VC Vol.001 Gazelle Capital /代表パートナー・石橋 孝太郎 さん

投資家、ベンチャーキャピタリスト、VCで働く方々のパーソナリティーにフォーカスして、様々なお話を伺う企画。
第1回は、“ガゼル企業”の創出を目指し、より良い日本をつくっていくことに挑戦するGazelle Capital(以下本文中は、ガゼルキャピタル)、代表パートナー・石橋孝太郎さんにインタビューさせて頂きました!

*ガゼル企業:成長力が著しく高く、雇用創出力の強い会社のことを指します。

石橋 孝太郎 Ishibashi Kotaro / 代表パートナー

 

学生時代にNPO法人立上げや、クルーズ株式会社でCVC*の立上げに従事。
2016年クルーズベンチャーズ株式会社を創業し、取締役に就任。2019年5月にGazelle Capitalを新たに組成。現在は、投資家として一面と、宮崎県拠点で、全国の中小企業を第三者事業承継でお引き継ぎをし、グループ経営していく起業家としての一面、2つの顔をもち、独自の視点で事業創出、支援を行い、多方面的に投資先と伴走を行っている。

*CVC(コーポレートベンチャーキャピタル):事業会社が自己資金でファンドを組成、もしくは投資子会社を創業し、主に未上場のベンチャー企業に出資や支援を行う。あくまでも自社の事業内容と関連性があり、本業の収益に繋がると思われるベンチャー企業に投資するケースが多い。

VCはココを見ている!大切にする4つのポイント

NovolBa原(以下、原):石橋さんは、投資家と実業家2つの顔を持っていらっしゃると思いますが、まずはVCの投資家として、スタートアップに対してどこを見て判断しているか、ぜひお聞かせください。

Gazelle Capital 石橋(以下、石橋):承知しました!我々が投資判断をする際に大切にしているポイントは大きくわけて4つあります。

1. 投資判断における「4象限」

一般論として、投資判断は“事業”と“人”の2軸で分けられると言われています。
事業も人も良い、事業は良いが人は良くない、事業は良くないが人は良い、事業も人も良くない、の4象限です。シードラウンドで投資して良いとされるのは、「事業も人も良い」あるいは「事業は良くないが人が良い」、の2つまでと考えています。

2. 現場にミクロの課題が存在しているか

事業を見る際に重要視することは、ミクロにその課題が存在しているかどうかです。小さな痛みでなく、「どうにもできないような痛み」「とても困っている」課題感です。
このような課題が存在していれば、我々投資家と共に仮説をもとに小さくピボットを踏み続ければ、プロブレムソリューションフィットすると考えています。

※PSF(プロブレムソリューションフィット):ビジネスの顧客がどのような問題を抱え、それを解決するのにどういった方法が考えられるかに着目する考え方

3. “諦めないチーム”がソリューションフィットに近づく

スタートアップの事業において、最初からソリューションがフィットすることは稀なケースです。トライ&エラーを繰り返しながらソリューションを探す旅に出なければなりません。そのため、粘り強く生き残りながら何度も挑戦し続けられるチームであることが重要です。

4. 顕在化している、もしくは潜在的マーケットの存在があるか

見つけてきたミクロな課題感が、潜在層も含め、マクロの規模でどのくらい存在するか見通しを立てることが必要です。スタートアップの成長に足るマーケットサイズであるのかどうかも、把握しておくべきです。

スタートアップには、ミッション・ビジョンが必要?!

原:多くの起業家に会われているかと思いますが、創業者がはっきりとした「ミッション・ビジョン」を持っているスタートアップは、成長が大きいということはありますか?

石橋:最初からミッションを持って起業する創業者も一定数いますが、成長しながらミッション・ビジョンが必要になって、持たれるところもあります。創業期においてはどちらが良くてどちらが悪いはないと思っています。

また一方で、「30人の壁」を超えると、創業者の思想が届きづらくなります。そのため、ミッション・ビジョンを定義して、行動指針を示すことが、より良いチーム作りに有用であり、成長速度をあげていける考えています。創業者だけでなく、メンバーも同じようにミッション・ビジョンを語れる状態を作っておくことで、仲間が増えても同じ方向に進んでいくことができると思います。

タフな状況下でも挑戦を続けるために

あるスタートアップで、元々旅行業で起業、コロナの大打撃の後サバイブして、別業種にピボットされた方がいます。ミッション・ビジョンがあるからこそ、自分たちではどうにもならない「外的要因」によって挑戦が阻まれても、挑戦を続けることができるのだと思います。起業の目的がお金儲けのためであれば、挑戦を止めて就職するかもしれません。金銭的なインセンティブだけでなく、事業に取組む意義を感じているからこそ、タフな環境でも諦めずに挑戦し続けることができるのではないでしょうか。

Gazelle Capitalの誕生

原:石橋さんが、どのような経緯でVC業界に入ることになったのかお聞かせください。

石橋:私は学生の頃、NPO活動を自分で立ち上げ活動していました。「STUDY FOR TWO」という非営利団体で、大学生が使い終わった教科書を集め、大学生に安く再販する、そこで出た収益を途上国の子供たちの勉強や奨学金、学校建設等の費用に充てることを目的として活動をしており、ベンチャーキャピタル業とは全然違う世界にいました。

留年で学費が必要に。ウォンテッドリー株式会社で若年層向けのマーケティング業務に従事

大学で留年した際、自力で学費を払うことになり、どうにか工面するため、様々なお仕事に携わるようになりました。その中で、当時未上場のウォンテッドリー株式会社で若年層向けのマーケティングに関わっていました。
その後、そこでの経験と、当時はまだニーズがあるのに運用代行会社がいなかったこともあり、新卒サービスに特化したWantedlyの運用代行事業を開始しました。自身が学生であることの強みも生かせ、需給が合致したのです。

Wantedlyの運用業務代行では、複数社と契約をしていました。その1社がクルーズ株式会社(以下クルーズ)です。半年程度で数字を伸ばすことができ、クルーズから、業務委託をうちだけに絞るのはどうかと提案を頂きました。そして、2016年4月から新卒採用部門に携わらさせて頂くことになりました。

事業の使命は「新規事業を作れる人材を採用すること」

クルーズは当時、ソーシャルゲーム事業とアパレルコマースの2本柱でした。当時のクルーズは、第三の柱をつくれる人材を必要としており、新卒の方にもそういう人を求めていました。しかし、実際にエントリーしてくる方はゲーム制作希望者が多く、「クルーズ」と「新卒」のニーズが一致していないという課題がありました。

そんな中、ソーシャルゲーム系の事業会社さんの当時の採用の取り組みを分析していると、サイバーエージェント、DMM、GREE、コロプラなど、大手のソーシャルゲーム開発会社にはCVCがありました。特にコロプラさんはCVCを通じて、学生起業家にも当時多く出資をし、企業側の狙いとして投資リターンに限らず、「若い人にチャンスを与える会社」というブランディングを、起業家や起業家の周りにいる情報感度の高い優秀なインターン生に認知してもらうこと。そこから新卒採用に繋げていくこともしていらっしゃいました。


僕は、「クルーズでも同じことをやってみよう!」と考え、CVCを提案し、実際にクルーズベンチャーズ株式会社の立ち上げに至りました。そして、僕が提案者だったので、学生ではありましたが取締役のポジションにつかせて頂けることになりました。

原:学生でCVCの立上げ、取締役就任はすごいですね!その後、ガゼルキャピタルを自身で創業するまで、どのようなことを経験されましたか。

石橋:2年間ほどCVCに従事し、2018年9月にクルーズベンチャーズは親会社へ吸収合

併されることになり、今後を考え直すきっかけとなりました。CVCとは別に、地方で実施する合宿型ビジネスコンテスト「BIZ CAMP」に携わり、地域の事業会社の方々とコミュニケーションをとる中で、ネットが普及していない産業領域の課題を目の当たりにしました。課題感を強く感じたと同時に、高度経済成長を支え日本をつくってきた一次、二次産業にリスペクトをもつことが、日本人としてあるべき姿なのではと思うようになりました。国内の既存産業を強くすることは、自分が感情を寄せながら、想いを持ってやっていける領域だと確信したのです。

それらの多くの課題に対して、僕一人が起業家になるのではなく、この領域で起業する人を増やした方が、より社会的なインパクトが高いと考えました。そのソリューションになるのが “ベンチャーキャピタル”という業態でした。


起業家を掘起し、事業の成功確率を最大化させる
僕は、「既存産業×IT」で創業期にフォーカスするベンチャーキャピタルとしてやっていこうと決めました。

Gazelle Capitalが目指す姿

私たちが介在することで、日本にポジティブな余波を

投資家として、まだ誰も知らない、見つけられていない、埋もれてしまっているような人たちと対話を続けながら、可能性やポテンシャルをある意味”勝手に評価”し、信用して、「何かやりましょう」と声掛けをしていきたいと思っています。
私たちが介在することで、既存産業のDX化を生むきっかけができ、ガゼル企業の創出につながると考えています。
それが、結果として日本産業を支えてきた1次、2次が再び強い産業として位置づけられることになり、日本全体が更に明るくなると考えています。キャピタリストとして、日本にポジティブな余波をだせる存在になれるよう頑張っていきます。

会社概要

日本を築いてきた国内産業にインターネットの力で変革、変化を及ぼし、新しい時代の中で産業を彼らと共に形を変えて紡いでいくためのベンチャーキャピタルです。創業初期から起業家に伴走し、様々な壁をともに乗り越え、ともに挑戦に伴走し続けていきます。(webサイトより引用)

【編集後記】
投資家と実業家の2つの顔をもつ石橋さん。日本の1次、2次産業で起業する人を増やし、日本の産業をより強くしていくミッションに挑戦されるGazelle Capitalさんが目指す今後の世界がとても楽しみです。VCとして、スタートアップのどんなところを見られているかというお話もとても参考になりました。ありがとうございました!(原康太)

取材日:2021年12月7日
インタビュアー:原 康太  写真:西 可菜子   編集:神成 美智子

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