Vol.030 株式会社Polyuse / 代表取締役CEO・岩本 卓也 さん

第30回は、3Dプリンターなどの建設特化型プロダクトを開発され、建設現場をテクノロジーの力によってアップデートされるPolyuse株式会社(以下本文中は、Polyuse)、代表取締役CEO・岩本 卓也さんにインタビューさせて頂きました!

岩本 卓也  Iwamoto Takuya / 代表取締役 CEO

1993年生まれ、大阪府出身。信州大学理学部卒、一橋大学大学院商学部卒、東京工業大学グローバルリーダー教育院修了。一橋大学大学院在学中に人材マッチングアプリのスタートアップを共同経営。その後ベイカレント・コンサルティングにて経営戦略・事業戦略・業務改善等の各種業務に従事。2019年に株式会社Polyuseを共同創業。経営全般とコーポレート部門全体の統括を担当。(STARTUP DBより引用)

下請け構造から脱却し、未来を創るパートナーのポジション

NovolBa 原(以下、原):レガシー産業で挑戦する上で、意識されたポイントを教えてください。

Polyuse 岩本(以下、岩本):レガシー産業で活躍する企業と私たちの関係性です。
創業時から連携して頂いてる京都のゼネコン・吉村建設工業さんは、最初に資金提供してくださり、資金面以外にもレガシー産業特有の商流や業界構造などを丁寧に教えて下さいました。その後、建設業界、建設系企業における課題を一緒に探りながら、私たちのサービスが提供できる価値について対話を繰り返し、理解を深めていきました。

一方的にサービスを売るのではなく、対話を通して、お互いのできること、できないことを確かめ合いながら、補い合うパートナーのような関係性を築くことを意識しました。

レガシー産業、特に建設業に関しては下請けの考えが一般的となっているからこそ、彼らと私たちがフラットな関係性であることが重要だと思っています。

どのようなポイントで、誰にアプローチするかという戦略

原:創業期に、連携先企業を見つけることができたポイントはなんですか。

岩本:お互いの文化の違いを理解し合った上で、自分たちが目指す世界観をしっかり伝えられたことだと思います。スピード感や意思決定のシンプルさはスタートアップと中小企業の大きな共通点と言える一方で、企業文化はそれぞれ違います。だからこそ、スタートアップがどのようなものなのか、自分たちがどこを目指しているのか、経営スタンスをしっかり理解してもらうことがその後の事業連携を成功させる重要なポイントになると思います。

そのようなことを伝える際に、誰にアプローチするかはとても重要です。私の場合、中小企業の2代目、3代目と言われる後継ぎの方々とお話すると成功に繋がるケースが多かったです。後継ぎの方の多くは一度、他企業に属してから自社に戻ってくるパターンが多いです。他企業の文化に触れることで、自分たちが属するレガシー産業が他産業と比べて遅れているという危機感を持たれる方が多いです。そのため、私たちの挑戦への共感度高く、連携させて頂くことができているのだと思います。

レガシー産業に挑戦したい!スタートアップの最初の一歩!

原:レガシー産業に挑戦したい!と思うスタートアップが最初にとるべき行動について教えて頂きたいです。

岩本:ヒアリングして、現場を見て、何が課題なのかをしっかり理解すること、これ以上のことはないと思います。レガシー産業の課題は現場でしか見つからないことも多い分、そこを意識して行わないと絶対良いプロダクトは生まれないし、実際使って頂くユーザーさんからも信用はされないです。

自分たちの想いだけでプロダクトを作るのではなく、最初から現場と一緒に取り組むことで、彼らの課題に寄り添った、本質的なプロダクトを実現できると思います。

私はもともと建設業出身の人間ではなかったからこそ、現場に通うことを重要視しました。そうすることで、実際に図面を見せて頂いたり、1日かけて現場を案内してもらったり、現場で起きている課題の理解に徹することができました。レガシー産業で起業する経営者で、特にシード、アーリーの段階において、現場意識を大切にすべきだと思います。

MVPを作成し、クリティカルパスを整理する

原:プロダクトの立ち上げと構築、他社との事業連携などスピード感ある成長を実現できた秘訣を教えてください。

岩本:
“*MVPを最短で作ることに集中したこと”が連携のスピード感に繋がったと思います。何かをやらせてもらう際、これがあればできるというブレイクスルーポイントを抑えることが重要です。目指すところに向けて、必要となるデータを整理し、「今活用できるデータ」と「新たに必要とするデータ」を明確にしました。その上で新たに必要なデータも、現在進行形で進む事業の中で集めながら進めました。

具体的には2022年の1月に行った国交省から受けた公共工事において、そこに辿り着くまでに、2021年の6月から必要となるデータ・エビデンス収集の準備を始めていました。6月に取れた工事データを9月の民間会社との工事に活用、そこで取れたデータを基にして12月の実証実験を行い、直近の1月の公共工事へと繋げていきました。
それぞれのプロジェクトを点でなく、線として捉えることは、データ・エビデンスを重要視するレガシー産業では非常に大切です。特に建設業界における新規事業の多くは、1つのプロジェクトが終わった後にデータを収集し、次のプロジェクトをまた始めるという、プロジェクトの検証サイクルが非常に遅いことが大きな課題でした。

私たちはそれを避けるため、最初に*クリティカルパスをしっかり整理しました。ゴールのために、クリアすべき項目が明確に見えたことで、並行して色々なところと関係づくり・研究開発を行いながら、実証実験・工事を進めてきたので、このスピード感を実現できたと思っています。

レガシー産業においては特に、大きな目指すところを定めた上で、そこに辿りつくためにやるべきことをブレイクダウンして、整理することが非常に重要だと思います。

*MVP ・・・ Minimum Viable Productの略。顧客に価値を提供できる最小限のプロダクトのことを指す。完璧な製品・サービスを目指すのではなく、顧客が抱える課題を解決できる最低限の状態で提供するプロダクト
*クリティカルパス ・・・ 直訳すると「重大な経路」という意味で、プロジェクトの全工程を線で結んだ時に最長となる経路のこと。他の工程を短縮しても、クリティカルパスが短縮しなければ終わらない経路のこと

Polyuseの未来

自分たちの技術で街ごと作ってみたい

岩本:将来、私たちが提供する技術で街ごと作りたいと考えています。

道路の路肩にあるブロックや公園にあるベンチ、建物の壁、街にあるありとあらゆるものがコンクリートで作れる可能性があります。街自体をコンクリートで構築することができれば、世の中に新しいインフラを提供できることになります。

住宅やビルを作ることはもちろん、私たちの技術である3Dプリンターの工法を活かし、施工過程でセンサーを埋め込み、河川の水位を常に把握できる堤防を実現することもできます。このように、Polyuseが提供する技術によって、新しい世界・価値を届けていきたいです。

そこに辿り着く一歩として、これまで住宅を作ることを挑戦しました。ただ作るのでなく、作ったあとの維持・メンテナンスまで含めて考えることを大切にした上で、これからも色々な構造物制作に挑戦していきたいと思います。そのような構造物の集まりによって、一つの街が形成されたら面白いと思うし、そこを目指していきたいです。

株式会社Polyuse

2019年創業。建設用3Dプリンタを中心とした建設業界特化型の技術開発およびサービスを提供している。2021年には、国内初の実利用の土木構造物や、国内初の民間の実案件工事での導入などを実施。国内における唯一の建設用3Dプリンタメーカーとして、専門性の高い技術者を確保し、開発体制を構築することによって、国内での適応を迅速に推進し、建設業界において将来的に見込まれる人手不足の一助となるプロダクトの開発に勤めている。(TECTUREより引用)

建設用3Dプリンター | 株式会社Polyuse


【編集後記】
岩本さんの論理的で説得力のあるお話しを聞いて、Polyuseさんがなぜ短期間で成長されているか理解できました。一方、楽しく雑談もしていただき、とても楽しい取材でした。岩本さん、ワイン好きということで、よくワインを飲みに行くとのこと。私も次回は同席して、ワインを飲みながらもっと岩本さんのお話きいてみたい!と思いました(笑)(原康太)


取材日:2022年5月12日
インタビュアー:原 康太

撮影・編集:山田 直哉  

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