第32回は、「“サービス”も“組織”も重要なプロダクト」という独自の思想を持ち、デザイン思考を用いて組織づくりを行う株式会社Voicyのカンパニークリエイターチームにインタビュー。マーケットを捉えて組織を導く勝村さん(左)、メンバーの機微を感じ取り組織づくりに反映する水橋さん(右)のお二人に、Voicyらしい組織の考え方、取り組みについてお話を伺いました。
勝村 泰久 / 執行役員(左)
東証一部上場 総合人材サービス企業の株式会社クイックにて営業部長や新規事業開発を経験後、HRの責任者として採用や組織開発、制度設計などに携わる。2020年Voicyに参画。VPoHRとして総務人事領域を管掌しつつ、メディア編成や事業開発も担当。2021年2月より執行役員に就任。キャリア教育やHRに関する学会公演・イベント登壇、大手企業の人事顧問や自治体の戦略顧問など、幅広く社会活動も行っている。
水橋 美の里 / カンパニークリエイターグループ(右)
2017年に株式会社パソナのキャリアカンパニーにエンジニアとして新卒入社。2018年に音声の魅力に惹かれ、2人目の社員としてVoicyに入社。コミュニティマネージャーとしてリスナーコミュニティの立ち上げ、その後人事総務を担当するカンパニークリエイターチームに異動し、インナーコミュニケーション/オンボーディング/全社横断プロジェクト等の組織開発をメインで担当しながら、総務や情報システム領域も兼任している。
Point1:カンパニークリエイターが組織をデザインする
―”カンパニークリエイター”という言葉がとても素敵ですが、このような部署ができた背景と、お二人の役割について教えてください。
Voicy勝村(以下、勝村):代表・緒方の、「“サービス”も“組織”も重要なプロダクトだ。」という考えから、組織作りもプロダクトと同様にクリエイティビティやプロダクトマネジメントが必要と捉え、職種名をカンパニークリエイター(以下、CC)とし、新しくチームが発足されました。主に人事、総務が業務の中心になりますが、EX*のウェイトが重いことが特徴です。
僕の人事に対するスタンスとして、ステークホルダーの幸せや社会への新しい価値の還元を目的とした上で、組織づくりをしています。通常、人事においてバリューを発揮するのは、経営側の目線か現場側の目線、いずれか二方向で議論されることが多いので、このような考えは珍しいかもしれません。
*Employee Experience=従業員のパフォーマンスを最大限に高める取り組みとしての従業員体験
Voicy水橋(以下、水橋):私は日々メンバーが楽しく、幸せに働いてくれるためには何が不足しているのを常に考え、組織向けの人事制度の立案や社内イベントの企画を行っています。実は、数年前にVoicyは組織崩壊を経験しており、組織の状態によって事業成長のスピードが変わることを体感しました。メンバーが幸せに働いてくれることが、ひいてはお客様の喜びにも繋がると思っています。
勝村:水橋は、メンバーの変化に対して、アンテナが非常に高いことが強みです。リモートワークの導入で対面コミュニケーションの機会が減り、メンバー同士の意思疎通が取りづらくなる中で、それをカバーしてくれていました。例えば、メンバー自身が各々情報発信するチャットのチャンネルや部活動に、誰よりも参加し、メンバーとの接点を多く持つことで、メンバーの状態に敏感に反応し、それをより良い組織作りに反映してくれていました。
水橋:メンバーが楽しく働いてくれることが、私の幸せでもありますね。
―水橋さんは、「Voicyと共に生きている」という感じがしますね。
入社当時から、現在のようなマインドで働いていましたか?
水橋:はじめは「みんなと働けることが楽しい」と思う程度でした。
ユーザーさんや、一緒に働くメンバーが増える中で、「もっと、みんなのためになりたい」と自然と思うようになりました。私は元々引っ込み思案な性格で、人前に出ることが好きではありませんでしたが、Voicyという組織が、自分を変えてくれましたね。
また、入社当時は社員が2名しかいなかったので、Voicyに関わる方がこうやって増えることが、本当に嬉しいなと思います。
Point2:優秀よりも、良い奴であること
―組織崩壊を経て、現在採用で重視していることは何ですか?
勝村:職種にもよりますが、一言で言うと「カルチャーマッチしているか」です。良い組織にするためには、実はメンバーの能力は一定の水準以上だとあまり関係がないと考えています。同じ方向を向き、適切なディスカッションができれば、多くの人はワークしますし、高い心理的安全性は良い組織状態を生みます。そういった点からも、僕たちは「優秀よりも、良い奴」を、採用の合言葉にし、掲げているビジョンへの共鳴度、メンバーとの相性、バリューの体現レベルを重要視した選考を行っています。
僕たち以上に優秀な人がいる組織はたくさんありますが、僕たちほどカルチャーが揃っている組織は珍しいと思っているので、ここは弊社における組織づくりの重要なポイントであると考えています。
Point3:カルチャーの体現者をつくる
勝村:スタートアップには、会社を象徴するような「カルチャーの体現者がいること」がとても重要だと思います。そういう意味でも水橋はCCチームで活躍してくれています。
例えばVoicyには、社員が手上げ式で組織開発に参加するクロスファンクショナルチームという横断型組織があります。そのチームでは様々な組織課題解決に向けた人事制度やイベント等の企画をしているのですが、ここの旗振り役は水橋が行っています。恐らく僕が担当した方が、推進力があり、アウトプットの量も多くなります。しかし、水橋が担当で取組むと、水橋だから協力しようという空気感ができます。それは、水橋が日頃メンバーのために頑張ってくれているGiveFirst*の姿勢があるからですね。
協力するメンバーは、上から指示があるわけではなく、フラットに水橋とプロジェクトを推進するので、受け身ではなく主体性を持って取組むことになり、それが相乗効果になって、僕の想像を超えるアウトカムが出てきます。僕個人が考えて人を使い推進するやり方では絶対に出ないような結果が、水橋を中心にできた主体性を持ったチームだからこそ出てきます。
水橋に限らず、カルチャーのお手本となるメンバーが主体的に組織づくりに関わり、その姿勢が他のメンバーの指針になっています。Voicyは社員番号10番台までの離職率がとても低いです。このメンバーは組織を築いていくうえで大切な存在だと思います。
*GiveFirst:ギブから始めよう。Voicy 4つのValueのひとつ。
―Voicyで働く面白さや魅力を教えて下さい!
水橋:みんなでより良いプロダクトを作り、メンバーやお客様、さらには社会に貢献していこうという一体感が、Voicyにはあると思います。それを実現する過程では、辛いこともありますが、このメンバーだから出来たという体験を作れることが魅力だと感じます!
あとは、組織開発面でも音声を使って先進的なことにチャレンジできるというのは面白いですね。社内報や音声採用広報、声の求人票やオファーレターなど、様々なチャレンジを行っています。
勝村:前職ではコンサルとして何百社の人事に関わっていましたが、Voicyほど人事を重視している組織は稀だと思います。良い仲間と、組織づくりの重要性を感じながら、マーケットに直結した仕事が出来ることを幸せだと感じています。
―最後に、Voicyにどんな人がジョインしてほしいですか?
勝村:音声はまだ産業として認められていません。PMFといったレベルではなく、文化づくりから行う必要があります。この世界的にも前例の少ないミッションにワクワクでき、チャレンジを楽しめるようなメンバーをお待ちしています。
水橋:音声産業を大きくしていくことも、組織をよくしていくことも、組織みんなでやることでより大きな成果に繋がると思うので、1人で何かをする、ではなくチームで仕事を推進していくことにやりがいを感じる方にご入社いただけたら嬉しいです。
―Voicyさんが、人をとても大切にする組織だということが伝わってきました。
本日はありがとうございました!
株式会社Voicy
株式会社Voicyは、音声市場・ボイステック業界のリーディングカンパニーです。音声プラットフォームの開発・運営を中心に、音声で企業のコミュニケーション課題の解決を行うブランドソリューションや、音声コンテンツの企画制作や音声イベントの企画運営、声の社内報などクローズドコミュニケーションサービスの事業を行っています。「音声×テクノロジーでワクワクする社会をつくる」をコーポレートミッションに掲げ、音声と技術で人と情報のあり方を変えて、人々の生活をより豊かにする事業をつくっています。
https://corp.voicy.jp/
取材日:2022年5月18日
インタビュー・文・写真:西 かなこ
編集:神成 美智子