VC Vol.005 インキュベイトファンド株式会社 / 事業開発アナリスト・溝口 然 さん

投資家、VC、CVCで働く方々にお話をお伺いする企画。
第 5回は、「志ある起業家の挑戦を、愚直に支え抜く」をモットーに、創業期の投資・育成に特化した独立系VC インキュベイトファンド株式会社で、事業開発アナリストとして働く溝口 然さんに取材させて頂きました。

溝口 然 Mizoguchi Zen / 事業開発アナリスト

1998年生まれ、熊本県人吉市出身。2016年に高校生向け進学支援事業を立ち上げ、翌17年に法人化、奨学金の設立やプログラムの企画運営に取り組む。慶應義塾大学・法学部政治学科に進学し、2021年、インキュベイトファンド(以下、IF)の新卒制度*により入社。事業開発アナリストとして新規投資先の発掘等に従事。

*IF新卒制度:日本のVCの層を厚くすることで産業を活性化することを目的とし、数年後の独立を前提とされ立ち上げられた制度。

VCに聞く

1. 起業家のここを見る!

NovolBa原(以下、原):溝口さんは多くの起業家に会われていると思いますが、その際注目されているポイントについてお聞きしたいです!

IF 溝口(以下、溝口):最終的にはその人自身の「やるぞ!」という信念や「どうにかしてやり遂げたい!」という志の高さを見るようにしています。

もちろん“どんな原体験がある”とか、“スキル”、“ネットワークを持っている”といった要素も確認はしますが、一番大切なのは、その人の起業や事業を通してどういったことを実現したいのか、だと思います。

それを知るために、私が起業家とお会いする中で、その人の想いの起点がどこにあるのかを深く理解しようと努めています。起業に至る起点は、社会を変えたいと思うミッション・ドリブン、マーケットの変化を掴むマーケット・ドリブン、得意とする技術があるテクノロジー・ドリブンなど、本当に人によって様々です。

インキュベイトファンドは起業家にとって、「最初かつ最大の応援団」でありたいという想いがあるので、起点のところの理解を深めた上で、一緒に伴走していくことをとても大切にしています。

スタートアップの道のりは、とても長いので、起業家の想いをしっかりとお聞きすることで、そもそもスタートアップとしてやることが、その人にとってベストな方法であるのかも含めて一緒に考えたいと思っています。

2. 誰もが“起業”できるチャンスがある、独自の投資方法

原:IFの投資方法、投資基準についてお聞きしたいです!

溝口:基本的に、一番目の投資家として投資をする「ファーストインベスター」のスタンスを大切にしています。その上で、大きく二つのパターンで投資をしています。

一つが、創業期でまだ調達をしてない会社を探して投資するという投資パターン。もう一つが、会社がない段階からファウンダー候補の方と一緒にアイデアを考え、会社を創っていく、という独自性のあるパターンです。

会社や事業を創るパターンは、共同創業者を探す形に近いです。一緒にやりたいと思った魅力的な方に「ちょっと一緒にやりませんか?」と提案するケースや、具体的なプランのない起業家に対して私たちの考えを相談してみて、一緒に深堀していくケースなどがあります。

お互いに事業アイデアやビジネスプランについて議論を重ね、本気で向き合いながら、信頼関係を築いていくことを大切にしています。こうしたアプローチを実現するために、「いい会社を選ぶ」のはなく、「一緒に創る」、「どうやったらできるのかを考える」という意識を大切にするようにしています。

この2つの投資アプローチを通じて、誰もが“起業”へと挑戦できる環境を創り出しています。

3. 起業に興味があるアナタが取るべき最初の一歩!

溝口:私(溝口)やIFにすぐ連絡してください!(笑)ご連絡頂いた方とは、基本お会いします。
「起業したい!」だけでも構いません。具体的な事業のお話をするのももちろんですし、先ほどお伝えしたように、「なぜ起業したいのだろう」「どんな経験をしてきて、どんなきっかけが起業への想いに繋がったのか」など、その人のこと、起業に至った想いの源泉についても伺いたいと思っています。ぜひ気軽にご連絡ください!

4. IFの強みと特長

溝口:IFの人は皆、投資家という立ち位置ではなく、起業家の長期的なパートナーでありたいという想いを持っています。

具体的なサポート面に関しては、起業家それぞれに担当パートナーがつくのですが、事業や今後についてのミーティングを週一回行い、非常に密なコミュニケーションをとっていきます。
専門知識を持つチームが、投資のみならず、経営戦略、営業、人材採用、PR、など、あらゆる基本となる部分を起業家と共に進めていくため、起業家にとって頼れる存在であることが大きな特長です。

産業育成に関わるVCとの出会いが、人生を変えた

溝口:高校時代にアメリカのシリコンバレーに訪れる機会があり、そこで“ベンチャーキャピタリスト”という存在に初めて出会いました。もともとアメリカで誕生した職種なのですが、元は、アメリカ東海岸の「産業育成」が目的となっています。

学生時代から「世の中を良くしたい」、「社会課題を解決したい」という想いをもっていた私は、「これからの社会を創る企業へ投資する」という仕事に、とても興味をもちました。起業家という道もあったのですが、IFの代表パートナーである赤浦の「1人の優秀なベンチャーキャピタリストが誕生したら、10社の企業に投資できる。」という言葉に影響を受け、起業家でなく、ベンチャーキャピタリストになることを決めました。中でもシードVCを選んだのは、0→1を生み出す部分を担っており、スタートアップと共に、世の中にまだ存在していない価値を生み出すことに挑戦していける、魅力的な仕事だと思ったからです。

レバレッジをかけ、かつ色々な経験を基に、再現性高く挑戦していけるベンチャーキャピタリストは、日本にまだまだ足りていないからこそ、私はそこに挑戦していきたいです!

目指す姿は「信頼されるベンチャーキャピタリスト」

原:溝口さんが目指すベンチャーキャピタリストの姿をお聞きしたいです。

溝口:起業家、スタートアップからの熱い信頼があるベンチャーキャピタリストでありたいです。様々なスタートアップ、VCがある中で、「やっぱり溝口さんと一緒にやりたい!」と言って頂けるか、が一番大事だと思います。そのために、私がどんな価値を提供できるのか、どうやってお金を集めるのかという部分は、非常に重要になります。

これから経験を積み重ねることで、自分なりの得意技や色を見つけ、唯一無二の「信頼されるベンチャーキャピタリスト」になりたいと思っています。

インキュベイトファンド株式会社

創業以来、総額620億円以上の資金を運用し、関連ファンドを通じて400社以上のスタートアップへ投資活動を行うなど、シード期に特化したベンチャーキャピタルとして国内最大規模の実績を有しています。
「志ある起業家の挑戦を、愚直に支え抜く」をモットーとしてベンチャー投資を行う一方で、2010年のファンド創業時から、シードアクセラレーションプログラム『Incubate Camp』の運営をし、数多くの起業家と接点を増やしています。(webサイトより引用)

インキュベイトファンド株式会社


【編集後記】
0→1を生み出すベンチャーキャピタリストとして、スタートアップと共に挑戦される溝口さん。お話を聞いていると、起業家と投資家の関係を超えた、人と人との関係を大切にされる印象を受けました。その人の想いに迫る溝口さんは、起業家にとって、とても逞しい存在だなと感じました。私も起業したくなったら、溝口さんに直ぐに連絡したいなと思いました。(笑)(原康太)


取材日:2022年3月3日
インタビュアー:原 康太

写真:西 可菜子  
編集:山田 直哉

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