今回は、株式会社フェイガーのCEO 石崎 貴紘さんにインタビュー。石崎さんは海外で仕事をしていた際に、日本の産業の衰退や経済力の低下にとても悔しさを感じていたそうです。その想いもあり、農家向けの脱炭素施策の収益化サポートを通して、日本の農業・国力に大きく貢献することを目指していくとのこと。そんな石崎さんに、WITHが4つの質問をぶつけてみました!
1. なぜ起業したのか?
正直言いますと、自分が起業するとは全く考えていませんでした。私はコンサルタントとして日本やシンガポールで働いていたのですが、その時にフォースタートアップス社の志水代表から「君はこれまで良い教育を受けて、貴重な経験もしてきたのだから、社会に還元した方がいい。だから起業しなさい」と言われたんです。突然だったのですが、自分にはその言葉がすごく刺さってしまって。そこから起業を考え出しました。
事業に関しては、日本の競争力に寄与できるものが良いと思い、欧米にルール・仕組み作りで出遅れている脱炭素の分野にフォーカスしました。そこから、脱炭素クレジットを活用した農家の収益サポートの事業で起業することを決意しました。
2. これまで大変だったこと、乗り越えたこと
大変というより、自分が恵まれたと思う話になるのですが、それは「仲間」ですね。脱炭素や農業の専門家でもない自分がこの事業をやると決めてしまったので、絶対に仲間が必要でした。なので、この事業をやりたい!という気持ちだけは本当に子供のように周りに伝えていました(笑)。そうすると、農業経験のある方や、トップ営業マンだった方とか、この人が最適だと思う人が集まってくれて。仲間が集まってくれなかったら本当に厳しかったと思うので、感謝すると共に、自分はすごく恵まれているなと思いました。
3. このマーケットで挑戦する面白さは?
この脱炭素クレジットを活用した農家の収益化サポートは、農家のためにもなるし、脱炭素クレジットを必要とする企業のためにもなる。そして地球環境にとっても良いことです。それに、誰かの仕事がなくなったり、競合のシェアを奪ったりすることがない、つまり「敵」がいないんです。本当にピュアな気持ちで、これをすれば日本や環境のために良くなるんだと思って作っていけるマーケットなので、そこがとても魅力的です。コンサルタントの時代は、市場戦略や競合分析などをやってきたのですが、それとは違って現在は存在しないマーケット作りをスタートアップとして挑戦できるのは、とても面白いですね。
4. 作りたい世界は?
まず今年2023年は、サービスを農家さんに届けて、脱炭素の取り組みをしたときに収入が得られるようにしたいと思っています。そして2024年以降は、海外展開を考えています。アジア全体で脱炭素×農業という取り組みが幅広く行われていて、農家さんはそれで収入が得られ、農地が脱炭素のエコシステムにしっかり組み込まれている世界を創りたいと思っています。このように脱炭素クレジットで農家さんの収入を上げることに貢献し、その先は日本の農家の収穫量も増やしていくような取り組みも見据えています。来たる世界の人口増加に備え、自分の国の食料をできるだけ自分たちで賄えている状態を作り、国の競争力に寄与できればと思っています。
プレスリリース
【以下、プレスリリースより引用】
農業由来カーボンクレジットの「フェイガー」、シードラウンドで7,200万円の資金調達を実施
<ボランタリーカーボンクレジット流通を通して、日本が世界水準で脱炭素を推進するためのインフラを整えます>
農業由来カーボンクレジットの生成・販売及びボランタリークレジットの調達サービスを行う株式会社フェイガー(東京都港区、代表 石崎貴紘、以下 フェイガー)は、インキュベイトファンドを引受先とする第三者割当増資により、7,200万円のシードラウンドの資金調達を実施しました。今後は、調達した資金をもとに、農家向けプロダクト開発及び、ボランタリーカーボンクレジットのマーケットプレイス開発に注力します。
・設立の背景
世界の温室効果ガス排出の10%は農業由来です。この現状に対して、米国では「農家が温室効果ガスの発生を抑えるような農法を行い、その削減分をカーボンクレジットとして大企業に販売することで、地球環境への取り組みに対してお金が還元される仕組み」がIndigo AG、CIBO及びNori等のスタートアップの主導により推進されています。
一方日本では、脱炭素に貢献する農法に関心を寄せる農家が一定数存在しているにも関わらず、特に国内の認証機関であるJ-クレジットにおける申請の煩雑さやモニタリング手法が未整備であることなどから農業由来のカーボンクレジット生成に遅れを取っているのが現状です。また、、日本の企業サイドでは、脱炭素の流れの高まりに伴い温室効果ガスの可視化の動きが加速する中、削減方法の一つであるカーボンクレジットは、現状のもののみでは「量・質共に不十分」と課題を抱えており、ボランタリークレジットの活用や新たなマーケットプレイスの実装を望んでいる状況です。
フェイガーは、これらの現状に対して、下記2つのサービスを通して「地球環境への取り組みに対してお金が還元される仕組み」を日本及びアジアへの実装に取り組みます。
・プロダクトについて
脱炭素の収益化サポートサービス
農家向けの、脱炭素に貢献する農法のカーボンクレジット化をサポートするサービスです。従来、煩雑かつ膨大な事務作業を要していた農家の「脱炭素の取り組みの記録」「国際認証機関に申請」「信頼性のあるカーボンクレジットとしての承認」。「企業向けの販売及び金銭を得る」といった一連の流れを、最小限の手間で実現します
ボランタリーカーボンクレジット調達・利用サポート
企業向けのボランタリーカーボンクレジット調達・利用サポートです。「企業方針に合致するクレジットを最適な金額・量・タイミングで購入したいが、生産者やブローカーが多数で難しい」かつ原則海外とのやり取りになるのがさらにことを複雑にしている」という企業の担当者の課題に対して、フェイガーがサポートします。クレジットの生産・販売を行う当社だからこそ適正な価格で、かつ信頼のおけるクレジットのプランニング、調達、利用サポートを行います。
会社概要
会社名:株式会社フェイガー
設立:2022年7月
代表:石崎 貴紘
所在地:東京都港区南青山2-2-15 WIN青山531
URL:https://faeger.company/
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