第25回は、「Making experience better for everyone.」をミッションとして掲げ、旅行を中心としたオフラインサービスのDXを通じて、世の中により良い体験を提供することを目指すaipass株式会社(以下本文中は、アイパス)、COO・山田 真由美さんにインタビューさせて頂きました!
山田 真由美 Yamada Mayumi / COO
神戸大学・発達科学部卒業。新卒で株式会社フォトクリエイトに入社し、インターネット写真販売プラットフォーム事業に携わる。2017年、宿泊業界へ転職。新規宿泊施設の立ち上げを行い、副支配人として従事。宿泊業界の旧態依然としたシステムに疑問をもち、2018年から株式会社TRASTAで、ホテルのシステム開発にPMとして従事。
2020年1月より創業メンバーとしてaipass株式会社に参画。(aipass株式会社noteより引用)
自分たちが登る山を明確にする
NovolBa原(以下、原):アイパスさんが創業期から大切にされてきたことをお聞きしたいです。
aipass山田(以下、山田):自分たちの登る山を明確にした行動指針を持つことを大切にしてきました。
創業当時は、宿泊施設を対象にスマートチェックインでDXを推進する企業としてスタートしました。当時から旅行体験はこれから個人にパーソナライズされたものになり、カスタマイズして体験できる世界が来るだろう、という確信がありました。その確信を持ち、会社全体のディスカッションや合宿などを経て、メンバー全員で「私たちは何を果たすべきか」の認識を合わせていきました。
宿泊業のDXを語る際に、オペレーションの効率化や無人化のイメージがあるかと思いますが、業務側の利便性のみを追求し、旅行者の体験が置き去りになることが多々あるように感じていました。そうした現状を踏まえ、私達はDXを通じて、単に宿泊施設の業務効率化を推進するだけでなく、その先の旅行者への価値提供までを見据えて、新しい旅行体験を創っていくことをミッションとして掲げました。
登るべき山を明確化したことで、共通認識が生まれます。
例えば『aipass』の開発を進める議論においても、宿泊施設にとっては便利だが、「旅行者にとって本当に良い体験なのか」、という観点が必ず入るようになりました。先がはっきりと見えているからこそ、宿泊事業者起点でなく、ユーザー体験を起点としたサービスの開発を続けています。
そうした考えのもと、私たちが提供しているサービスがExperience System『aipass for hotels』(旧:HotelStyle OS)です。「Experience System(エクスペリエンスシステム)」とは、「UX(旅行者)とEX(従業員)」それぞれの体験を設計し、最適な機能を提供することで、経営課題を解決しDXを実現するシステムです。
『aipass for hotels』は、宿泊業に特化しています。スマートチェックインをベースに、業務支援・接客支援・集客支援などのプラグイン機能を組み合わせることで、様々なホテルに最適なシステムを提供しています。
創造性に自信をもち、リアルな場を大切に
原:「アイパスさんらしさ」が分かる、チームの特徴についてお聞きしたいです。
山田:自分たちの創造性に自信を持ち、既存の考え方に疑問をもって、もっとこうあるべきでないかと挑戦できるチームであることを意識しています。アイパスのメンバーは、指示待ちで動くのではなく、一人一人が主体的に最適解が何かを、最後まで追求できるメンバーが集まっています。
自立型のチームだからこそ、少数精悦で駆け抜けることができています。
また、リアルなコミュニケーションを大切にするチームでもあります。
コロナの影響もあり、リモートワークが広がりましたが、私たちのようなスタートアップはスピード感が重要なこともあり、オフィスというリアルな場で集まることも大切だと考えています。日頃の商談のフィードバックや、開発における課題など、リアルタイムで情報共有できる環境を創ることで、素早いサービス開発・提供が実現できます。
もちろんリモートワークの制度は整えていますが、出社しているメンバーが多いです。メンバーに出社してもらうことは、出勤のための移動時間が必要になり、一定のコストがかかります。だからこそオフィスに来る価値を高める施策も整えています。
例えば、社食イベントでは、月に1回オフィスにシェフをお招きして、料理を作ってもらい、栄養価の高い食事をメンバーみんなで囲んでいます。料理を堪能しながら、会話することで、日頃の悩みや喜びを共有でき、オフィスに来る価値を感じてもらう時間となっています。
アイパスはオフィスに気軽に来られて、来たらメンバーみんながいます。お客様への提供価値を最短で最大化するために、オフィスに集まって会話しながらスピード感もって一緒に事業を創っています。
ビジョンを伝え続け、着実なステップを
原:大手宿泊事業者や航空業界との連携も順調に進められていますが、その秘訣をぜひお伺いしたいです!
山田:達成したいこと、私たちの目指すビジョンを一貫して伝えることです。
起業直後に新型コロナウイルスが到来し、旅行業界がどうなっていくのか、誰も正解が分からない状況となりました。その中でも自分たちの向かう先を明確に見据え、ぶれない意志を持ち、ビジョンを伝え続けてきたことで、共感し、応援して下さる方々が徐々に増えていきました。現在、アイパスに関わってくださる投資家様や、パートナー企業様、宿泊事業者様はそうした私たちの姿勢に賛同してくださっている方々です。
また、お取り組みを始める際にはビジョンを共有した上で、小さなステップから始めています。目の前の実現可能性の高いことからスピーディーに進めることで信頼いただけるように努めています。大きな取り組みも一足飛びには実現しません。だからこそ、着実にステップを踏み、信頼関係を築くことを大切にしています。
aipassの未来
あらゆるオフライン事業者の体験を支える「エクスペリエンス・デザイン」企業へ
山田:アイパスは、旅行を中心としたオフライン体験事業者の体験設計をする企業を目指します。
これまで、より良い旅行体験をつくるために、スマートチェックインをベースにした「aipass for hotels」を提供し、宿泊業のDXを進めてきました。
これからは旅行全体のDXに取り組みたいと考えています。
旅行には、宿泊予約から現地への移動、施設での滞在、アクティビティ、ショッピングなど様々な体験が含まれています。私たちはこれまで蓄積した宿泊業界のDXのノウハウを活かし、旅行を軸としたオフライン事業者の体験を支える「エクスペリエンス・デザイン」企業として成長していきたいと考えています。
aipass株式会社
「Making experience better for everyone.」を掲げ、「エクスペリエンス・デザイン」企業として、体験設計でオフライン事業者の課題を解決し、DXを実現することで、旅行を中心としたより良い体験づくりを目指している。非接触型のチェックイン機能をベースにした、宿泊施設の基幹運営システム Experience System『aipass for hotels』を提供し、宿泊業界のDXに取り組んでいる。(aipass株式会社 PR TIMESより引用)
aipass|あらゆる体験を支える「Experience system」
【編集後記】
取材の際、山田さんのとても柔らかい雰囲気とその中にある意思の強さを感じました。写真撮影時も、サービス精神があり、こちらの希望に快くこたえて下さる山田さんに、終始とても楽しませて頂き、ついていかせてください!と思うような安心感とユーモアを兼ね備えた素敵なお人柄でした。自分たちの昇るべき山を常に意識し、先を見据えた行動指針をお持ちのアイパスさん。今後もとても楽しみになりました!(原康太)
取材日:2022年3月10日
インタビュアー:原 康太
写真:西 可菜子
編集:山田 直哉