Vol.019 株式会社Swish / 代表取締役CEO・横澤 拓海 さん

第19回は、「空間づくりの常識をアップデートする」をミッションとして掲げ、”アナログな見積作業”をDX化する事業を展開する株式会社Swish(以下本文中は、Swish)、代表取締役CEO・横澤拓海さんにインタビューさせて頂きました!

横澤 拓海 Yokozawa Takumi /代表取締役 CEO

幼少期からバスケットボールを始め、大学(関西学院大学経済学部)では主将を務め全国ベスト8の成績を残す。新卒でコクヨ株式会社に入社し、元国営企業のオフィス移転を複数手がける。独自の工夫で全社2位の利益率という好成績を残す。その後、2019年9月にウォンテッドリー株式会社に中途入社し、100社以上の採用支援を行う。2021年7月に株式会社Swishを設立、代表を務める。

完璧じゃなくて良い、仮説の精度を最速で検証することが重要

NovolBa原(以下、原):横澤さんが起業する際、大切にされたことを教えて頂きたいです。

Swish 横澤(以下、横澤):自身が持っている仮説の精度を最速で上げることを大切にしていました。「世の中はこんな課題があって、こんなソリューションで解決できるのでは?」と思った時に、まずは課題を持っていそうな友人や多くのアプローチを見てきた投資家の方々に、自分のアイデアを当ててみて、良し悪しの反応を見ることが、課題に対する自分の仮説との現実のギャップをすり合わせることに繋がります。

自分の何かしらの原体験が事業の起点になると思っていた私は、まず最初に、過去の自分の経験の棚卸しを行いました。そこで出てきた15個以上のアイデアの仮説・事業スキームを練り、完成度としては20点ぐらいの状態で、周りの友人や投資家に当てていきました。一般的に、その状態で周りに伝えるのは恥ずかしく感じる方も多いですが、これは仮説の答え合わせをする重要な作業であり、正解に辿り着ける最短距離だと思います。
起業したいと考えている人がいたら、100点満点の事業を考えようとせず、自分が考える20点の段階で、ペルソナとなりそうな友人、周りの起業家や投資家にまず当ててみることをおススメします

私はそのような仮説検証を繰り返して、今の事業のもととなる要素を抽出することができました。
具体的には、ビルの再開発やリニューアルなどが進むオフィス領域は国内で数兆円の規模がある大きなマーケットサイズであること。
また、「見積もり作業」が、オフィス家具メーカーに限らず、販売代理店、設計会社、ゼネコンとオフィス構築に関わる全ての業者に絡み、課題を持つ人の数が多いこと。
そして、多くの人が「見積もり作業」に課題を抱きつつも、その面倒さや見積もりミスによる誤発注を長年解決できておらず、課題の深さが異常であること。
以上の3つが明確に見え、このオフィス領域に挑戦しようと思いました。

チャレンジから目を背けることこそ、一番のリスクである

原:「起業したい」と思っても、その後のリスクなどを考えて中々実行に移せない人もいると思います。実際Swishを起業された横澤さんはどう考えられますか。

横澤:まだ創業して1年も経っていないので、大したことは言えませんが、「やりたいことがある、こんな自分でありたい、こんな世界を創りたい」という気持ちがあるのに、スキルを持ってないからという理由で起業をしないのは一番のリスクだと思います。
起業という経験は、アイデアから事業を練り、プロダクトマネジメント、マーケティング、営業、採用、ファイナンスなど様々なスキルが必要になります。誰もが得られるわけでない経験だからこそ、仮に事業がうまくいかないことがあったとしても、チャレンジに対するリターンは非常に大きいです。もし失敗しても、他企業の重要なポジションや、新規事業立ち上げのメンバーに声がかかるなど、再起の可能性はいくらでもあると思います。
人生トータルで考えれば、起業は何のリスクもないことだと思います。

起業に少しでも興味がある方がいたら、身近な課題を解決する形で事業を行ってみるべきだと思います!

自分の能力を過信せず、正しく人に頼り、素早く行動に移す

原:Swishさんを見ると横澤さんを支える、素敵な人の輪ができているような印象を受けました。周りの人を巻き込み、サポートして頂く際、横澤さんが大切にされていることをお聞きしたいです。

横澤:自分の能力を理解し、未熟さや出来ないこと認め、それを補完してくれる人に正しく頼ることを大切にしています。簡単に言うと、「◯◯が分からないので、教えてくれませんか?」とアドバイスを貰うことを常に意識しています。
コクヨ時代、営業のイロハを何も知らなかった私は「今までバスケしかしてこなかったので、営業のやり方がわからないです、、、一から教えてください!」と社内で一番優秀な営業マンにお願いして、学ぶ機会を得ました。今Swishに参画してくださっている事業責任者の飽浦さんも、私に経営やスタートアップの立ち上げ経験もないため、その分野の経験豊富な人を紹介してほしい!と早期に株主に伝えたことで、紹介して頂きました。
一人で解決できないことがあった時に、「どうしようか」とひとりで1日考える時間は、結果、事業の成長を止めることになります。だからこそ、できない自分を認め、できるために何が必要なのか、そのために誰に頼るべきかを素早く、正確に判断することが重要です。

頼った後は、頂いたアドバイスを愚直にやることも大切です。よく投資家さんに、「君はアドバイスしたら翌日にはやっているね」と言われます。アドバイス頂いたことに対して、素早く素直にアクションすることで、それが信頼につながり、周りから更にサポートしたいと思われる存在になると思っていますし、素早くPDCAも回ります。

Swishの今後

作業フローと業界構造の課題を解決するプロダクトを

横澤:
私たちが挑戦するオフィス領域は、案件発生から納品まで、多くの作業フローとステークホルダーで成り立っています。今はその一部分である「見積もり作業」にフォーカスしてプロダクトを開発していますが、今後は発生する作業フローの初めから最後まで、一気通貫でシームレスに価値提供ができるサービスを提供していきたいと思っています。

また、オフィス領域は業者間の情報伝達漏れや生産性の低さも大きな課題となっています。その原因として、1案件に家具メーカー、内装業者、PM設計など様々な業態が関わる多重構造となっていることが挙げられます。私たちのプロダクトが業界の縦のラインを円滑にできる存在となれるよう、提供できるユーザー先をどんどん拡張していきたいと思います。

ユーザー思考を持ち続けられるチームでありたい

横澤:全員が常にユーザー思考を持つチームでありたいと思っています。プロダクトを開発する上で、課題に対する答えを持っているのは結局ユーザーでしかありません。ユーザーから見た時にプロダクトの設計が使いやすいものになっているか、実務フローに乗っているのか、を常に問い続けられるかが、中長期的に見た潜在的競合との差別化になると考えているからこそ、メンバー全員が「ユーザー思考を持ち続けるチーム」であることを大切にしたいです。

こんな人がSwishに向いている!

横澤:Swishは業界の深い課題解決に挑むため、深く現場の実務内容を理解した上で、顧客にとって大きな価値をもたらす組織です。その環境でチャレンジ精神をもって、一緒に成長していける“起業家予備軍”みたいな人はSwishに向いているのでないかと思います。気になる方はぜひご連絡ください!

株式会社Swish

「空間づくりの常識をアップデートする」をミッションとして掲げ、コクヨ株式会社の元営業を筆頭につくられた会社。オフィス構築でオフィス家具メーカーが請け負う、”アナログな見積作業”をDXする事業を立ち上げる。第一歩としてオフィス家具メーカーの営業が行っている作業で最も工数がかかる見積作成と図面照合、及びその修正について、図面から家具情報を読み取ることで見積作成を自動化するプロダクト開発を実施。(webサイトより引用)

株式会社Swish:空間づくりの 常識をアップデートする (swish-inc.jp)

【編集後記
横澤さんのお話を聞くと、「起業したいな」と悩んでいる人も一歩を踏み出す強さを得られるような印象を受けました。日本はまだまだ起業ということが一般的でない中で、「起業」という価値・魅力が横澤さんのお話からとても感じられ、このような起業家がこれからの日本の未来を創っていくのだろうなと思いました!Swishさんの今後がますます楽しみです。(原 康太)

取材日:2022年3月10日
インタビュアー:原 康太
撮影/編集:山田 直哉

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