【イベントレポート】スタートアップの採用はCEOのオープンマインドから!出会い方と口説き方

NovolBaライターの麓(ふもと)です。キャリアのほとんどを社会課題にアンテナを張り、パラレルに歩んできました。社会課題解決に挑むスタートアップは今後キャリアを歩む上で、とても魅力的な界隈です。 そんなスタートアップの採用について、経営者の方々の駆け込み寺的イベントがあると聞き、こっそり覗きに行ってきました。採用において良い候補者と「会えない問題」と「口説けない問題」がある…経営者側からお聞きした内容をレポートします。

イベント概要

  • テーマ:シード・アーリー企業必見!スタートアップ採用の駆け込み寺
  • 開催日:2023年11月22日(水)19:00-21:00
  • 場所:Open Innovation Biotope “Sea” 東京都港区赤坂1-8-1 赤坂インターシティAIR 13階 株式会社オカムラ内
  • 登壇者:藤岡 清高(株式会社アマテラス 代表取締役CEO)                鄧 雯(株式会社NovolBa 代表取締役) 
  • 共催:株式会社アマテラス、株式会社NovolBa

ファシリテーター、登壇者

NovolBaの鄧雯です。小さい頃からアニメを中心に日本文化が大好きで、二十歳の時に中国から来日しました。院卒後ミスミという機械部品専門商社に入りましたが、マーケがやりたくてオカムラへ転職。そこで新規事業の立ち上げに携わり、NovolBaを創業しました。挑戦者が輝く世界を目指して、中古オフィス家具のサブスク事業とメディア事業を行なっています。
アマテラスの藤岡清高です。新卒で銀行へ入り、その後ドリームインキュベータへ。金融バックグラウンドですが、経営者の方々から聞くのは人材のお話ばかりだったので、スタートアップ専門の採用サービスアマテラスを2011年に立ち上げました。日本からGoogleやFacebookを100社創出することを掲げており、優秀な人がどんどんスタートアップに参画して欲しいと考えています。

イベント内容

攻めの採用!良き候補者との出会いは「自ら作る」 ~無名の会社の採用の課題4つの壁~

私も創業3年目になり、採用の課題は大きいです。良い採用候補者と接点を作るにはどうすれば良いのでしょうか。 藤岡無名の会社に就職したい人は少ないかもしれないですが、出会えないことはないです。ではどうやったら出会えるのか?シードやアーリー期のスタートアップの採用候補者との出会いにはこんな4つの問い直しが必要です。 ①人材エージェント任せにしていませんか? ②適切なスカウトサービス・リファラルを活用していますか?(攻めの採用) ③スーパーマンを採用しようとしていませんか? ④副業・リモートワークを活用していますか? この4つの壁を乗り越えると、良い採用候補者に出会えるようになります。

出会いの壁①エージェント任せは負ける

:出会いはどうやったら作れるのでしょうか?人材エージェントはどうですか。 藤岡転職エージェントも方法の一つではあります。しかし、大きい会社に比べ、小さい会社、採用数が少ない会社はどうしても候補者の確保が難しいです。そのため、人材エージェントに依存するのは、スタートアップの創業期にはお勧めできません。

出会いの壁②スカウトやリファラルで取りに行く

藤岡転職市場には労働人口の2割が顕在していると言われます。スタートアップは転職潜在層の8割を狙うべきです。職種ごとに採用候補者がどこに集まっているのか、現れるのかを知って自分で取りに行きましょう。エンジニアなど専門性高い職種の方はスキルアップのために会社の枠をこえて勉強会や情報交換など社外のコミュニティに参加することが多いです。実は、採用が上手なスタートアップは足を使ってそのようなコミュニティに参加して出逢いにいっています。 私の知り合いの地方の会社は、自社のエンジニアを都内の勉強会へ社費で参加させて、仲良くなった都内のエンジニアを呼び寄せて「いい会社だ、いい土地だ」 と好きになってもらい、転職を成功させています。地方から東京のエンジニア人材を40人採用した事例です。 長期的に潜在層にタッチしておくことが重要なのですね。 はい。スタートアップはマネーゲームに入ったら残念ながら負けます。しんどいです。スタートアップ採用の勝ち筋は、大企業やメガベンチャーがやりたがらないことをやるところにあります。

出会いの壁③スーパーマンを採用しようとしない

スタートアップこそ優れた人材が欲しいと思いがちですが、その点はいかがでしょうか。 藤岡スーパーマン採用は他人任せにしてはダメです。採用するためのポイントは3つです。 ポイント1:CEOもネットワークから見つけて「口説く」 ポイント2:マーケットで若手を見つけて「育てる」 ポイント3:採用条件を柔軟に。大企業が採らない人を狙う。 これだけは!という条件だけは守って工夫しましょう。

出会いの壁④副業やリモートワークで柔軟な条件を

スタートアップこそ副業や業務委託への条件を緩和しやすいですよね。 藤岡そうなんです。スタートアップこそ副業や業務委託のプロフェッショナルを採用しやすい状況にあります。そこから正社員になる事例もあります。業務を教えるのもコストなので迷うかもしれませんが、可能性が1%でもある方には、正社員化のコストを惜しむべきではありません。正社員化の際の気持ちの変化は、「この人たちと一緒に働きたい!」と思うか、「仕事が面白い!」のどちらか、あるいは両方に収斂されます。 最近は、プロ人材の「地方プライス」がなくなっています。賃金の地方格差がなく、地方在住なら安い年収で採用できるとは限りません。逆に地方の会社側から見ると、難しい状況かもしれません。

「非合理な転職」は効率を求めない口説きから

:4つの壁を越えて良い採用候補者に出会えても口説けない!という課題もあります。 藤岡これはCEO自らが採用にフルコミットしているかどうか、CEO自らがいかに候補者を口説いているかが問われます。スタートアップにおいて人事権を持っているのはCEOです。採用リーダーとして、フルコミットは難しくても最低20%の時間は割きましょうと私は話しています。採用にフルコミットして良い人材を採れているCEOはこんなことをしています。 ・毎日自らアマテラスにログインしてチェック ・一次面談にCEOが出てMVVを語る ・採用に30%以上の時間使う ・最後はCEOと候補者の人間関係と理解する スタートアップへの転職にはしばしば「非合理な決断」が下されています。それはCEO自らが口説いた時に起こっていることが多いのです。在籍している会社前で待ち伏せされるとか、最終面談前日に会いに来られるなどのCEOの行動で、自分のことを絶対に大事にしてくれると思えた時に人は動きます。採用に効率を求めてはいけないのです。

候補者家族を巻き込んで魅了する!CEOインタビューの力

“採用広報、という点ではいかがでしょうか。 藤岡アマテラスもNovolBaさんもメディア事業を展開していますが、社長や社員のインタビュー記事は、採用手段としてとても有効です。最終面談前には、多くの候補者が家族やパートナーに「この会社どう思う?」と相談しているからです、その際にインタビュー記事を見せることで周囲からポジティブな反応を得ることでアマテラスの調べでは内定承諾率に2.5倍の差が出ています。「この社長だからこの会社に行きたい」「好きな社長だから」という動機で「非合理な転職」は起こります。 NovolBaのメディア「WITH」でも、社長や社員の考え方にフォーカスしたインタビュー記事を多く書いています。面談でMVVを語るのと同じくらいこうした記事は大切で伝わるかもしれません。実際、当社が取材したスタートアップ先で、プロフィール替わりに記事を活用して頂く先も多いです。メディアに書いてもらうのもいいし、noteなど自分で書くのもいいし、それこそYouTubeなどの動画発信もいいかもしれませんね。

リアルな場を活用する!オフィスが語るMVV

藤岡良い会社はMVVがしっかりと掲げられているだけでなく、社員にちゃんと腹落ちしているものです。オフィス事業を展開しているNovolBaさんがやっていることを教えてください。 NovolBaは人と人との出会いをどう作り出すか、という課題において、リアルの場の活用を追究しています。採用の決断前に、実際オフィスに来てもらって働き方などを見てもらう機会ってあると思うのですが、採用候補者にとっては、面談でCEOたちが語ったMVVや未来予想図と、実際の足元や現状は合致しているのかを見極める機会でもあります。リアルな場での答え合わせですね。 そういう意味でリアルオフィスはMVVを体現する場です。表現が上手なオフィスの事例を紹介したいと思います。 ・Shippio(開運貿易クラウドサービス) グローバルにゲームチェンジして行きたいという社長の思いが随所に表現されています。一方で社員の描いた海の絵が一面に展示されているなど、エモい演出もあります。社長の席は常に入り口に設置され、話しかけやすくしているそうです。(過去WITH記事:https://novolba.com/media/shippio ・助太刀(建設業現場と職人のマッチングプラットフォーム) 会議室それぞれの名前がバリューになっており、MVVが自然に浸透しています。建築業界の会社なので、現場に行けずとも現場を感じられるようにと、オフィスの随所に建材が使われています。 (過去WITH記事:https://novolba.com/media/sukedachi ・スペースマーケット(レンタルスペースプラットフォーム) オフィス内にレンタルスペースがあり、自社のやりたいこととユーザーの利便性、自社サービスのブラッシュアップの一石三鳥を実現しています。ユーザーの生の声が得られ、エンジニアとエンドユーザーの接点も作れるそうです。 (過去WITH記事:https://novolba.com/media/spacemarket 次に、資金が潤沢になくてもできる、お金がかからないMVV実現の事例を挙げます。NovolBaは中古家具のサブスク事業を展開しています。 ・オフィスの定期的アップデート FractaLeapさんで、メンバーを巻き込んで行いました。同じスペースで、メンバーの増加や働き方の変化に合わせて、レイアウトをアップデートしています。 ・オフィスの賑わいコーナー 食べチョクを展開するビビッドガーデンさんは、オフィスの一角にカフェコーナーを作っています。また、コアメンバーと新規メンバーの交流を図ってのパーティーや書初め大会開催と、その書き初めを展示してストーリーとして表現しています。 ・オフィスでの食事会とSNS発信 製造業設計DXのThingsさんはオフィスで頻繁にピザパーティーや寿司パーティーを開きます。社長のキャラが立ったSNS発信も展開していて、まさに社長の人柄での採用が成功している事例です。

社長のオープンマインドにこそ勝算あり

藤岡誰もが知っている大手企業のトップの話ですが、今でも飛行機や新幹線の隣の人に話しかけては自己紹介して良い人と思ったらうちの会社来ないか、と名刺を渡してスカウトするそうです。こちらからオープンマインドになることが大切ですね。 今日は、普段モヤモヤしていたことをたくさん言語化することができました。MVVをしっかりと体現、表現していきたいです。社長自身の人柄を磨くことも大切ですね。今日はありがとうございました!

参加者の声

・採用へのハードルを感じていたのが、少しスッキリとしました。明日から早速意識して動きます。 ・どう候補者が口説くか、どう会社の想い・意志を伝えていくかのステップが理解できた。 ・副業からファンにさせ、正社員として巻き込んでいくストーリーがイメージできました。

関連情報

株式会社アマテラス 「日本からGoogle・Facebookを100社創出する」というビジョンを掲げ、アーリーステージに特化したスタートアップ専門の転職・副業サービスを運営しています。今後も優れたスタートアップ企業とスタートアップ参画を目指す方々のマッチングをサポートして参ります。 ■アマテラスについて(法人向け)https://amater.as/message/) ■スタートアップへの参画を目指す方https://amater.as/) 株式会社NovolBa (https://novolba.com/) 「挑戦するスタートアップの成長を支える」をミッションに掲げ、スタートアップ向けに最適なオフィス・家具のサブスクリプションサービスを展開。スタートアップに光を当てるメディア「WITH」では、起業や経営、投資にフォーカスした情報発信をしています。挑戦するスタートアップの”昇る場”を提供します。
取材日:2023年11月22日(水) 文 / 編集:麓 加誉子 写真:原 康太 編集/校正:原 康太
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