Vol.010 株式会社APTO / 代表取締役 CEO・高品 良 さん

第10回は、データ収集プラットフォーム『harBest(ハーベスト)』を提供し、AI領域に変革をもたらす株式会社APTO(以下本文中は、APTO)、代表取締役・高品良さんにインタビューさせて頂きました!

高品 良 Takashina Ryo /代表取締役 CEO

2017年、VR事業を手掛けるvLab株式会社を創業。AI開発におけるデータ収集の課題感を知り、2020年に株式会社APTOを創業。データ収集プラットフォームアプリ『harBest(ハーベスト)』を提供している。

「自分たちが挑戦するからこそ提供できる価値」を原動力に

NovolBa原(以下、原):高品さんはvLabとAPTO、2度の起業を経験されていますが、高品さんを起業へと突き動かす原動力は何ですか?

APTO 高品(以下、高品):自分たちが創ったものが、社会にダイレクトに伝わることを実感できることが大きいです。私たちが挑戦しなければ生まれなかったプロダクトをつくり、人に笑顔を提供したいと思っています。

はじめはエンジニアとして企業に就職して、コンビニエンス・ストアのチケット販売機のインフラを開発していました。開発には何百、何千人というエンジニアが関わるので、私はその一人に過ぎません。もちろん大人数で開発することの面白さはありますが、大勢で開発することよりも数人の仲間とプロダクトを開発し、社会に影響を与えることに価値を感じていました。
何万分の1ではなく、数人の1人に届けられるからこそ、ダイレクトに社会の反応を見ることができ、次の行動へのヒントも得ることができると考えています。

総合的な“想像(創造)力”が事業を成長させる

原:事業を成長させていく上で、起業家にとって大切なことは何だと思われますか。

高品:事業成長には、「想像力(創造)」が重要だと思います。「想像(創造)力」と一言でいっても、デザイン、ビジネス、未来予測など、様々な視点があります。そういった総合的な想像(創造)力をもつことで、多角的に事業を見ることができ、事業の成長をより加速させることに繋がると思っています。
私の場合、最初に起業したvLabでの経験が、想像力を養うきっかけになりました。まだVR分野が発達していない社会の中で、ビジネスやデザインの視点はもちろん、事業を進めた先に、世の中にどんなインパクトを与えられるかを想像できたことで、スピード感をもって事業を成長させることができました。

個々の「やりたい!」の共有が、チームの熱量に変わる

原:APTOさんは3名で始められたとお聞きしました。事業を進めていくスタートアップにとって、一緒にビジョンを描いていく仲間がいることはとても重要だと思いますが、同じ志や熱量をもつ仲間をどうやって集めているのですか。

高品:まず自分自身が「やりたい!」というワクワクする気持ちを持つことを大切にしています。自分が興味のあること、楽しいと思うこと、面白いなと思うことに、まず自分が「やりたい!」と、真っ直ぐ意思表示する。そうすると、自然と同じ思いをもった仲間が集まり、「熱量」という共通軸が生まれます。
当時、創業メンバーにあたる3名それぞれが「何かやりたい!」という強い思いを持っていて、100個ぐらいの「やりたいことリスト」を書き出していました。個々の「やりたい!」を、同じ志をもつ仲間に共有できたことで、それが熱量に変わり、今のAPTOの形を創り出せたと思っています。

APTOを知る!起業ストーリー



原:
ここからはAPTOの起業ストーリーを詳しくお聞きしていきたいと思います。まず高品さんはどんな経歴を経て、APTOを起業するに至ったのですか。

高品:今、世の中ではエンジニア不足が叫ばれ、フリーランス・エンジニアというのは非常に重宝されているため、好待遇な職種です。その上、働き方も自由というメリットがあります。一会社員ではなく、「個」として働くフリーランスでの経験を積めたことで、抵抗なく「起業」にも挑戦することができました。
起業に関しては、1社目にVR開発を担うvLab株式会社を立ち上げて、その経験を経て、2社目の株式会社APTOを起業しました。

原:2社も会社を経営されているの‥すごいですよね!2社を起業できた“きっかけ”があればお聞きしたいです!

高品:vLabもAPTOも、起業できたのは「人との出会い」が大きいと思います。
vLabでは、映画でも話題となった『*えんとつ町のプぺル』のVR化を行っていたのですが、それが実現できたのも、若くて優秀な技術をもつアーティストさんと知り合えたことがきっかけです。その人がいたからこそ、私も開発責任者という立場で関わらせて頂き、VR開発を行うことができましたし、vLabをうまく軌道に乗せられたことが自信にも繋がりました。
APTOも同様で、当時、青山のオフィスで行われたイベントに来てくれた高校2年生と22歳の、若いけれどとても優秀なエンジニアに出会いました。それが後にAPTO創業メンバーになった二人です。
こうした素晴らしい人との出会いがあり、共通した思いをもった仲間がいるからこそ、現在も2社を経営することが出来ていると感じています。

*『えんとつ町のプペル』:キングコング西野氏が脚本・原作を手がけた、2020年公開のアニメ映画

原:同じ思いや志を持つ人と出会えたことが大きいでしょうし、その方々とのご縁を大切にされている高品さんだからこそ、今の会社があるのですね。
APTOは最初から今のサービスを考えられて、起業されたのですか。

高品:いえ、当初、創業メンバーで「自動炎上検知サービス」の開発を考えていました。当時はまだ、サイトでの炎上検知を24時間人力で行っていたため、全自動化サービスを提供できれば需要があるな、と。
しかし、その開発途中で、精度をあげるために必要なデータが集まらないという課題に気づきました。AI開発においては「*アノテーション作業」というのですが、それに必要な何百、何千、何万というデータ数を簡単に集められるサービスを提供できれば、AI開発のハードルを下げることができ、より新しい価値を世の中に提供できるのではないかと思いました。

*アノテーション:AIに学習させたいデータに意味付け(タグ付け)を行う作業。画像やテキストなどのデータをAIに学習させることで、判断や抽出できるようにさせ、AIの精度をあげるために欠かせない工程。

自分で情報を集めて、投資家に相談する中で、「アノテーションに必要なデータが集まらない」という課題は大きく、ビジネスとしても、大きなマーケットであることがわかりました。何より自分たちが「面白そう!」と思えたので、『harBest(ハーベスト)』というサービスをつくりました。
『harBest』はAI学習データ(アノテーションデータ)を集めるサービスです。
例えば、「猫」を検出するAIを作りたい人がいたとして、開発するためには、「猫」を識別したデータが何千、何万と大量に必要になります。その大変なデータ収集を『harBest』を使用することで、一般ユーザーに協力してもらい、今までより手軽に集めることができます。また、協力してくれたユーザーに対しても、その対価としてお金やポイントを付与できるので、集める側と協力する側、双方にとって価値のあるプラットフォームになっているのではないでしょうか。

APTOが目指す今後の世界

自分たちが提供するサービスで、新たな概念を創りたい

高品:APTOが展開する「アノテーション」という分野は、日本ではまだまだ認知度が低いですが、アメリカには20代前半が社長を務める企業で、時価総額1000億円を超えるユニコーン企業もあって、海外ではかなり知られた存在です。

アノテーションにおいて、データ収集をする人のことを“アノテータ―”と呼んだりするのですが、我々が提供するharBest(ハーベスト)のサービスを軸に、“ハーベスター”という新たな言葉を認知されるようにしていきたいです。(※名称は変わる可能性があります)
「プロのハーベスターになると、月給20万円以上稼げる」くらいの仕組みを作ることができれば、職業選択の一つになりえるのでは、と考えています。
それは、世の中に新たな概念を提供できている、社会的意義のある素敵なことだと思います。

チャレンジングであるからこそ、大きく成長させたい

高品:会社として上場を目指しているので、そこはしっかりと実現したいです。
VR会社は単純に「自分が好きなことをやれる」ということで始めましたが、APTOは好きだけでなく、ビジネスや市場という視点が、起業の大きな軸になっています。
だからこそ、私にとってはすごくチャレンジングで、ワクワクする挑戦なのです。その想いを大切にしながら、会社の成長スピードを上げて、日本を代表するユニコーン企業を目指していきたいです。

原:会社としてユニコーン企業を目指される考えに加え、ハーベスターという新たな概念を世の中に提供したいという想い、とても素敵だなと感じました!高品さんの会社の今後がますます楽しみになりました。本日はありがとうございました!

株式会社APTO

「AI活用を誰でも手軽に、より身近に実現できるようにする」というミッションを掲げ、AI開発で苦労する学習データの収集・作成を最適化でき、ノーコードでAI開発・運用、ビジネス評価まで実現可能なプラットフォーム『harBest』シリーズを提供。(webサイトより引用)
https://apto.co.jp

harBest

クラウド上でAI開発、データ作成・登録、運用・評価ができるプラットフォーム。AI学習データ(アノテーションデータ)の作成をクラウドワーカーが利用することができ、作業の内容に応じてポイントが貰えるポイ活アプリ。
https://harbest.io/

【編集後記】
高品さんの「私たちが挑戦しなければ生まれなかったプロダクトをつくり、人に笑顔を提供したい」というお言葉に、とても胸を打たれました。誰かでなく、自分だからこそ提供できる価値を届けたい、という強い想いが、高品さんが発する言葉や表情から伝わってきました。
APTOさんが笑顔で溢れる世の中を創られていく今後を、更に注目していきたいですね!(原康太)

取材日:2022年1月19日
インタビュアー:原 康太  写真/編集:神成 美智子 

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