VC Vol.007 mint / Investment Manager・ 田島 ひかるさん

第7回は、シード期のスタートアップに投資をしている独立系ベンチャーキャピタル、mintでご活躍されている田島ひかるさんにインタビューさせて頂きました。田島さんが投資先支援のために運営しているコミュニティや、投資判断をする時の大事なポイントなど、スタートアップが気になる情報についてお伺いしました!

田島 ひかる Tajima Hikaru / Investment Manager

学生時代にスペースマーケットで営業を経験後、パーソルキャリアに新卒入社。2019年、株式会社Azitに入社し、採用広報の立ち上げ及び組織運営のオペレーションを担う。2020年、アプリコットベンチャーズにキャピタリストとして入社。投資業務を中心に、コミュニティマネージャーの役割も兼任。

人事から、ベンチャーキャピタリストへ

NovolBa山田(以下、山田):田島さんがベンチャーキャピタリストになられた経緯を教えてください。

mint田島(以下、田島):前職はモビリティ系のスタートアップであるAzitという会社で働いていましたHRメンバーとして入社し、半年間で社員が3倍に増えたので、とてもやりがいのある仕事でした。退職後は、自身のキャリアプランを考えながら個人で業務委託の仕事を請け負っていたのですが、Azitに在籍していたとき、社外の方にも声をかけてバスケットボール部として定期的に活動しており、私は退職後も変わらずその幹事を担っていました。起業家や投資家など、スタートアップ界隈の方が幅広く参加してくださっていて、実はそれがきっかけで、アプリコット・ベンチャーズの代表である白川から声をかけてもらったのです。

山田:白川さんは、どうして田島さんに声をかけたのでしょうか。

田島:参加した起業家さんが、時々バスケットのことをtwitterで投稿してくれて、このメンバーと一緒にプレーする私を見た白川が「この子は誰だろう」と気になっていたみたいです(笑)。
アプリコット・ベンチャーズで働かないかと誘って頂いたのですが、はじめはベンチャーキャピタリストという仕事がどういうものか知らなかったので、仕事のイメージが湧かず、すぐには決断ができませんでした。  

山田:何が決断のきっかけになったのでしょうか?

田島:私は“人事”の仕事をしたかったのですが、白川から「ベンチャーキャピタリストの仕事は、人事の仕事と似てるんだよ」と言われたことでした。
スタートアップは、どのようなフェーズでも、人材採用と組織運営が大きな課題です。そんな大きな課題に対して、丸っと背中を預けられる存在がいれば、経営陣はもっと事業に集中することができるかも知れません。私はそれを目指しているという話を白川にしました。
それに対して、 「ベンチャーキャピタルも似ていて、資金面でサポートすることで、経営陣が事業に集中できるように伴走していく。だから、田島さんが“人事”として大切にしたいことと変わらない」という話を白川から聞くうちに、やってみようと思うようになりました。最初はコミュニティマネージャーというポジションから始めて、後々キャピタリストとして投資もやっていこう、という方針で入社することになりました。

投資領域や投資判断について

山田:現在、キャピタリストとしてご活躍されていますが、投資しているスタートアップの業種や領域などについて教えてください。

田島:
まずmintとしては投資領域や業種は絞っておらずBtoC、BtoBのどちらも投資をしています。起業家についても、学生から社会人経験の豊富な方まで様々です。私自身は主にWeb3関連やSaaS系のスタートアップを担当しています。投資にあたり、事業テーマやスケーラビリティなどはもちろん大事ですが、起業家さんのお人柄やコミュニケーション力がより重要だ、と思っています

山田:投資したいと思うのは、どのような起業家でしょうか。

田島:学生など若い方と、社会人経験が豊富な方で少し観点が違ってきます。
大前提として、先ほど伝えた通り「人柄」「コミュニケーション」を一番重要視しています。 その上で、学生起業家の場合は特に成長率が大事だと考えています。事業としての成長率ではなく、経験などから学んだことを生かして自分なりに考えたり、それをもとに行動することで、次に会ったときに成長の差分が見えるかという点です。
社会人経験の豊富な方については様々な要素があって一概にこれとは言い切れませんが、マインド面だと、勉強熱心でコーチャブル*などでしょうか。スキル面は、人によって開発や営業など実務経験が異なるので、何を得意とする人かは知るようにしています。あとは人を巻き込む力ですね。 色々と話しましたが、最終的にはお互いの相性がとても大事です。私としては、その起業家さんのことが好きだったら、「この人と一緒に勝ちたい!」と最大限サポートできるので、とても大切なことです

 *コーチャブル ・・・ コーチングを受け入れられる姿勢やその人の性質のことを意味する

起業家を最大限サポートするコミュニティ

山田:mintさんは投資先をサポートするコミュニティが充実していると伺いましたが、どのようなコミュニティがあるのでしょうか?

田島:mintが運営しているコミュニティからご説明しますと、まず大きく2つに分けられます。 一つは、これから投資対象となるような起業家向けのコミュニティ。もう一つは、既存の投資先向けのコミュニティです。

新規投資となる起業家向けには、『Springboard』という3ヶ月間の起業支援プログラムをデライト・ベンチャーズさんと共同開催していて、事業アイデアのブラッシュアップや資金調達の機会を提供しています。また、『FLAP』というオフィス支援プログラムも運営しておりまして、創業間もない起業家の方に半年間無料でオフィスを貸し出して、起業家同士で話し合える場を提供しています。

既存の投資先向けには、AWSJapan(Amazon Web Service)さんと一緒にエンジニア向けの勉強会も企画・運営しています。その他にも、採用やマネジメントのスペシャリストをゲストに招いて勉強会をしたり、投資先同士の繋がりを持ってもらい、CEO同士でしか話せない悩みや課題を共有できる場を作ったりしています。

山田:とても充実していますね!田島さん自身が運営しているコミュニティもあると伺いました。

田島:はい。例えば、web3.0関連の事業にチャレンジしている投資先が複数あるのですが、この領域は日々状況が変わりますし、税務や法制度関連などキャッチアップすべき情報が非常に多いです。それをslackで共有し合うコミュニティを作りました。新しい知識を得られて、投資先同士が会話もできるので、モチベーションの維持・向上にも繋がると考えています。
また、先にお話しましたが、バスケットのコミュニティも引き続き運営しています。 単純にバスケットが好きということもありますが(笑)、ビジネス以外で人との繋がりを持ちたいと思っている方は多いはずです。起業家だけでなくスタートアップ界隈の方が沢山来るので、今では200人以上のコミュニティになっています。 バスケットを仲間と純粋に楽しむことは気分転換にもなりますし、ビジネス抜きで仲良くなると、その後仕事にも発展しやすいんです

今後の展望

山田:田島さんの今後の展望、そしてmintさんの今後の戦略について教えてください。

田島:キャピタリストとして経験が長いわけではないので、多くの起業家を支援するためにも、私自身がもっともっと成長する必要があります。また、投資からエグジットまで10年かかることもあるので、キャピタリストになったからには、長期でこの仕事にコミットしたいと思っています。その過程で、投資した起業家から「田島さんがやっぱり一番だよね」と言われたら、キャピタリスト冥利に尽きます。私も大好きな起業家やスタートアップを1人でも、1社でも多く勝たせてあげることができる、そのような実力をつけることができればと思っています。

日本の独立系ベンチャーキャピタルはここ数年で組織化が進んでいるファンドが多いです。組織として確立されている印象が強いのは、やはりジャフコグループさんでしょうか。
mintも長く続く偉大なファンドを目指しています。ゼネラルパートナーの白川や木暮が、日々そこに挑戦しているんです。投資家でもあり起業家でもある二人をてとてもリスペクトしています。 そんな中で、メンバーがもっと成長して多くの起業家さんをサポートできればmintの価値向上にもなります。起業家・スタートアップの挑戦、mintのゼネラルパートナーである2人の挑戦、それらを最大限サポートすることが、私の原動力になっています。

山田:興味深いお話、ありがとうございました!

mint

株式会社アプリコット・ベンチャーズ、TLM株式会社の2社により設立した投資ファンド。金融と事業、投資家と起業家という境を融かし、スタートアップが成長する土壌をつくり、起業家を支える、創業期に特化した独立系ベンチャーキャピタル。勉強会やイベント等の運営や無料オフィス支援「FLAP」を提供するなど、シード期のスタートアップに手厚い支援を行っている。(mint公式HPより一部抜粋)
https://mint-vc.com/

【編集後記】
インタビューを通して、田島さんが起業家を応援したいという気持ちや、少しでもmintに貢献したいという情熱を感じました。一方、お話の仕方がとても論理的で整理されており、起業家のどこを見ているか、どんなコミュニティを作っているのかなど、分かり易くそして丁寧に多くのことを説明して頂いたことが印象的でした。そんな田島さんであれば、今後の活躍は間違いないと思いますので、引き続きWITHで追いかけていきたいと思います!


取材日:2022年4月14日
インタビュアー:山田 直哉

写真:原 康太  
編集:神成 美智子

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