をきっかけに、進出のハードルは高いですが大きなポテンシャルを秘めた日本に進出することを決めたそうです。
アジアではゼニュムはそれなりに知名度と評価をいただけているので、日本に住んでいる外国人の方にも利用者が多いですね。

必要な状況に追い込めば英語は出来るようになる

神成:現在、外資系スタートアップ企業の日本代表を務めていらっしゃるわけですが、元々海外志向があったのですか?

伊藤:両親が某アメリカ系航空会社に勤めていたので、子どもの頃から海外にはよく行っていて身近な存在ではありました。ただ、大学受験の時も海外の大学を志望するわけではなかったです。TOEICも悪いスコアではないものの、たいして話せないし、何より英語に苦手意識がありましたね。
若いうちに色々なことにチャレンジしたい、ITビジネスの経験を積みたい、という理由からコンサルティングファームへの就職を志望していて「アクセンチュア」という横文字の社名に惹かれ、入社を決めました。

神成:「〇〇総研」みたいな日系コンサルは、社名で負けてしまったのですね(笑)
アクセンチュアから外資系で働くキャリアがスタートして、やはり英語が必要になりましたか?

伊藤:海外プロジェクトが始まり、英語が話せないと生きていけない状態になりました。会議の内容をレコーディングして、あとで聞き直して文字お越しして…そうやって徐々にコミュニケーションがとれるようになって。言葉って本当に強い目的意識がないと出来るようにはならないですよね。必要に迫られて追い込まれれば何とかなるものです!

もう1社米系コンサルティングファームを経て、コンサルは「こうすれば良い」と助言するアドバイザーでしかないと感じるようになりました。やっぱり本当のビジネスって、自分で責任を負ってお金を使ってお金を生み出して、社会に何か良いインパクトを与えることだと思うのです。それを自分でやってみたいという思いがすごく強くなり、転職活動を始めることにしました。

私はいつも物事を4象限で見るのですが、外資系と日系、大企業とスタートアップで考えた時に、自分が活きるのは「外資系スタートアップ」だと思い、OYO Japan(現Tabist)にジョインしました。

神成:ご自身のキャリア・ポジショニングも2軸で考えるのは面白い!
その頃は日本のインバウンド客が伸びていて、OYOも注目されていましたよね。

伊藤:OYOのインハウスコンサルティングチームにジョインしたのですが、その後コロナが流行して、インバウンド向けのサービスは大打撃を受けました。海外にMBAでも取りに行こうか、など将来について考えている時に、海外のヘッドハンターからZenyumのお誘いをいただいたのです。

結果を出すこと以上に大切なこと

神成:どうすれば海外の人から仕事のオファーをもらったりできるのでしょう?

伊藤:LinkedInを英語で書くことは絶対した方が良いと思います。海外のヘッドハンターや事業会社のリクルーターの方から、連絡をいただくきっかけを作ることができるので「こんなオファーがあるんだなぁ」と視野が広がりますよ。
外資系企業で働く、というキャリアはもう少し注目を浴びてもよいのではと感じています。英語が出来るだけで、転職に限らず現職でも仕事の幅が広がりますし。
特に先進国の方と比べると日本人の給与は割安に見えるので、ヘッドハンターからすると「たった10万ドル(約1,500万円)でこんな良い人材とれるの?」とお得な市場のようです。

また、ネイティブスピーカーではない者同士の英語コミュニケーションは、とてもシンプルになるため、裏側を読んだりする必要もなく気持ち的にもすごく楽ですね。

神成:ステレオタイプかもしれませんが、外資企業は結果主義でなんでも「契約」で縛られるシビアな世界、というイメージがあります。日本企業はKPIを達成しなくても、大抵「頑張ったよね」で許されますが。

伊藤:おっしゃる通りです。クライテリア(評価基準)が明確ですからね。働きぶりやコスパでシビアにみられるので「こいつはダメだ」と思われたら即クビになる世界です。
ただ、「結果主義」って結果を出さなきゃだめと思われがちですが、そうではないと思うんです。例えばコロナとか円安みたいにアンコントローラブル(制御不能)な部分もありますから、長期的な目線で見ることも必要で、今結果が出ていないからだめ、とは限らない。
一番大事なのはきちんとアカウンタビリティ、説明責任を果たせるかどうかです。なぜそうなったのか、この後どうなる想定なのかを、数字+エモーション(感情)の両面で上が納得できるプレゼンができるかなのです。目標数値を達成できない時でも、これができれば評価は保てます。黙々と仕事をこなす人は、もしかすると外資向きではないかもしれません。

神成:逆に言えば、どんなに結果が出せている、達成できているとしても「なぜ達成できたのか」説明ができなければ意味がない、ということですね。

伊藤:その通りです。全ての物事を理屈で説明できるわけではないので、「これ以上は理屈では説明できない。でもこうなると仮説をもっている。だからこういうデータを取りたい。お金をこれくらい使えば利益は最善でこれくらい出る。最悪でもここまでの採算は取れる」こういう説明をしっかり出来ると、相手を納得させられますよね。

神成:説明責任の重要性をわかっていらっしゃる伊藤さんだからこその、とても納得のいくお話です。日本の企業もこうあるべきですが、まだまだプロセス重視の傾向が強いのが現状ですね。

各国の代表と経営層が一枚岩に

神成:Zenyumの日本法人社長を引き受けようと思った決め手は何ですか?

伊藤:ゼロから自分でチームを作れる外資系日本法人の社長という立場は、自分の将来設計にどんぴしゃにはまっていました。何より、プロダクトとサービスを心から良いと思えたことが大きかったです。この想いがあれば何でもできますから。自分が良いと思えるものは売り込みにならないし「これ絶対使った方がいいよ」と自信をもって薦められる。
自分だったら使わない、と思うものを売ると魂が汚れるんですよね。

神成:すごくわかります。売れたとしても、長くは続けられないでしょうし。
各国の代表とは関わりがありますか?

伊藤:3カ月に1度、オフラインで各国代表とシンガポールの経営陣が集まって3泊4日くらいのミーティングをします。みんな個性豊かでピュアで頭がよくて、笑顔に溢れている最高の人たちです!
世界情勢を見ながらそれぞれ自国の状況をシェアして、ディスカッションしてヒントをもらって、そこで意思決定も行われます。ダッシュボード上でKPIを全員が見られるようになっているので、その場でアラインメント(調整)もします。

よく「社長は孤独だ」と言いますが、幸せなことに各国社長は自分と同じ立場の同志なので、とても心強いですし仲が良いので恵まれた環境です。

神成:現地法人の社長って、本国とローカルの板挟みになることも多いと思いますが、Zenyumさんは全然違いますね。素晴らしいグローバルチーム!

伊藤:一番すごいなと思うのはデータマネジメントの部分なのですが、例えば「いくらのコストでどのくらいのリードが獲得できた」といったデータがグローバルでわかります。しかも外部に頼まず、シンガポールのデータインテリジェンスチームが内製していて、それを各国に提供してくれているんです。
ふつうは「ヘッドオフィスが偉い」みたいな雰囲気あるじゃないですか。Zenyumの経営陣は全く逆に考えていて、売上を上げてくれているのは各国のマーケット。本社はサービスを提供して、困りごとをサポートさせて頂きます、というスタンスなのです。

神成:日本法人が海外展開する時にも肝に銘じておきたいですね。私がジャカルタで仕事をしていた時も、みな「JOKY(じゃあ おまえ きて やってみろ)」と冗談交じりに言っていました(笑)

世界中の人が心から笑いあっている世界へ

神成:最後に、今後の展望についてお聞かせください。

伊藤:大前提として、売上をいくらといった数字を置くことは重要ですが、それだけでなく、きちんとしたサイクルを作りたいと思っています。売上(WON)を増やすためには、歯の無料診断をしてくれる人を増やす、CV率を上げる、セールスチームの強化・・リファラル(紹介)とレビュー(口コミ)を増やすところまでの流れ、サイクルを作って丁寧かつ高速で回していきます。
これが出来ると、売上に繋がり顧客満足度もあがると思っているので。

多くの人の歯並びが治ると、人生がポジティブになる人の数も増えます。透明マウスピースは手段にすぎないので、ただのマウスピースの会社だと思われたくなくて、「お客様の最高の笑顔のための最高のサービスを提供し続ける」ことをミッションに、関わって下さる全ての方に「関わって良かった」と思って笑顔になってもらうことを目指していきます。
その先には、「世界中の人が心から笑いあっている世界」が実現できると信じています。

神成:笑うって最高に幸せですよね。素敵なお話ありがとうございました!

株式会社Zenyum Japan

ゼニュムの透明マウスピース矯正で自信にあふれた素敵な笑顔を。最短2カ月でまっすぐな歯並びを実現できます。ゼニュムクリアは一式324,500円、ゼニュムクリアプラスなら症例の複雑な矯正も可能です。

企業サイト:https://www.zenyum.com/jp-ja

サービス紹介サイト:http://bit.ly/3OioLp7


【編集後記】

私はインドネシア・ジャカルタにビジネスコンサルタントとして約8年住んでいました。マレー語とインドネシア語は9割同じなので、「Zenyum」という社名を聞いた瞬間、インドネシア人の満面の笑顔を思い出したのです。
伊藤さんの元々のコミュニケーション力もあるかと思いますが、普段から海外の方と話すことが多いからか、わかりやすい例えを出しながら簡潔にお話をするのが上手な方だな、と感動しております。口元にコンプレックスをもつ人が1人でも多く、透明マウスピースでキレイな歯並びを手に入れて、スマイルが溢れる社会がくると良いですね。Senyum yuk!(神成)


取材日:2022年10月25日
インタビュー/文:神成 美智子
写真:原 康太

校正:山田 直哉

Zenyum Japan 伊藤祐 Ito Tasuku
最新情報をチェックしよう!