ココナラ 奥祥弓

Vol.033 株式会社ココナラ / CS部 部長 奥 祥弓さん

第32回は、日本最大級のスキルマーケットを運営するココナラ、カスタマーサクセス部・部長 奥 祥弓さんにインタビューさせて頂きました。自由度の高いマッチングプラットフォームにおいて、ユーザーを成功体験に導くためのカスタマーサクセス(以下、CS)の対応は多岐にわたります。ユーザーの成功体験を生み出し続けるために、CS部ではどのような取組みをされているのか。また、組織の在り方についてもお話いただきました。

奥 祥弓 Oku Yoshiyumi / カスタマーサクセス部・部長

関西大学在学中、フリーペーパーや携帯電話販売を扱う学生起業家として活動。2011年に楽天株式会社へ入社し、出向先である楽天カードでコールセンターなどの業務改善領域を担当。事業内容と事業ビジョンへの感銘を受け、2018年7月より株式会社ココナラへの入社を決意。ココナラでは、「ユーザーのサクセス」「ココナラのサクセス」「働くメンバーのサクセス」という三軸で日々運営を行う。

個性が生き生きと輝く社会に

NovolBa西(以下、にし):新卒で楽天に入社され、ココナラに転職された経緯を教えてください。

ココナラ 奥(以下、奥):楽天では、新卒から楽天カードに出向していました。出向先の社長は「日本一のクレジットカード会社になる」という目標を掲げていて、私は社長と共に成し遂げようとするメンバーがとても好きで、絶対にその目標を達成したいと思っていました。 7年目でようやくとある指標において達成することができ、楽天カードは単独でも大きな会社ですが、その中でも少しは力になれた実感はありました。 また達成が見えてくる中でこれから伸びていく事業で、さらなる挑戦をしたいと思い転職を考え始めました。

にし:奥さんは、市場を開拓していくところにワクワクを感じますか。

奥:そうかもしれないですね。転職する際は、後世に意義のある事業を残せること、現場の責任者として意思決定ができること、その事業が好きと思えることを重要視していました。
その中で転職エージェントにココナラを紹介頂きました。早速サービスを使ってみて、「これは、面白い!」と思い、面談に進みました。 裁量権が大きい仕事を任せてもらいながら、当時のシェアリングエコノミー業界は楽天の発展期に似た勢いを感じたことも魅力的に映りました。

にし:入社の一番の決め手はどの部分だったのでしょうか。

奥:ココナラのビジョンである「一人ひとりが”自分のストーリー”を生きていく世の中をつくる」にほれ込んだ、というのが大きいです。
これは僕の中学時代の原体験に遡ります。中学のクラスメイトは様々なバックグラウンドを持った子が混ざり合っていて、勉強して良い大学に行きたい人、スポーツ選手を目指す人、パワーが有り余ってやんちゃな人、お金持ちの家庭の人とそうでない人、絵を描くのがとても上手い人など、得意・不得意も大きく差がありながらそれぞれが何か輝くものを持ち、個性が活かされている環境が、僕はとても好きでした。 しかし、高校や大学に進学するとバックグランドが似た人が集まります。社会的に評価されるのは、結局偏差値やスポーツの成績だったりしますよね。それだけでは人の価値は決められないのに、という違和感がありました。
その時から、誰もが自分の個性、得意、好きを活かし、生き生きと輝ける社会にしていきたいと考えていましたので、それを実現するのが、まさにココナラのサービスだと思いました。

ユーザー・ココナラ・メンバーの“サクセス”を支える組織づくり

にし:自分のスキルが必要な人に届くことで、その人らしさの輝きをつくり、また、誰かのスキルを借りることで自分の苦手や不足を補うことができる。それが自分のストーリーを生きることに繋がる、すばらしいプラットフォームだと思います。一方、出品されるスキルは本当に多種多様で、全てのユーザーを満足させるのは、難しそうですよね。
具体的に、CSのお仕事内容を教えてください。

奥:チャーン率などを目標とする一般的なカスタマーサクセスとは定義が大きく異なるのですが、ココナラのCSは3つのチームによって構成されています。
1 カスタマーサポートチーム:ユーザー様へ個別に寄り添ったサポートで、ココナラでの成功体験を創ります。
2 健全化チーム:違反行為や違法性ある内容を取り締まり、ユーザー様の安心・安全な環境を創ります。
3 QA(品質保証)チーム:不具合の少ない高品質なプロダクトを提供し、ユーザー様の信頼を創ります。 QAチームは、通常の会社だとプロダクト開発に関するチームに紐づいていることが多く、CSの中にあるのはココナラならではの特徴でもあると思います。

にし:なぜココナラではQAチームがCSの中にあるのでしょうか?

奥:QAチームは、新機能をリリースする前に、テスト的にサービスを使う最初のユーザーになります。そのため、しっかりとユーザー目線でフィードバックを行っていくことがとても重要だと考えています。
プロダクト開発に関するチームの中にいると、ユーザーとの距離感の遠さやチームとしての目標達成からリリースのスピードをあまりに優先させすぎてしまい、ユーザー目線での確認は不十分になることもあると他社事例で伺っています。
そのため、開発組織とあえて切り離すことで、より外部機関のような視点で客観的に機能や動作の確認ができるので、スピードも担保しつつ本質的な品質保証に効果的だと考えています。
また、他社では新機能をリリースする際、情報が一般開示されるまで、CSが内容を知らないことがよくあるように個人的に感じています。チーム内で開発に関わっている人がいれば、重要な新機能の情報をとりこぼすことはなくなりますし、機能の問い合わせがあっても、チーム内でQAメンバーが回答できます。ユーザーとのコミュニケーションはもちろん、「これは不具合でしょうか、仕様でしょうか。」といった、社内のプロダクト開発に関する、チームとのコミュニケーション対応がとてもスムーズになることにも、良さを感じています。

にし:CSチームの在り方を変える取組みですね!

奥:とても珍しい組織構成かと思いますが、このQAの仕組みは上手く機能しているので、今後CS組織のスタンダードの1つになっていくのではないかと感じています。

写真:CSメンバー

にし:組織が急拡大していくなかでも、個性を大切にして組織運営されているように感じました。メンバーの働きがいはどのように作られていますか。

奥:評価制度や運用方法は、こだわって設計しています。評価基準を細かく設定していますし、部内で定量での目標達成の基準や状況をフェアに見えるように公開するようにしています。
また、フェアに評価をするためには、各メンバーそれぞれに合わせた目標設定が大事だと思っています。サポートチームであれば、お問合せに対する対応件数や対応満足度が目標に設定されますが、時短のママさんや、通常業務をしながら役職業務やOJTに携わる人、マニュアルやFAQなど業務改善プロジェクトに携わる人などもいますので、個別要因も考慮して目標を調整しています。

にし:個人の目標設定をする際に、どのようなことに気を付けていますか。

奥:メンバーとの対話による納得度や透明性を大切にしています。具体的な話になりますが、例えばサポートチームのメンバーを業務改善プロジェクトにアサインしたい場合、「業務改善プロジェクトは、1日の2割使うと想定しているので、目標件数を2割分減らすね。そこに収まるように調整できる人だからアサインするよ。もし超えるようだったら、すぐに相談して欲しい」と、しっかり業務配分まで伝えるようにしています。
またどういったことを今後やりたいのかという個人のWillを都度聞きながら業務のアサインやキャリアの方向性も決めていくのも特徴であり、「オペレーショントラック」「企画改善トラック」「マネジメントトラック」という3コースを用意し、いわゆる一般的な〝リーダーになる〟という方向性以外でも個性とWillをもったキャリアを描けるようにしています。

にし:メンバーの皆さんは、奥さんが普段から細かい動きまで見て評価してくれるからこそ、通常業務以外のことにも挑戦しやすい環境なのですね。
CSの部長として働く面白さは、どのようなところに感じますか。

奥:前例のないQAチームを含めたCSの体制作りや、類を見ないCS独自の評価体制の構築など、本質的に良いと思うことは自分でやろうとすれば何でもクイックにチャレンジできるところですね。それは一人ひとりの存在インパクトが大きいスタートアップの面白さでもあると思いますし、大きい組織の数倍・数十倍のスピード感で変化を生めるのはとてもやりがいがあります。

写真:解放感溢れるココナラの打ち合わせスペース

シェアリングエコノミーNo1のカスタマーサクセスに

にし:これまで、ユーザーやメンバーのサクセスを作り出すために、CS組織の基盤を築いてこられたのでは、と思います。
今後はどんな組織にしていきたいですか?

奥:僕が入社した時、「シェアリングエコノミー界隈でNo.1のカスタマーサクセスを作る」という目標を掲げていました。当時は、意識高いやつ来た、みたいな感じだったのも今は良い思い出です。(笑) 現在は、イベントに登壇する機会が増え、ツールを利用するベンダーから活用度に関する受賞をいただくなと外部からも評価いただく機会がとても増えました。チームとしての完成度やメンバーの士気も非常に上がり、振り返ると、ここまではそれなりに順調だったように思います。
今後はココナラだけでなくシェアリングエコノミーのCS全体を盛り上げていくために、お手本となる存在になっていきたいと考えています。シェアリングエコノミーのCSは法整備の状況や運営の立場も含めて難易度が高いので、一般的なカスタマーサポートやカスタマーサービスとは別のものとして取り組むべきであり、その前提でココナラがスタンダードの1つとして〝背中〟を見せていきたいです。 それを実現する為には、メンバー全員でそれぞれのチーム毎に〝サクセス〟の定義をより具体的に定義し、メンバーの個性とWillとスキルをもって「ユーザーのサクセス」「ココナラのサクセス」「働くメンバーのサクセス」をボトムアップからより高いレベルで実現する組織にしたいですね。

にし:チャレンジングな目標にワクワクしますね!本日はありがとうございました。

株式会社ココナラ

知識・スキル・経験を購入できるスキルマーケットです。プライベートからビジネスまで、450種類、52万件以上のサービスが出品。ちょっとした困りごとから、専門家にお願いしたいということまで全てが揃うサービスマーケットプレイスです。デザイン、Webサイト制作、動画・音楽制作、ライティングなど『制作系』に加え、ビジネス・マーケティングなどの『サポート・代行』から、ファッション、キャリア相談などの『相談系』まで、ビジネスからプライベートまでシーン問わず多彩なサービスを売り買いすることが可能です。また、サービスの出品・購入に始まり、お願いしたい案件の募集・提案まで幅広いニーズに対応。

https://coconala.com/

取材日:2022年6月7日
インタビュー
・文:西 かな
写真・編集: 神成 美智子
メンバーとオフィス写真はココナラ様より提供

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