スタートアップ対談 ~CS編~ ②株式会社スペースマーケット
顧客の機微を感じ取り、日々カスタマーサクセス(以下、CS)に取組む株式会社facingの若手グループリーダーが、CSに力をいれる話題の企業にインタビューする企画を全2回でお届けします!
第2回は、facing株式会社のせりんが株式会社スペースマーケットにお邪魔し、業務成功の秘訣や、チーム作りのヒントを探ります。
facing株式会社
大企業からスタートアップまで事業フェーズ問わず、インサイドセールスやカスタマーサクセスをBPOにて請け負っている。「100年後も、ヒトが主役の世界を創造する」をビジョンに掲げ、カスタマーサクセスの戦略立案から運用実行、コンサルティング業務まで総合的に伴走支援。バリューは、「ぬくもり」と「成果」にコミットすること。
https://facing.co.jp/
加藤せりん (愛称 せりん)
出身:大阪育ちのトルコハーフ
役職:アカウントマネージャー
お肉は食べないペスカトリアン!食べることも料理も大好き!
Twitter: https://twitter.com/selin_facing
facingのせりんです!
現在アカウントマネージャーとして窓口業務を行いながら、社内ではチームマネジメントに取り組んでいます。不合理なCSと向き合う中で、自分自身はいかに合理的判断ができるかを大切にしています。
第2回は、「チャレンジを生み出し、世の中を面白くする」というビジョンのもと、スペースシェアの文化創造、拡大に取り組む、株式会社スペースマーケットです!CSグループでグループリーダーを務める山﨑沙織さんにインタビューしました。 日本最大級のスペースシェアプラットフォーム『スペースマーケット』を運営し、競合が増える業界を先導するスペースマーケット。リピーターを増やす秘訣や、チーム作りで大切にしていることをお聞きしています。
山﨑 沙織
Yamazaki Saori
株式会社スペースマーケット /CS グループリーダー
【Profile】2019年 株式会社スペースマーケットに入社。前職で不動産会社に勤務している際、スペースマーケットでスペースの貸出を行うユーザーに出会ったことがきっかけで興味を持つ。CSに力を入れている点に魅力を感じ、不動産会社での「BtoC」の営業経験も生かせることから、転職を決意。2021年からCSのマネージャーに就任し、ユーザーのサポート対応やLTV※向上に取り組んでいる。
※「Life Time Value」の略で、ある顧客が取引期間中に自社へもたらす価値のこと
ユーザーの成功にこだわり能動的に考え、動く
facingせりん:スペースシェアの競合が増える中で、ユーザーからリピートしてもらうために、どのような施策を行っていますか?
スペースマーケット山崎 :主に二つの施策を実施しています。一つ目は、CRMツール(顧客関係管理ツール)の活用です。具体的には、予約直後や利用直後の「サービスに対してポジティブな気持ち」のときに、予約へのお礼や次回利用促進のメッセージを送っています。
二つ目は、スペース探しから予約まで、ハイタッチ*でサポートをしていることです。 例えば、「目的にあったスペースが見つからない」というゲスト(スペースを借りる側)に対しては、用途や金額、利用日などの条件をヒアリングのうえ提案をしたり、「スペースマーケットの使い方がよく分からない」というゲストには、使い方のサポートを行ったりしています。
*密にコミュニケーションを取りながら手厚くサポートすること
せりん:スペース探しから予約完了までに寄り添い、悩みや課題をできる限り解決することで、「また使おう」と思ってもらいやすくなりますね!
山崎 :そうなんです。一般的に、CSに「受け身」のイメージを持つ人は多いかもしれませんが、当社では、CRMツールを使いながら積極的にアクションを起こしています。また、ユーザーからのフィードバックはすぐにオペレーションやプロダクトに反映させています。
せりん:ユーザーのフィードバックは様々あると思いますが、サービスに反映させる基準はありますか?
山崎 :件数よりも、緊急度で判断することが多いですね。件数が少なくても、ユーザーさんの成功体験を阻害するものでしたらすぐに対応します。ユーザーの体験とプロダクトの開発優先度を加味しながら、CS内でも優先順位をつけてプロダクト側にエスカレーションを行っています。
「人が対応する業務」と「自動化する業務」」の基準とは?
せりん:当社も発注いただく件数が増えており、業務の自動化を検討しています。人が担当する業務と自動化する業務をどう分けていますか?
山崎 :問い合わせは、「これが分からない」「退会したい」のようにネガティブな内容が多く、そこは人が親身に対応します。一方で、過去の利用者に予約促進のメッセージを送るように、当社から働きかける業務に関しては、自動化しているものも多いですね。
せりん:人が担当する業務の中で、属人化する業務を仕組み化させていきたいと思っています。仕組み化する際の基準はありますか?
山崎 :そうですね、画一的な対応が可能かどうかでしょうか。例えば領収書の発行方法についての質問がよくあるのですが、発行方法は一つしかないので、一度回答のテンプレートを作れば応用できます。
一方で、ホストとゲストの間で発生したトラブルを解決するときのように、当事者の温度感に合わせた対応は仕組み化が難しいですよね。そのようなケースに関しては、ざっくりパターン分けしたうえで対応の流れをまとめたロードマップを作成し、現場で経験を重ねる中でブラッシュアップしています。
目標を自分事として捉えるためには
せりん:チームで決めた目標を自分事として捉えられるチームを作りたいと思っています。高いモチベーションを維持するためにどのような取り組みをされていますか。
山崎 :難しい問題ですよね。CSでは「KPIオーナー」という制度を導入しています。各目標に対して各々が担当者となり、自分でKPIを設定するというものです。グループとして5段階の達成基準を掲げていて、どのくらいの数値であれば達成できるのか、明確に説明できる根拠も考えてもらっています。
せりん:皆さんのモチベーションの高さはKPIの設定が関係しているのでしょうか?
山崎 :それはあると思います。KPIと達成基準の結びつけを月末に見直してもらったり、毎週の定例会でメンバーから目標の進捗状況を報告してもらったり、目標の達成度合いに目を向ける機会が多いんです。
KPI自体がトップダウンではなく自分で根拠立てて設定したものですし、定期的に目標と向き合うことが、モチベーションの維持につながっているのではないかと思います。
「KPIを達成しないとお給料がもらえない!」と、笑いながら話すメンバーも少なくないんです。一人ひとりがKPIに対して真剣に向き合っている証拠ですね!
チーム作りで大切にしていること
せりん:CSには様々なバックグラウンドを持ったメンバーがそろっているとお聞きしました。メンバーが活躍できる環境をつくるために、どのようなことを意識されていますか?
山崎 :個々の強みを生かせる業務をどんどん任せるようにしています。最終確認や期日を守ることなど最低限のお願いはしますが、思い切って任せたほうが、メンバーはのびのびと取り組んでくれるんです。メンバーを信じて、必要以上に口出ししないようにしています。
せりん:お仕事を任せたい一方で怖さもあったのですが、今後は私も信頼して任せてみようと思います。 チームをまとめていくためにコミュニケーションで大切にしていることはありますか。
山崎 :最近はリモートで働くメンバーも多いので、顔が見えなくても信頼を深められるよう、Slackでこまめにコミュニケーションを取ることも意識していますね。 あとは、誰かが悩んだり迷ったりしていたら、会社としてはどのような考え方や進め方が良いのか、「道しるべ」を示してあげることです。
せりん:最後に、CSとして目指す姿やこれから挑戦したいことを教えてください!
山崎 :予約のハイタッチサポートやCRMツールを使ってのコミュニケーションを始めてから3か月ほどが経過しましたが、今後はよりインパクトのある成果を出していきたいです。当社においてゲスト・ホストと最も密にコミュニケーションを取っているのは、CSだと思います。私たちならではの立場から得た気づきや経験を、より良いサービス提供のために生かし、「CSが事業を牽引している」と思われるようなチームを作りたいです!
【会社概要】
株式会社スペースマーケット
「チャレンジを生み出し、世の中を面白くする」をビジョンに掲げ、日本最大級のスペースシェアプラットフォーム「スペースマーケット」を運営している。物件をシェアスペースとして貸し出したいホスト向けに、運営サポートも行う。スペースシェアをあたりまえの選択肢にすることで、人々の発想を広げ、多様なチャレンジを生み出し世の中を面白くするべく、チーム一丸となって挑戦を続けている。フラ製品とプラットフォームサービスで、安全安心な社会づくり、生活の高度化に貢献したいと考えています。
公式サイト:https://spacemarket.co.jp/
【編集後記】
今回は、TO C向けのCSチームがメインというスペースマーケットさんに取材をさせていただき、弊社facingのBPO事業における現場のオペレーション・チームワークを考える上でかなり参考になりました。
上手くチームワークを発揮する為には、リモートワークのタイミングがありながらも、綿密なコミニュケーションをスラックなどを利用しながらも随時とること、人に仕事を任せる為には期日設定を行い具体的にやってほしいタスクを提示して最終確認のみを責任者が行うなど、チームマネジメントをする上で当たり前な事項かもしれませんが、改めて必要性や重要性を感じました。
また、個人では根拠も合わせて目標設定を自ら行い、目標を追いかける体制があることによって目標数値自体が自分ごとに感じられる仕組みがスペースマーケットさんではできているようでした。
弊社facingはDX化が進む社会に対して、「人の力」にフォーカスしているCSチームですが、スペースマーケットさんの中で、自動化と属人化の線引き基準があるかどうかをお伺いしました。ネガティブなものは属人的なまま残して、ポジティブな事項は自動化していく方向との回答をいただき、自動化と属人化の線引き基準を具体的に言語化いただけたのがとても新鮮で良かったです。
前回のSkillnoteさんとはまた違った観点でのお話になり、一括りにすれば弊社facing、Skillnoteさん、スペースマーケットさんと同じCSですがそれぞれ共通点がありながらも相違点があり、俯瞰視する良い機会となりました。
取材日:2022年10月12日
インタビュー:facing株式会社 加藤せりん
文:紺野 天地
編集・写真:西 かな子
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