エラフルー山本亮輔

Vol.006 株式会社エラフルー/代表取締役社長・山本 亮輔 さん

第6回は、障害を持った子供たち向けのアートイベントの企画やアトリエ教室を運営する株式会社エラフルー(以下、エラフルー)、代表取締役社長・山本亮輔さんにインタビューさせて頂きました!

 

山本 亮輔 Yamamoto Ryosuke  / 代表取締役社長

重度障害を持つ10歳下の弟がおり、障害を持った人を囲む社会に課題を感じてきた。生まれつきハンディキャップを患ったことによる「“やりたくてもできない”を0にする」未来を実現したいと考え、いくつかのスタートアップでの経験を経て、大学に通う学生4名でエラフルーを創業。

 

個人と会社がwin-winな関係であること

NovolBa原(以下、原):スタートアップにとって、共に成長するメンバーは重要だと思います。どんなメンバーだからこそ、起業、成長を遂げてこられたと思いますか。

エラフルー 山本(以下、山本):想いを持った能力のある個人が会社に依存するのではなく、エンパワーを最大化させる場の一つになれる会社を目指しています。
現在、メンバーとしてフルタイムで入ってくれているデザイナーは、将来、佐藤可士和氏や水野学氏のようなデザイナーになりたいという夢を持っています。そのために今、エラフルーでデザイナーという役目を担ってくれていて、会社としてはデザイナーの力を借りられるし、彼はデザイナーとしての経験を積めるという、お互いにメリットのある関係が成り立っています。

 

当事者意識があるからこそ、自信を持って挑戦できる

原:ハンディキャップの方を対象としたマーケットはNPO法人が多いように感じますが、参入にあたりハードルはありましたか?

山本:特にありませんでした。私も障害を持った弟の育児を手伝っていたという実体験があったので、自分事としてマーケットの課題感を理解していましたし、周囲からの共感もありました。マーケットが存在していること、かつ当事者意識があること、加えてビジネスとして成り立つことを踏まえ、自分の想いに正直に“心からやりたい!”と思えることだったので、自信を持って挑戦できました。

 

裁量権を持って挑戦できる環境が自己成長に繋がる

原:学生で起業できたのは、過去のどのような経験が役に立っていると思いますか。

山本:大学生の多くはサークルに入ると思いますが、私は起業への意志もあったので、“隙間時間バイト”で有名な株式会社タイミーでインターンをしました。
当時、新規事業としてフードデリバリーサービスの立ち上げに運良く関わることができました。社長の小川さん直下という夢のようなポジションで、自分の意思決定で色々なアライアンスを獲得する、という貴重な経験もさせて頂きました。
学生の早い段階でスタートアップの新規事業に参画したことで、ビジネスの場で実践経験を積むことができ、大きく成長することができたと感謝しています。

 

スタートアップでの経験と当事者意識が起業に繋がった

原:どのような経緯でエラフルーを創業するに至ったか、お聞かせください。

山本:現在、慶応義塾大学に在学中で、学生起業という形で創業しました。大学入学後すぐに、株式会社タイミーでインターンをしました。そこで新規事業の部署に参画させて頂き、その後、株式会社LITALICOで『LITALICO発達ナビ』という独自メディアでもインターンの経験を積み、起業しました。

エラフルー創業のきっかけとして、重度の障害を持ち特別支援学校に通学する10歳下の弟が関係しています。
障害を持たない子供たちに向けたアート教室は結構あると思うのですが、障害を持つ子供たちの教室はほとんどありません。アートに使う筆を乱暴に扱ってしまう、アクリル絵の具を食べてしまう、という理由からでした。
それならば、障害を持つ子供たちがアートに触れる場を自分たちで創ろうとスタートし、最初はプロジェクトという形で、アトリエ教室やアートイベントを小さく企画運営していました。
少しずつニーズと手ごたえを感じた為、次のステップとして、子供たちが描いたアート作品を芸術大学に通う学生がリメイクして、作品として発信や販売することを始めました。

原:現在、具体的にはどのようなクライアントと協業してユーザーに提供されているのでしょうか?

山本:アート教室では、子供たちが思いっきり描けるように画材には段ボールを使用しますが、企業様から段ボールを提供頂く流れもできております。
某企業では配送のための段ボールをたくさん抱えて、廃棄に困っていらっしゃいました。廃棄予定の段ボールを私たちが頂き、子供たちが描くアート作品という価値あるものに生まれ変わらせることができています。

子供たちの作品は主に「to C向け」に販売していますが、今後は、個展を開くアーティストさんに対して、作品の貸出を提案していきたいと考えています。
例えば、ご自身の作品の在庫が4つで、個展開催にあたり、あと数点必要だなという時、エラフルーが所有する子供たちの作品を貸し出して飾ることができます。
手間とコストをかけずに、個展空間に彩りを添えることができますし、子供たちのパワフルなアート作品を展示することは、社会意義のあることとして共感を頂けると思うのです。

 

エラフルーが目指す今後の世界

左:CDO 林 宋其 右:CEO 山本 亮輔


社員が家庭を大切にできる会社でありたい

山本:会社として上場を目指し、大きく成長していきたいと考えています。
これから事業の幅も広げていきたいと思いますし、沢山ある事業を掛け合わせていくことで、新しい価値を創っていくこともしていきたいです。
加えて、自分のミッションの1つでもありますが、一緒に挑戦していく社員の皆が、それぞれの家庭を大切にできるような、生活の豊かさも手に入れられる会社を目指します。

原:エラフルーさんが挑戦される世界がますます楽しみです。本日はありがとうございました!

 

 

株式会社エラフルー

障害のある子供たち向けのアートイベントの企画やアトリエ教室を運営。生まれつき障害などのハンディキャップを患ったことによる「”やりたくてもできない”を0にする」をミッションに、アート作品・アートライセンスの販売・アトリエ教室の運営・アートイベントの企画を行っている。(webサイトより引用)

【編集後記
弟さんが障害を持たれており、当事者意識の強かった山本さんだからこそ挑戦できた領域なのだとわかりました。
“起業”を志し、学生の頃からいくつかのスタートアップで経験を積まれたことが、今の挑戦に繋がっているのですね。
取材の後、その足でエラフルーさんが主催する『一緒につくる、点。』に行ってきました。一つ一つに個性があり、それを描く子供たちの素敵な姿が想像できるようなアート作品ばかりでした。2022年2月まで有楽町マルイにて開催中ですので、ぜひ行ってみてください!(原康太)

「一緒につくる。展」
会期:2021年12月11日~2022年2月28日
時間:11:00~20:30(有楽町マルイ営業時間に伴います)
会場:〒100-0006 東京都千代田区有楽町2丁目7-1 有楽町マルイ 8F共有スペース

取材日:2021年12月14日
インタビュアー:原 康太  写真:西 可菜子   編集:神成 美智子

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