今回は、株式会社オリゼ 代表取締役の小泉泰英さんにインタビュー。麹を使ったグラノーラや甘酒など、これまでになかった新しい商品を消費者に届けている小泉さん。なぜ今の事業に辿り着いたのか、そして辿り着くまでどんな苦難があったのかを掘り下げるべく、WITHが4つの質問をぶつけてみました!
1. なぜ起業したのか?
大学時代に農業について勉強していたことや、もともとお米がすごく好きなこともあり、色々と調べてみると、日本では約60%の農家さんが稲作をしているのに所得が一番低いという現状を知りました。日本は人口が減り、食生活も変わり、お米を食べる量は増えないだろうと思ったときに、この課題を解決するにはお米を別なものに変えてあげるしかないなと。そこで自分が関心を持ったものが麹でした。日本の独自文化で、長い歴史がある麹を使って日本や世界の人たちにフィットする商品が作れれば、ビジネスとしてもスケールするし、日本の農家の方にも役立つと思い起業を決意しました。
起業に関しては、何年か挑戦をしてダメだったとしても周りより貴重な経験を積めると思っていたので「リスク」と捉えていませんでした。親には反対されましたが何度もプレゼンを重ねて(笑)、最後は納得してくれました。
2. これまで大変だったこと、乗り越えたこと
マーケット選定について、数年間かなり模索していました。お米の市場を拡大させたいとは思っていたものの、みそ汁や日本酒などで新しい商品を作っても市場規模を大きく拡大できるのか疑問がありました。そこで、麹に注目したのですが麹でどんな商品を作ればいいのか試行錯誤しました。その間に資金がショートしそうになり、銀行やエンジェル投資家、その後にベンチャーキャピタルから何とか資金を募りました。その期間がすごく辛い時期ではありましたが、最終的には麹を使ったグラノーラなどの商品に辿り着くことができました。
3. このマーケットで挑戦する面白さは何か?
とても夢が大きくて、意味のある挑戦をしている、ということがすごく楽しいと感じています。現在、”糖”に対する意識が変化してきていて、糖分を取るならより良質なものだとか、白砂糖ってあまり体に良くないから避けようとか、世の中の大きなトレンドがあります。そこに対して、日本人が使ってきた千年以上の歴史を持つ独自原料である麹を使い、このマーケットに挑戦できることが、すごく面白いと思っています。また、麹の健康効果については様々な先生方が行ってきた研究の延長線上にオリゼも加わり、さらに研究が加速し、波及していくのがとても楽しみです。
4. 作りたい世界
オリゼは、「FIVE WIN」=”5方よし”を掲げています。つまり、お米を作る「生産者」の方々の売上が上がり、麹を食べて「消費者」が健康になり、麹という「伝統文化」を守り、「地球環境」が良くなることでオリゼも成長していくのが私たちの目指す方向です。 麹を使うことで地球環境に良い影響がある理由は、古米という捨てられてしまう可能性のあるお米をアップサイクルできることや、砂糖の代わりに麹が使われることで砂糖の消費量が減り、サトウキビを栽培するために熱帯雨林を伐採することが抑制できる可能性があるからです。このように、オリゼを利用して頂くことで、それが結果的に社会を良くしていき、みんなが社会課題を解決するような世の中にしたいと思っています。
プレスリリース
発酵のチカラで社会の好循環を生み出すオリゼが、2億円の資金調達を実施 米麹由来発酵糖分「ORYZAE(オリゼ)」の社会実装に向けて、更なる需要拡大に注力
【以下プレスリリースより引用】
日本の伝統発酵技術を用いて社会課題解決を目指す株式会社オリゼ(旧・アグクル 所在地:東京都目黒区、代表取締役:小泉泰英)は、エクイティファイナンスおよびデッドファイナンスによる総額2億円の資金調達を実施しました。米麹由来糖分「ORYZAE(オリゼ)」のミッションである、「FIVE WIN」の実現を促進するため、新たな事業投資を行なってまいります。
資金調達の背景と目的
私たちは、米麹由来糖分「ORYZAE(オリゼ)」を通じて、未来の子供たちや地球にとってより良い環境を作る、循環型社会を作り出すことを目指しています。そのために、ORYZAEを砂糖代替甘味料を作り出すフードテックの”技術”ではなく、新たな甘味料のインフラとして社会実装し、社会課題解決に向けたスピードを促進していきたいと考えています。
ORYZAEのミッションは、社会に好循環を生み出す「FIVE WIN」の実現です。ご利用いただくお客様の健康増進に加えて、生産者、地球環境、日本の伝統文化などの課題を解決する手段として、使えば使うほど社会が良くなっていく世界を作り出します。
これまで、私たちは、D2Cブランド「フードコスメORYZAE」を展開し、「FIVE WIN」の実現に向けた価値提供を行なってきました。ヘルスケアや発酵に興味関心があるお客さまを中心に、多くの方にご愛顧いただき、2022年から販売した「ORYZAE GRANOLA」は、1年で30万食を突破しています。さらなる社会の好循環を生み出すためには、より多くの方にORYZAEを楽しんでいただく機会を増やすことが必要だと考えています。
今回の調達した資金は、ORYZAEを楽しんでいただく機会の創出に充てていきます。ケネス・リサーチが2022年10月に発表したレポート(※1)では、砂糖代替甘味料のグローバル市場は、2025年までに96.6億ドル成長すると報告されています。今後も拡大していく砂糖代替甘味料の需要に対して、D2Cブランドとしてエンドユーザーに向けた商品提供機会の拡大はもちろん、製品の原料としてORYZAEを活用するBtoB事業への拡大を目指します。
(※1)https://www.kennethresearch.com/report-details/sugar-substitute-market/10220962
【FIVE WINとは】
今後の具体的な展開
調達した資金は、ORYZAEの商品開発、研究開発、量産体制構築の3つの柱へ投資を行います。事業スピードを加速させることで、「FIVE WIN」による社会の好循環を促進していきます。
砂糖代替甘味料としての新たな可能性の模索
米麹由来発酵糖分「ORYZAE」の砂糖代替甘味料としての新たな可能性を模索していきます。これまで、ORYZAEをもっと日常に取り入れていただくための商品展開をしてきました。主力商品である「ORYZAE GRANOLA」は、健康志向ニーズに応える製品でありながら、大量に白砂糖が使われているという矛盾をはらむグラノーラ市場に対して、砂糖不使用でおいしいグラノーラを作る挑戦によって生まれた商品です。今後は、グラノーラに続く、新しいORYZAEの活用や商品開発を、クリエイター、地方自治体、企業とのコラボレーションによって実現していきます。
ORYZAEの有用性に関する定量的な研究分析の実施
創業当時から作り上げたブランド価値に加えて、さらにORYZAEを利用してもらう理由となる、定量的なエビデンスを作るために、研究開発活動を行います。麹や発酵が作り出す栄養素、健康エビデンスを明らかにする、CO2削減・森林破壊などの環境負荷やサステナブルアクションに対する影響の定量化する、など、ORYZAEの「FIVE WIN」を可視化することで共感者を増やすことを目指します。
新たなパートナーとORYZAEの量産体制を作る
BtoB事業に向けた量産体制を、新たなパートナーと構築します。醸造業界は、市場規模の縮小に伴い、メーカー数が減少しています。国税庁「酒のしおり(令和2年3月)」(※2)によると、1975年の製造免許場が3,229場であったのに対し、2018年時点では、1,580場と半減しています。また、醤油メーカーは2000年に1,611社だったのに対して、2021年には1,066社と1/3のメーカーが廃業しています(しょうゆ情報センター「醤油の統計資料 2021年実績」より※3)。
私たちは、ORYZAEの量産体制構築を通じて新しい醸造業界の雇用を生み出し、日本の発酵文化を後世に継承するための地盤作りを、中小規模のメーカーや醸造蔵とのコラボレーションにより実現したいと考えています。
(※2)https://www.nta.go.jp/taxes/sake/shiori-gaikyo/shiori/2020/index.htm
(※3)https://www.soysauce.or.jp/statistical-data
資金調達概要
調達金額:2億円
調達方法:エクイティファイナンス、デットファイナンス
引受先(敬称略・順不動) :
CA Startups Internet Fund3号投資事業有限責任組合
epiST Ventures 1号投資事業有限責任組合
ナント CVC3 号あけぼの投資事業有限責任組合
KVPシード・イノベーション2号投資事業有限責任組合 みずほ成長支援第4号投資事業有限責任組合
SMBCベンチャーキャピタル7号投資事業有限責任組合
MSIVC2021V投資事業有限責任組合
NBCエンジェルファンド2号投資事業有限責任組合
Wing2号成長支援投資事業有限責任組合
奥能登SDGs投資事業有限責任組合
株式会社ナハト
神保 隆
株式会社オリゼ 代表取締役 小泉泰英コメント
事業を立ち上げてから5年が経過し、ここまで多くの方に米麹由来発酵糖分「ORYZAE」をご愛顧いただきました。お客さまとのコミュニケーションを通じて、創業当時に自分が想像することができなかったニーズを満たし、愛されるブランドに成長していることを日々実感しています。
私たちが目指す「FIVE WIN」を達成するためには、ORYZAEをフードテックにおけるひとつの技術として終わらせるのではなく、私たちが日常的に食べる甘味料として社会実装することが必須条件です。どんな素晴らしい技術も、「おいしい」を実現できなければ社会実装することはできません。
引受先の皆さんは、実際にORYZAEを「おいしい」と言ってくださる方々です。最先端の技術だから、これから市場拡大が見込まれるから、その理由に加えて「おいしさ」という食品における最大の価値を評価していただきました。みなさんと一緒に、おいしさという基盤の上に更なる価値を作っていく最高のトライをさせていただけることを大変光栄に思います。
ORYZAEの価値をさらに多くの方に体験していただき、私たちと一緒にさまざまなかたちで社会の好循環を作り出す仲間を増やしていくために、今後も邁進して参ります。
一緒に好循環を生み出してくれる仲間を募集中です!
本プレスリリースをご覧になって、オリゼに興味を持っていただけた方は、ぜひカジュアル面談にご応募いただけますと幸いです。オペレーション担当、SNS運用担当など幅広く募集しています。私たちと一緒に、発酵で好循環を生み出しましょう!
株式会社オリゼ WANTDLY:https://www.wantedly.com/companies/company_6128430
米麹由来発酵糖分「ORYZAE」とは
「ORYZAE」は、世界最古のフードテック技術”発酵”によって作られる、米麹由来の砂糖代替甘味料です。原料は米のみであるにも関わらず、砂糖の60倍のミネラルをはじめ、麹由来の350種類以上の栄養素が含まれています。古米をアップサイクルして作ることもできるため、環境負荷をかけないサステナブルな甘味料という側面も合わせ持ちます。人間の健康と地球の健康、どちらも叶えることができる次世代型糖分です。
会社概要
会社名 :株式会社オリゼ
代表 :代表取締役 小泉泰英
住所 :東京都目黒区大橋 2丁目6-12 佐藤フラッツ301
企業サイト:https://agcl.site/
メール :media@oryzae.site
電話番号 :080-9537-6584
「Startup Now」は、スタートアップ界の気になるニュースを独自でピックアップ。
サービスリリース情報から話題の企業を速報でお届けします!
→ 取材ご希望のスタートアップの方は、MENU→お問合せ より