カウシェ門奈剣平_WITH

Vol.031 株式会社 カウシェ/ 代表取締役CEO・門奈 剣平 さん

第31回は、「安い、速い、明日届く」から、更にその先の、ユーザーが楽しめるショッピング体験を「シェア買い」という形で提供する株式会社カウシェ、代表取締役CEO 門奈 剣平さんにインタビュー。
中国と日本のバイリンガル、ダブルカルチャーの門奈さんは、学生時代からスタートアップ企業の成長期を創り上げてきた経験から、早期にバリューやミッションを策定し、メンバーのことを考えた独自の人事制度を構築。
なぜ小さなヒットではなくホームランにこだわるのか。様々な角度からお話を伺いました。

門奈 剣平  Monna Kempei / 代表取締役 CEO

1991年生まれの日中ハーフ。15歳まで上海で生まれ育つ。2015年慶應義塾大学・環境情報学部卒。学生時代にインターンでLoco Partnersに2人目のメンバーとして参画し、 2人から 200人、シード前からM&A後のPMIまでを経験。ホテル・旅館の予約サイト『Relux』の海外事業立ち上げから責任者を務め、海外担当執行役員と中国支社長を兼務。年間取扱高50億円の大幅な事業グロースに貢献する。
2020年4月、株式会社X Asia を創業、翌年3月株式会社カウシェに社名変更。

ホームランを打ちにいくスタートアップが空気を変える

NovolBa神成:子供時代の大半を中国で過ごされていますが、外から日本を見てどんなことを思い、感じていましたか?

カウシェ門奈:丁度人生の半々を中国と日本で過ごしましたので、それぞれの文化を深く理解することができていると思います。どちらの国でもその国について聞かれることが多く、代弁者のような立場で発言することが多いですね。
ただ、海外の人から「日本はゆっくりと沈んでいっている」と見られていることが、日本人として残念でなりません。以前のように、アジアの中でリーダーシップを持ち続けて欲しいと願っています。

神成:いまの日本に足りていないことは何だと思いますか?起業家率の低さがイノベーションを生まない、というのはよく聞きますが。

門奈:確かに東南アジア、韓国などではスタートアップが盛り上がっていて、今や経済の中心、国力の象徴になるくらいで。日本の製造業を牽引してきた素晴らしい大企業群に加えて、スタートアップ立国、IT業界でもそういう存在になっていくと良いなと思っています。
僕の仮説なのですが、大きなホームランを打ちにいくスタートアップが、n=1 で空気を変えていけると思うのです。
様々な規模のスタートアップがあって良いと思いますが、僕たちは小さく収まらずに、楽天、Amazonくらいのサイズになって、日本の小売業界を変えていきたい。

n=1で世界を変える、それが僕たちのベストアプローチだと信じています。

目指すはC2M ~消費者から製造者へ~

神成: 小売業界を変える、というのは具体的にどうしていきたい、どうしていくべきと考えていますか?

門奈:
 小売業はeコマースが伸びに伸びて、ひたすらに「安い、速い、明日届く」ということを追求していますが、そういう単調なアプローチは、そろそろ限界がくるのではないでしょうか。
カウシェは「シェア買い」なので、一人で品物を買うことができません。買物の賑やかさ、人との交わり、コロナで失われたリアルなショッピングの楽しさを追求していきます。

少し先の未来ですが、BtoCではなく、C2M*という新しい形で、お客様、事業者、カウシェの「三方良し」を目指します。
*C2M: Consumer to Manufacturer 消費者から製造者へ

事業者にとって、購入希望のお客様がまとまることのメリットは、色々あります。
購買意欲のあるAさんが、Bさん、Cさんと他のお友達を呼んできてくれるので、ある意味プロモーション、広告の代わりになってくれますし、売れ筋をABテストすることもできます。予約販売の仕組みができると、作りすぎて残ってしまったものを安売りする、廃棄するといった心配も要りません。
もちろんお客様にとっても、シェア買いで価格が安くなりますし、おススメしたお友達に喜ばれたりするかもしれません。シェア配送が出来るようになれば、配送コストも削減できて、環境にも優しいです。


神成: みんなに優しい社会で、素敵な未来ですね!

2度目のスタートアップだから、気付いたこと

MVVをつくるのは、スタートアップの当たり前

神成:創業間もない段階でMVV(ミッション、ビジョン、バリュー)を策定されているのは珍しいですよね。大事だとわかっていても、現実的にはなかなか時間がかけられず、後回しになってしまうスタートアップが多いと思います。

門奈:そうですね、サービスローンチ前にビジョンは作っていて、バリュー、ミッションについてもその数か月後には出来ていました。
僕たちからすると、会社名を考えてロゴを作るのと同じくらい、MVVを策定することは当たり前で、義務教育みたいな感じ(笑)むしろ、MVVを定めないという選択肢はありませんでした。
MVVは、例えば1つの国に道徳、規範、懲罰といった決まりがあるように、その企業にとって最も大事なこと(プリンシパル)だと思うのです。
僕たちが、なんでこの会社スタートしたんだっけ、どこに向かって動いているんだっけ、と道に迷った時に「立ち戻る場所」があることは大切です。

神成:義務教育、って良い表現ですね!他に、創業期に気を付けていたことはありますか?

門奈:とにかく最小限、最低限、僕たちが実現したいと思っていることを形にした(MVP*)段階でリリースするようにしています。プロダクトが市場に出た後、どうブラッシュアップするべきかは、お客様が教えてくれるので。
*MVP: Minimum Viable Productの略、 顧客に価値を提供できる最小限のプロダクト/サービスを指す。

どこのメガベンチャーにも負けない人事制度を作りたい

神成:多くの複業人財、学生インターンの方々が活躍されていますが、人事制度の設計ではどんなことに気を付けていますか。

門奈:コロナ直後の2020年4月に会社を立ち上げたので、国内外ともに絶望的な空気感が漂っていました。
そもそも人と会えない、ビジネスが進まない。そんな中、エイヤ!とテコの原理で、はじめから多様性溢れる、インクルーシブな組織にしていこう、という方向を目指しました。
人事制度をつくる際に、どうしても「正社員メイン」で考えがちですが、誰もが平等、公平であるべきだと考えています。複業をしていてカウシェでの仕事が20%の人も、正社員で100%の人も、フェアに楽しめる空間にして、居住エリアの制限も無くしています。
最近は複業から正社員になってくれる方も増えてきて、これってすごい決断だと、身が引き締まる思いです。

僕たちはこの人数では珍しいくらい手厚い人事制度を作っていて、いつかはどこのメガベンチャーにも負けないくらい充実させていく方向で、整備していきます。

「情熱」と「安心感」は両輪で

門奈:業僕自身がベンチャー2回目なので、どういう過程で200名になり、途中でどんな問題があったのか経験しているので、200名規模になっても大丈夫なように制度を作ることができます。
そして、コロナの時代の中で「スタートアップもイメチェンしていこう!」と、プライベートを犠牲にするほどのハードワークとかは、変えていきたい。

それが「僕たちが存在する意義」でもあると思うのです。

1回目のベンチャー企業の時に、KDDIグループに100%M&Aをして頂いて、日本の中でもトップクラスの安心安全とは何か、安心してチャレンジできる環境とは何かを学びました。
こういった経験をしたことが、僕が少しだけ早熟している理由かもしれません。

神成:全ての人事制度に想いが詰まっていますね!

スタートアップに飛び込むことをオススメします!

安心して思いっきりジャンプできる場所を

神成:一度経験しているからといっても、門奈さんみたいに皆が人に優しく、社会に優しくなれるわけではないと思います。何か原体験がありますか。

門奈:僕自身が、15歳の時に日本語が出来ないマイノリティとして日本に移り住んだので、弱い立場の人の気持ちがわかるのです。
はじめは酷かったですよ。敬語は全くできないし、「御社」と「弊社」を間違えて、大混乱を引き起こしたこともあります。やる気があってもその環境がない、挑戦してみたいけど勇気がない、そんな人たちが皆思いっきりジャンプできて、安心して着地できる場所でありたいと思っています。
人それぞれ、適材適所で活躍できる場を整えていく。
それが、僕たちが目指す「自律・自燃型組織」です。

どれだけ失敗しても挫折しても、大丈夫!

神成:門奈さんは、「いつかは起業したい」と思っていましたか?

門奈:20歳の時にLoco Partnersの篠塚さん(現:令和トラベル・代表取締役社長)のところでインターンを始めた頃から、「起業」という小さな炎がふわふわしていて。何もないゼロのところから200名規模になるまで経験したことで、それが確かなエネルギーになりました。
リスク低く大企業に入るよりも、がっつり10人くらいからグロースしていくフェーズ、様々な機会に溢れるフェーズ、全てにおいて自分がチャレンジしなければならないフェーズで、「自分は何者なのか。何者になれそうなのか。何者になりたいのか。」フィードバックが得られる環境は、自分を大きく成長させてくれます。

インターンは絶対に経験すべきです!
仮に既に社会人だったとしても、ぜひそういう場に飛び込んで、酸いも甘いも経験することで、本当の自分の想いがもっと確かなものになっていくのではないでしょうか。

マネジメントが上手くいかなかったり、出張先の北京のホテルで泣きながら事業計画書を作ったり、沢山の挫折を経験しましたが、若い時にそういう経験をするのって大事ですよね。
苦労するけど、得るものは果てしなく大きい。
「自分はイケる」と信じて飛び込んでいって、できる限りのチャレンジをして欲しいと思います。迷っている人に「大丈夫だよ!」と言いたい。最悪ダメでも、その時は大きな会社がその経験を拾ってくれると思います。

業界にインパクトが与えられる成長

神成:ユーザー数も順調に伸びていて、具体的にここからどんな動きをしていきますか。

門奈:ここからが本番だと思っています。今まではゲリラ的にシェア買いというユーザー体験を仕掛けてきましたが、いよいよ正規にeコマース全体に対する成果を上げていくフェーズに入ります。
まずこの1年以内に、20名弱から60名まで正社員のメンバーを増員します。

これから入ってくる人たちが、会社メンバー構成の80%を占めることになるので、大きなターニングポイントを迎えます。

現時点のユーザー数は70万ダウンロードで、毎月5~10万人のペースで増えているので、2022年度中に100万DL、2年以内に1,000万DLを目指します。そうなると人口の約10%になるので、業界にもそれなりにインパクトを与えられる存在になれると思います。

C2M(Consumer to Manufacturer)のショッピングって楽しいんだよ、ということを、ユーザー側にも事業者側にも感じてもらえる1年にしたいです。つい楽しくてカウシェを見に来ちゃう、そんな仕掛けを作っていきます。

神成:採用活動を強化されるとのことですが、どんな方がカウシェに合うと思いますか?

門奈:第一に「自律・自燃できる」人
うちは、これから起業したいと思っている人にとっては、最高の修行の場だと思うし、2~3社目の方にとっても、しっかり分かり合って働ける場所だと思うので、そういう方はウェルカムです。
創業メンバー3人全員がインターンあがりなので、学生インターンもひっそり募集します。狭き門かもしれませんが、ぜひノックしてきて欲しいです。

神成:門奈さん、本日は貴重なお話を聞かせていただき、ありがとうございました!

株式会社カウシェ

カウシェは、“誰かと一緒に”を楽しむ、シェア買いアプリです。友人や家族、またはSNS上の誰かと一緒にお買い物をすることで、お得な価格で購入することができ、コミュニケーションを取りながらショッピングを楽しむことができます。

https://kauche.com/


【編集後記】
新たに約22億円の資金調達、おめでとうございます!Twitter のフィードがカウシェ、カウシェ、カウシェ祭りになっていますね。先日も「第6回 日本ネット経済新聞賞」の受賞企業15社でお名前発見!まさに破竹の勢い。
しかも、門奈さんは気さくで心優しく、弱者の気持ちに寄り添う、それはそれは素敵なお人柄。
これからもカウシェで「シェア買い」しまくることを誓います!(神成)


取材日:2022年5月30日
インタビュアー:神成 美智子 / 鄧 雯
文・写真:神成 美智子  

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