ペトコト大久保泰介

Vol.028 株式会社PETOKOTO/ 代表取締役社長・大久保 泰介 さん

第28回は、ペットウェルネスカンパニーとして、「人が動物と共に生きる社会をつくる」をミッションに掲げ、業界をリードする株式会社PETOKOTO。企業原理と信念(BELIEF)を新たに定めるリブランディング”を行ったということで、代表取締役社長の大久保 泰介さんに、その背景や込められた想いについて取材させていただきました!

大久保 泰介  Ookubo Taisuke / 代表取締役社長

京都府出身。同志社大学経済学部在学中、英・ロンドンのユニクロで「+J」プロジェクトなどのプロモーション業務を経験。同大学卒業後、グリー株式会社に新卒入社し、採用プロモーション業務、財務管理会計業務に従事。2015年3月、株式会社シロップを設立し、代表取締役CEOに就任。保護犬や保護猫と飼い主を繋ぐマッチングサービス「OMUSUBI(お結び)」、獣医ら動物の専門家が執筆するメディア「ペトこと」など、ペットに関わるインターネット関連サービスを開発・運営している。2021年3月に会社名を「株式会社PETOKOTO(ペトコト)」へ変更し、代表取締役CEOを担う。(CareerWakeより引用)

自分たちの向かう先を明確にする

NovolBa 原(以下、原):今回、リブランディングを行った経緯を教えて頂きたいです。

PETOKOTO 大久保(以下、大久保):PETOKOTOとして、向かう方向性を改めて言語化すべきと感じたことがきっかけです。
2015年に創業し、「人が動物と共に生きる社会を創る」というミッションを掲げていました。
実は、起業する前は犬や猫に触ることすら苦手だったのですが、一匹の犬との出逢いをきっかけに動物が大好きになりました。その中で、動物病院に行っても予約ができなかったり、現金決済のみだったりと、ペット産業のデジタル化が全く進んでいないことを感じました。
加えて殺処分が社会問題であることも知り、「人生を捧げて起業するならペット産業だな!」と思い立ち、起業に至ったのです。
この産業におけるスタートアップ経営者は、昔から犬猫が好きで起業した、という方も多いですが、私の場合は苦手な方の気持ちも理解できるので、中立な立場で事業をしたいという想いが強くありました。そう言った意味で、創業期のミッションに掲げた「人と動物が共に生きる社会を創る」の“共に”という部分には、ペット好きな方も苦手な方も、犬猫自身もという3者の生命の尊重と許容という意味を込めていました。

現在、ペットに関する正しい情報を発信するメディア事業、保護犬猫の存在の認知拡大を行い、譲渡を加速させるための保護犬猫マッチング事業「おむすび」、人と同じご飯を犬猫にも届けたいということから始めたフード事業の3つを提供しています。

この3つの事業を元に、PETOKOTOとしてのブランドを創っていこうと進めてきました。その中で、PETOKOTOメディアやPETOKOTOFOODなどブランド名は統一しつつも、ロゴやトンマナがバラバラであるという部分に強く課題を感じました
PETOKOTOというプラットフォームを創る構想も明確にも見えてきたタイミングでもあったため、私の頭の中にあるPETOKOTOとして進む先を改めて言語化し、ブランドを確立していきたいと思い、今回リブランディングを実行するに至りました。

リブランディングを考えるべきスタートアップとは

原:リブランディグは、どういったタイミングのスタートアップにおススメされますか。

大久保:リブランディングはとても重要なことですが、そこに踏み切れるがどうかは「成長のステージ」が大きく関係していると思います。
例えばシードやプレシリーズのフェーズだと、資金面ではもちろん、リソースも割くことが難しいです。
私たちもVCに投資を頂いており、EXITが前提としてあるので、リブランディングをしたくても株主に必要性について説明しなければいけないと思うと、なかなか実行するのが難しかったのです。
その中で、今回リブランディングを実行できたのは、取り組んでいた3つの事業が順調に成長し、それぞれが点として強くなり、それらを線として繋ぎ、ペットに最適な暮らしを提案できる「コンシェルジュのようなプラットフォーム」を創っていくことが明確に見えたからです。加えて、シリーズAで調達した資金の使途に “リブランディング”の項目を入れていたことがあります。
一概には言えませんが、シリーズA以降が、リブランディングをする大きなタイミングになると思います。
実行を検討しているスタートアップの方がいらしたら、自分たちの事業フェーズと、資金調達のタイミングを考慮した上で、計画的に行うことをおススメします。


MISSION、STRATEGY、STRENGTH、RULE、“BELIFE”とは

原:今回のリブランディングで使われていた、特徴的なフレームワークについて教えてください。

大久保:MISSION、VISION、VALUEというのが主流ですが、私たちはその概念を変えて、MISSION、STRATEGY、STRENGTH、RULE、BELIFEという、5つの構成でリブランディングを行いました。
私たちの向かう方向性として、まずMISSIONを一番上の概念として設けました。そして、そこに紐づく形で事業軸となるSTRATEGYという概念「クリエイティブ・オブ・ペットライフ」を掲げ、ペットライフのQOLを最大化するためだけの事業を行うことを明確にしました。
STRENGTHを設けたのは、私たちの価値が何なのか、示す必要があったため、「一生を支えるコンシェルジュ」、「一流の専門家ネットワーク」、「一匹に寄り添うデータ管理」という、3つのシンプルな形で設けました。

BELIFEについては、最後に作成しました。
当初は、MISSION、STRATEGY、STRENGTH、RULEの4つだけを考えていました。しかし、社内のデザイナーの一人がリブランディング前のミッションである「人が動物と共に生きる社会を創る」が、とても好きだということを伝えてくれました。他メンバーも同じように感じてくれていたようで、それならば、私たちの信念を掲げようということで“BELIFE”を作成することにしました。
動物や人、全ての生命を尊重したいという想いから「人が動物と共に生きる社会を創る」というMISSIONを、「全ての命を尊重し、人が動物と共に生きる社会を目指す」というBILIEFにして、改めて掲げることにしました。


トップの意思がメンバー全員の想いに

原:リブランディングされる際、大切にされたこと、意識されたことをお聞きしたいです!

大久保:基本的に、リブランディングはトップの意思を形にすることだと思いますが、社内のメンバーが納得感をもって行動できるものにしなければなりません。だからこそ、「確実に浸透するプロセス」はすごく意識しました。
当初、内製でリブランディングを行おうと思ったのですが、社内のみだとトップとメンバーの二者しかおらず、意見の対立が生まれる可能性もあると思い、第三者的に、知見のある株式会社GOに入っていただきました。

リブランディングの流れは、最初に私の頭の中で考えていること、大事にしたいことをヒアリングして頂き、見えてきた方向性をもとに、HOWの部分を中心メンバーと共に考えていきました。
また、メンバー全員が自分事化できる場も必要と考え、要所で全体のアイデア出しや共有会なども実施しました。

メンバー全員で考えることも大切にした理由は、今は20名程度の会社ですが、今後50、60名となった時に、私からメンバーに伝えるだけでなく、メンバーからメンバーへPETOKOTOの世界観や理念を伝えられないと、良いものは生まれないと考えたからです。
トップの意思がメンバーそれぞれの想いとして浸透することで、より良いものを生み出せる企業になっていけると思います。

ペットを家族として愛せる世界を創るプラットフォームになる

原:リブランディングされ、これからますます勢いに乗られるPETOKOTOさんの今後についてぜひお聞きしたいです。

大久保:ペットライフの一生に寄り添える企業であるため、事業に関してはペットライフのインフラを作っていくことに注力していきたいです。
現状の事業では犬猫と出会う場、情報発信、食の提供までですが、今後は更に医療や保険など、ペット産業の領域に関わるあらゆる部分を支えていきたいです。そうすることで、私たちは「ペットを家族として愛せる世界」を実現するプラットフォームを提供していきたいと思っています。

そして、私たちはその目指す世界をユーザーと一緒に創っていきたいと考えています。
ミッションづくりにおいても、株主と社員、クライアント、この3者に加え、ユーザーさんも一緒に入ってもらうことを、強く意識しました。リブランディングについて、すぐにSNSを通じて、私と取締役の佐藤から背景や方向性についてお伝えし、ユーザーさんから「このロゴ最高です!」や「一緒にPETOKOTOさんとペットを愛せる世界作りたいです」という嬉しいお言葉を頂きました。
私たちは、ユーザーさんと一緒に実現したい世界を創っている企業だなと感じるからこそ、その関係性を強く意識して、これからプラットフォームを創ることに挑戦したいと思っています。

株式会社PETOKOTO

犬や猫が苦手だった代表の大久保氏が2015年に設立。一匹の犬との出逢いをきっかけに動物が大好きになり、殺処分問題をはじめとしたペットが「モノ」として捉えられているペット産業の負の課題を解決するために起業。全てのスタッフがペットの飼育経験者であり、獣医師やペット栄養管理士もいるバックグラウンド豊かな会社。保護犬猫マッチングサイト「OMUSUBI」やペットライフメディア「PETOKOTO MEDIA」、フレッシュペットフード「PETOKOTO FOODS」など、ペットとのクオリティオブライフを向上するためのサービスを提供している(PR TIMESより引用)

PETOKOTO MEDIA (ペトコトメディア)|ペットの一生によりそう情報メディア


【編集後記】
大きなコミュニティを生み出し、掲げるMISSIONに向けて、ユーザーさんと共に歩まれているお姿がとても素敵でした。今回のリブランディングにあたっても、PETOKOTOさんがメンバー一人一人の想いを大切にする組織だからこそ、大久保さんの想いが会社メンバー全員の想いとして、体現することができているのだなということがわかりました。お話から、愛溢れるPETOKOTOさんの組織の雰囲気が伝わってきて、「PETOKOTOさんのメンバーの方々に会ってみたい!」と思う取材時間でした。今後のPETOKOTOさんがますます楽しみです。(原 康太)


取材日:2022年4月18日
インタビュアー:原 康太

写真・編集:山田 直哉

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