Tensor Energy株式会社・堀 ナナさんが登場。
AIとIoTのテクノロジーで、再生エネルギーと蓄電池をオーケストラのように調和させ、電力にフレキシビリティを提供し、カーボンニュートラルを最低限のコストとリスクで実現することを目指されています!堀さんに、6つの質問をぶつけてみました!
1. 創業した理由
きっかけは、2011年の東日本大震災です。原発事故が起きて、輪番停電が実施されました。通りを隔てて片方は明るいのに、もう片方は真っ暗になるなど、町が混乱していました。日本は平和で豊かな国で、それまで必要なものが足りなくなる状況に出会うことがありませんでした。輪番停電を経験し、エネルギー資源の不足は争いのもとになるのではないか、という危機感を感じました。そこで、この領域で挑戦したいと思い、エネルギー業界に入り、コンサル、再エネファイナンスの会社を経て、現在の会社を立ち上げました。
2. プロダクト開発で大変だったこと
仕事の流れをゼロから学ばなくてはならなかったことです。私はテック系の人間ではありません。これまでの仕事では、金融機関でパリッとスーツを着た方や工事現場の職人さんと一緒に働くことが多かったですが、アジャイル開発やソフトウェアの作り方などは、未知の領域でした。エンジニアチームと一緒に働くことになり、どのようにビジョンを共有し形にしていくかは課題でした。パートナーの共同創業者がその道の経験者なので、橋渡しになってくれていますが、今も探りながら取り組んでいるところではあります。
3. マーケットの課題はどこにあるのか?
これまで、再エネ関連は国が先に立って進めてきました。しかし、制度が変わり、主力電源として自立して行くことが求められています。やらなければならないことが増え、再エネは複雑で不確実な世界になりました。今後この変化にどう対応していくかは、再エネ業界全体の課題になっています。また、再エネの不安定さをどう補うか、という課題もあります。電気は電線に流す量と使う量を一致させなければなりません。不安定になれば周波数が乱れ、最悪電力供給が止まってしまう可能性があるため、どのような手段を用いて安定化させていくのか、ということも再エネの大きな課題です。
4. このマーケットで挑戦する面白さは何か?
少子高齢化やエネルギー問題といった、長期的で大きな社会課題につながる、ミクロな課題を一つずつ解いていくことです。今はどんどん増えていく小型の再エネ発電所を、テクノロジーの力で管理していくことに挑戦しています。国土が狭くて山が多い日本では、全国に散らばった担い手のいない耕作放棄地などを活用して再エネを増やしていく必要があります。1つの大きな施設を管理するより、小規模で多数の施設を管理する方がコスト面からして難しいです。DXやIoT、AIなどをどのように組み合わせて仕組み化するか考えるのは、パズルを解くような面白さがあります。インフラは人間の生活の基盤なので、やりがいや意義も非常に大きいと捉えています。
5. 会社の特徴・文化は?
インターナショナルなチームです。様々な国の、様々なバックグラウンドをもつ人が集まっています。これから新しいものを作っていく中で、多種多様な考えを持つ人とチームを組むことで、日本のマーケットだけではなく海外への展開も視野に入れることができます。今はチームとしての確固たるアイデンティティができる前の段階で、ここからチームのカルチャーが生まれてくると思っています。マルチカルチャーの中でどんな会社の軸ができあがるのか、楽しみの1つでもあります。
6. Tensor Energyが目指す世界
全ての人が、持続可能なエネルギーにアクセスできる世界です。東日本大震災の後、輪番停電で通りの向こうだけが暗くなる、という状況はとても恐ろしいことだと感じました。今は、ウクライナとロシアで戦争をしています。資源の取り合いは、人間の生命を脅かす原因になりうると思っています。我々は、再エネと蓄電池をうまくコントロールすることを「オーケストレーション」と呼んでいます。我々がオーケストレーションのプラットフォームになることで、全ての人に持続可能なエネルギーを提供できるようになりたいと思っています。
Tensor Energyとは
Tensor Energyは「GX(グリーントランスフォーメーション)とDX(デジタルトランスフォーメーション)を加速する電力のデジタルインフラを創る」をミッションとするスタートアップ企業です。再生可能エネルギー発電所(再エネ)や蓄電池を始めとする分散型電力アセットポートフォリオのマネジメント、AIによる発電予測と電力取引市場の予測、オペレーションの自動化、経済性と環境価値の可視化を行う、オーケストレーションプラットフォームを開発しています。(プレスリリースより引用)
プラットフォーム
Tensor Energyは、第一弾として、2022年春、再エネ開発業者と再エネ発電事業者向けに、FIT[*1]、FIP[*2] その他の相対契約に対応したアセットデータ管理システム、そして、経済性と環境価値のシミュレーションによってFIPやPPAの意思決定をサポートする、Tensorプラットフォームのプロトタイプ版を限定リリースします。インターフェースは再エネ開発業者、発電事業者、投資家、需要家向けにそれぞれ最適化され、各ステークホルダー間の情報共有業務を省力化します。β版公開リリースは2022年末を予定しております。
それらを皮切りに、2023年以降、急増すると予想されるFIP電源アセットの稼働に向けて、再エネのオペレーションの自動化、リスク管理、蓄電システム連携といった機能も順次リリースし、再エネのオーケストレーションプラットフォームへと進化して参ります。(プレスリリースより引用)
[*1] FIT:Feed-in-Tariff 再エネで発電された電力を電力会社が固定価格で一定期間買い取ることを国が約束することによって再エネ導入を促進する制度。日本では2012年7月から運用されている。 [*2] FIP:Feed-in-Premium 再エネ発電事業者が卸市場などで売電したとき、その売電価格に対して一定のプレミアム(補助額)を上乗せすることで再エネ導入を促進しながら、電源としての自立を促す制度。日本では2022年4月よりFIP制度が開始される。プラットフォームの特徴
▼データ管理の全てを一つのプラットフォームで
再エネ発電所の運転開始までには、計画、投資検討、契約、ファイナンス、開発、建設、系統連系といった、年単位の長いプロセスがあります。小型で分散しているこれらの再エネアセットの情報を、各ステークホルダーに迅速にかつ正確に共有するには、統合的なデータ管理が必要です。Tensorプラットフォームは再エネアセットのライフサイクルを通して、データ管理を省力化し、透明性を確保します。(プレスリリースより引用)
▼オペレーションとリスクマネジメントも一気通貫で
運転開始後も煩雑なオペレーションとリスクが待ち受けています。電力広域的運営推進機関(OCCTO)への発電予測の提出、報告卸売電力取引所(JEPX)での電力取引、インバランスリスクの管理、出力抑制リスクの管理、蓄電システムの連携によるリスク低減と収益性向上、充放電スケジュール管理、IRRやROIといった投資案件の収益性評価指標の管理、決済、レポート作成、アセットマネジメント等。Tensorプラットフォームはこれらの機能を順次リリースし、再エネのデータ管理とオペレーション、アセットマネジメント、リスクマネジメントを自動化し、一気通貫して行うオーケストレーションプラットフォームへと進化して参ります。(プレスリリースより引用)
会社概要
会社名 :Tensor Energy 株式会社
WEB :https://www.tensorenergy.jp/
設立日 :2021年11月
所在地 :〒102-0093 東京都千代田区平河町1-6-15 USビル8F
代表者 :堀 ナナ & フィルター・ヴィンセント
事業内容:再生可能エネルギーと蓄電アセットのオーケストレーションプラットフォームの開発、販売、運営等
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