Vol.027 株式会社Oh my teeth / CEO・西野 誠 さん

第27回は、「日本人の4人に1人が、Oh my teethが提供する“未来の歯科”が当たり前の世界」を実現し、アジアNo.1オーラルテックベンチャーを目指す株式会社Oh my teeth・CEOの西野 誠さんにインタビュー。
堀江貴文氏、本田圭佑氏からも注目される若手起業家・西野さんに「Nice to teeth you!」して、大切にしていること、ピッチの極意、後悔している子供時代の経験など、ビジネスからパーソナルな部分まで、幅広くお話を伺いました。

西野 誠  Nishino Makoto / CEO

1994年生まれ。学生時代に物流スタートアップ、株式会社オープンロジで第一号インターンとして創業期を経験。新卒で株式会社ワークスアプリケーションズに入社。退職後、オーラルテックベンチャーを目指す株式会社Oh my teethを共同創業。
Open Network Lab(以下、Onlab) 第21期「DemoDay」最優秀賞&オーディエンス賞。ICC FUKUOKA 2022「D2C&サブスク カタパルト」優勝。

「歯」だけはどうにかならない

NovolBa 神成:D2C*マウスピース矯正のビジネスをはじめたのは、何かきっかけとなる原体験がありますか?
*D2C: Direct to Consumerの略、製造者が直接消費者と取引する

Oh my teeth 西野:はい、未だに後悔してもしきれない原体験があります。
僕は子供の頃から、社名にもついている「Oh!」を人から引き出すのが好きで、手品で誰かを驚かせたり、サプライズを仕掛けたりするための準備を嬉々としてやっていました。あまり良い事ではありませんが、親をある意味出し抜くようなことにも快感を覚えていて。
例えば、毎日「歯を磨きなさい」と言われても、歯磨きしているように見せかけて、実はしていない、といったことも、イタズラ心からやってしまっていたんです。
そんなことを続けていれば、当然たくさん虫歯ができてしまうわけで。虫歯が神経までいっちゃった歯が何本もでき、歯が痛んで苦手な歯医者通いをする必要がありました。

僕は基本的に何事も前向きに捉えられる性格なのですが、唯一、子供の頃に歯を大切にしなかったことは、未だに後悔しています。
こういった自分自身の経験が、今の事業への想いに繋がっています。

世の中のおかしいもの、古いものをアップデート

神成:調べたところ、VCからの調達ゼロで黒字成長しているようですが、はやい段階から情報収集と起業の準備をされていたんですか?

西野:いえ。実は「起業したい」という想いが強かったわけではありません。
ただ、自分自身が感じてきた「世の中の負」を直したい、無くしたいという想いは常に持っていました。
生粋の起業家ではないからなのか、僕は「競合」という考えがあまりしっくりきません。 仲間が増えればそれだけ課題解決が早まり、一般消費者の方たちがより速く幸せになる
と思っているからです。
だから、自分たちのデータや実績、個人的にはピッチのノウハウなんかも全て公開していまして、当社と一緒に何かやりたい、やりましょう、と言って下さる企業は常にウェルカムです。 

神成:すごいですね!なかなかそう考えられる人は少ない気がします。
VCからいくら調達したいとか、IPOしたいといった希望もないですか?

西野:事業が加速するのは良いことなので、VCからの投資もウェルカムではあります。
但し、短期的な成長のみを求められてしまうと、私たちのビジョンからズレが生じてしまいます。

「売上」と「ユーザー体験」のどちらを大切にしたいか、と聞かれたら、絶対に「ユーザー体験」をとりたいです。
長期的な目線で一緒に未来の歯科体験を創っていける、そんなパートナーを探しています。

「プロダクト」も「ヒト」も大事

歯科医師集めで苦戦

神成:事業で苦労していることはありますか?

西野:特に厳しかったのは、歯科医師を集めることでした。
もしかすると、素人に業界を荒らされると思われたのかもしれません。

国内の歯科矯正の普及率は20%程度で、デンタルIQが高いと言われるアメリカ(50%程度とされている)と比較すると、低い数字です。
この理由としては、国内ではまだ「歯科矯正は子供のころにやるもの」というイメージが強い事が挙げられます。

そのため、Oh my teethでは、「大人になってから気になる部分だけでもなおしたい層」に特化することで、既存の歯科と真っ向から対立しないビジネスモデルを考えました。
実際に、Oh my teethで対応できない症例の場合、提携クリニックに紹介する仕組みも構築しています。こういったことを理解してくれる歯科医師を、愚直に探しました。


まず相談したのが、ラッパー歯科医師の小安さん(Dr.COYASS)です。
小安さんとは、僕が大学時代にラップ選手権(フリースタイル)に出場した時に知り合って、当時は「白衣着て、現役歯科医師でラッパーって面白いなぁ」と(笑)
小安さんのつてから始まり、共同創業者とアタックリストを作って、飛び込み含めて100人以上の歯科医師にアプローチしました。
何人かの歯科医師から「そういった話、前にも聞いたよ」と言われることがあって、それだけ多くの人たちが、マウスピース矯正を事業化しようと試みているのだと知りました。

ミッションに共感する仲間集めをしてくれる「人事」が欲しい

西野:僕自身がエンジニアで、モノづくりが好きな人間なので、「プロダクトが良ければ、ユーザーもメンバーも自然と集まってきてくれる」と思いたかったのですが、やっぱりそれだけでは「ヒト」は集まらないと実感しています。
今は、我々のミッションに共感してくれる人事の方をメンバーとして迎え、一緒に仲間を探していきたいです!

4度目のピッチ優勝で開眼

神成:西野さんは、アクセラレータプログラムのOnlab「DemoDay」で最優秀賞とオーディエンス賞をW受賞、先日のICC FUKUOKA 2022「D2C&サブスク カタパルト」も優勝されていますよね。
動画も拝見しましたが、どうやってあのような素晴らしいピッチができるようになったのですか?

西野:
とにかく色々な方にピッチを聞いてもらい、都度ブラッシュアップしていった結果だと思っています。

実は、Onlabで3回も落ちているんです。
1回目は教育事業で最終までいったのですが、2回目はペルソナ・マッチングサービスで2次にも進めず、3回目は現業であるOh my teethでエントリーしたのですが、「競合優位性がわからない」「トラクション*がない」」と言われ、敗退。
*トラクション:スタートアップの世界では、事業成長の可能性を示す初期の実績 という意味合いで使われる。

3回目まではきれいなピッチ資料を準備し、「ただ通すこと」に必死になっていた気がします。そして、事業に対する「想い」を伝えることが、圧倒的に足りなかった。

本当に大切なのは、上手く話すことでも、きれいなスライド資料を作ることでもなく、審査員の心を動かし「応援したい」と思ってもらえること。それは、テンプレートを使った、借り物の言葉の羅列では到底難しい。
優勝できたOnlab4回目のDemoDayやICCでは、見せ方だけにこだわらず、自分の原体験を自分の言葉で、アツく事業を紹介することを重視したのです。

また、僕はリーダーシップをとることも、人と話すことも得意ではありません。ピッチで話すことで、会社のミッション、バリュー、僕自身の想いを、Oh my teethに関わってくれているメンバー達に伝えることができ、結束が強まりました。

神成:西野さんのスゴイところは、こういったピッチのノウハウも、スライドも、惜しみなく全て公開しちゃっているところですよね!しかもワークシート付きで(笑)

西野誠 note : 「ピッチ大会優勝時、あえてやらなかった10のこと」
https://note.com/mktnjp/n/nab0e3462d195

「日本人の4人に1人がOh my teethを使っている」未来に向かって

神成:西野さんが絶対ぶれない、大切にしていることはありますか。

西野:シンプルであることに、こだわりをもっています。もっというと “イケてる”かどうか。
我々のターゲットは「歯に悩みのある人」という、とても広いものですが、Oh my teethが創り出すプロダクト、クリエイティビティに共感して素敵だなと思ってくれる方に、ユーザーになって頂きたいと思っています。

ここだけは絶対に妥協したくないです。
ユーザーの声に寄り添って最善・最新にアップデートし続けるのはもちろん、常にユーザーの期待値を超える価値を提供できるようにしていきます。

神成:最後に、今後の展望を教えてください。

西野:2030年までに、日本人の4人に1人がOh my teethを利用していることを目標にしていますので、僕たちがプロデュースするクリニックを、3年以内に70店舗まで増やします。
日本人の歯への意識が高まり、歯科矯正、ホワイトニング、クリーニングといったサービスを、より多くの方が体験する未来を実現します。

そのためにも、歯科矯正にとどまらず、あらゆる歯科体験をDXしていきたいと考えています。

神成:西野さん、本日はありがとうございました!

サービス紹介

日本初のマウスピース矯正D2Cブランド 『Oh my teeth』
白い歯をオンラインで。ホームホワイトニング『Oh my teeth Whitening』
ガジェットライクなオーラルケア『Oh my teeth Home』

https://www.oh-my-teeth.com


【編集後記】

Oh my teethのプロダクト、パッケージのデザインは、シンプル且つとても分かり易く、Apple製品を彷彿とさせるものです。実は、西野さん自身がAppleが大好きで、iPhoneなどのパンフレットをかなり昔から集めているコレクターだと聞いて、妙に納得したのでした。ポスティングの広告物も、領収書にそっくりなもの、不在票に見間違えるものなど、人々から「Oh!」を引き出すイタズラ心が満載。
Oh my teeth さんの躍進に、これからも目が離せません!(神成)


取材日:2022年4月26日
インタビュアー:神成 美智子 / 鄧 雯

文・写真:神成 美智子

最新情報をチェックしよう!