昇る場case.05「社内外のつながりを育む、文化発信の場」株式会社スペースマーケット

「スタートアップの働く場」にフォーカスする連載企画。
第4回は、コロナ禍真っ只中に渋谷区神宮前に移転し、新オフィスを構えた株式会社スペースマーケットに訪問しました。スタートアップにとってのオフィスの“場”をどう考えていらっしゃるか、お話を伺いました。


背景

前オフィスの課題は、2部屋に分かれていたプロダクトサイドとビジネスサイド双方のコミュニケーション不足。コロナ禍にあっても、チーム間のつながりの必要性を感じ、コミュニケーションがより生まれるオフィスを求め、2021年6月に渋谷区神宮前に移転。

・計画から移転までの期間:2019年12月〜2021年5月(コロナによる一時中断、方針転換あり)
・移転プロジェクトメンバー:倉橋、役員一同
・移転のキーワード:コミュニケーション(社内・社外)


重松 大輔 Shigematsu Daisuke / 代表     取締役社長(写真左)

倉橋 愛里 Kurahashi Airi /
コーポレートリレーショングループ グループリーダー(写真右)

「このチームであること」、を意識できるオフィス

NovolBa 原:今回の移転で、大切にされたポイントをお聞きしたいです。

スペースマーケット 倉橋 :今回のオフィス移転のポイントは「コミュニケーションが生まれるオフィス」でした。移転を考え始めたのは2019年のことで、当時は新宿にオフィスを構えていました。人数に合わせて増床し、オフィスが2部屋別れてあったのですが、プロダクトサイドとビジネスサイドで分かれていたので、双方のコミュニケーションが減っていました。
その課題を解決すべく、次のオフィスはワンフロアで、全員で集まれる場にしようと考えていました。移転を検討しているうちにコロナ禍になり、新宿のオフィスも1部屋に縮小。出社は週1〜2となる中で、出社時にはよりコミュニケーションを大切にできる場を創ろう、という想いで移転に踏み切りました。   

:フルリモートの企業も増えていますが、「リアルでのコミュニケーション」を非常に重要視されているんですね。

スペースマーケット 重松:創業初期からエンジニアは週1でリモート勤務も行っており、働き方を選択できる環境は整えていました。しかし、昔から「同じ釜の飯を食う」と言うように、直接会って食事を共にして、場を共有することは絶対に必要だと思います。リアルのつながりはとても大事で、そこをないがしろにして成功した会社はないように思います。

リアルであることの良さはいくつかあると考えており、1つは、リアルな場で側にいると、ちょっとした変化にも気づけて、個々の支援がしやすいこと。従業員のウェルビーイングを保つためにも大切だと思いますね。

もう1つは、効率の良さ、熱量の伝わりやすさです。弊社は、新しいサービスやトレンド、プロダクトを開拓していく会社です。新しいものを生み出すときには、やはり顔を突き合わせた方が、圧倒的に効率が良いです。もちろんオンラインチャットなどの伝達ツールも発達してきて、効率化はされているんですよ。しかし、ツールでは決して補えない、リアルでのコミュニケーションの強みがあります。

ずっとリモートで会わない、ZOOMでも顔を出さないでいると、つながりが希薄になってしまいますリアルな場に集まることで、お互いを補い合ったり、高め合ったり、苦労しながらチームとしてどんどん新しい価値を生み出すことができます。結果、このチームでやることの意味を感じられ、会社としての大きな成長に繋がるのではないでしょうか。だからこそ、リアルは大事だと思っています。

出会いは一生もの、チーム作りの極意

:リアルな場を通した「チーム作り」において、大切にされていることをお聞きしたいです。

倉橋 :スペースマーケットに一度関わった以上は、一生の出会いにしていきたいと思っています。どの企業においても、人との出会いや別れは     どうしても訪れます。表面上の関わりだと、その関係性がすぐに終わってしまうことがあるんですよね。しかし、私たちは、一度仲間になった人たちの「その後」も応援したいと思っています。後々、一緒にコラボできるかもしれませんしね。オフィスを移転したのも、つながりやコミュニケーションを大事にする狙いがありました。会社では、オフラインでのコミュニケーションも大事にしようと、合宿や交流会も行っています。

重松 :ここで出会ったメンバー同士で起業するかもしれませんしね。せっかくなら一緒に成長していきたいと思っています。

自分らしさ、を表現できる場

:事業としてスペースを貸し借りできるプラットフォームを運営される中での「場の可能性」についてお聞きしたいです。

重松 :このビジネスを立ち上げたとき、スペースの可能性を強く感じました。驚くほど多種多様な借りられ方をしているんです。会議室やパーティスペースだけでなく、レンタルジムやレンタルサロンなどカテゴリーは様々です。最近すごいなと思ったのは、本人不在の誕生日会。アイドルやアニメのキャラクターといった、いわゆる「推し」の誕生日会のスペースとして利用頂いてます。

倉橋 :スペースは自由に使えるからこそ、利用者の方の想いによって、価値は無限大であると感じています。例えば、始めはオフサイトミーティングの会場に、と考えていたお寺や古民家が、いつの間にかコスプレイヤーの方から人気を集めるようになったことも事例としてあります。どのように場を使うのか、その選択肢が日々増えているように感じます。

重松 場には、自分を肯定して、認めてくれる力があると思います。この事業を行っていて、場の自由度が高まったことはおもしろいなと思いましたし、結果的にトップラインの成長にもつながりました。

全員が同じ解像度を保てる環境を創ること

:会社組織を作る上での戦略や、大切にしていることはありますか?

倉橋:弊社のオフィスのラウンジや会議室は、スペースマーケットを通して社外の方に貸し出しも行っています。その運営担当は、社員です。交替で担当していて、エンジニアや新メンバーにも積極的に入ってもらうようにしています。時には、アイドルの方や著名人の方がゲストとして来られることもあるんですよ。社員がホストになり実際にゲストの対応を行うことで、画面上の機能だけではなくてユーザーの様子や声を体感できます。リアルな場を体感するのは、弊社のカルチャーの1つでもあります。

:ユーザーと直接接点を持てる場があることで、組織が大きくなっても、全員が同じ解像度を持つことができ、社会的価値も感じることができますね。

場所にも人にも、“自由”を大切にしたい

:今後の展望をお聞かせください。

重松:場所と人の流動性を作る会社になりたいと思っています。弊社のサービスを日本各所に広げていきたいですし、もっと自由な使い方も増やしていきたいです。日本の問題の1つは、流動性のなさだと思っています。人の住むところやオフィスなど、都市部だけでなく地方にも働ける場所があると、人の流れができて経済が回ったり新しい産業が生まれたりすると思うんですよね。気分や状況に合わせて人や場所を流動させていくことで、社会に活気が生まれるのではないかと思っています。

:とても素敵なビジョンですね。最後に、どのようなチームを目指しているのかお伺いしたいです。

倉橋:いろいろな人が、自分の働き方を実現できるチームにしていきたいです。出社のペースも、週1、2ぐらいの人もいれば、毎日出社する人もいて、個人が抱える事情は様々です。柔軟に対応しながらも仲間意識が醸成されて、一緒に高い成果を出せる、そんなチームにしていきたいと思っています。

こだわりの場

キッチン付のラウンジスペースは社員同士の交流と社外のコミュニケーションの起点となっている
みんなでランチにカレーやパスタを作る日もあるとか。メンバー同士の繋がりを生む場として、キッチンスペースは非常に重要となっている。
ラウンジスペースはシェアスペースとして貸し出し。使用されたお客さんのサインのある木箱の棚があり、記憶が刻まれるスペースとなっている。
渋谷神宮前の通りが見渡せる全面ガラスのスペース。まるで外にいるような心地よい空間だ。
リラックススペース。人工芝にクッションが置かれており、ホーム感を味わえる。
見通しの良いオープンな空間。コーポレートカラーの緑の壁が印象的な執務スペース。
執務スペース近くには6つのVALUEが掲示されており、日常の中でチームを意識できる仕掛けが。
個室の看板。会議やweb会議用の個室が数か所あり、それぞれにCONCEPTが記載されていた。
ZEN=禅をコンセプトとした部屋。生け花を連想させる花と和紙のクロス壁が印象的。

1月にイベントを開催予定!

株式会社スペースマーケット

「チャレンジを生み出し、世の中を面白くする」 をビジョンに掲げ、空き家や廃校などの遊休不動産を貸し借りするプラットフォーム「スペースマーケット」の運営を行う。「スペースマーケット」は、インターネット上で運営しているプラットフォームであり、スペースを貸す側 (ホスト)と、スペースを借りる側(ゲスト)は、モバイルやPCを利用して簡単にスペースの貸し借りの取引ができるサービス。


【編集後記】

チームとしての成長を遂げるために場が必要であるというお話はとても共感するポイントでした。リモートだと「目的のみ」の打ち合わせが増えるため、会議前後の雑談やちょっとした相談が難しいです。場を共有していることで、コミュニケーションできる余白の時間が生まれるのではないでしょうか。このメンバー・チームでやっているんだ!という一体感を常に感じるためにもリアルな場が非常に重要であると改めて感じました。(原康太)


取材日:2022年10月3日
インタビュー/編集/撮影:原 康太
校閲:山田 直哉

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