【対談】Vol.001 スタートアップと成長を共に/株式会社オリエンタルランド・イノベーションズ × 株式会社NovolBa

スペシャル対談の第1回は、CVCの株式会社オリエンタルランド・イノベーションズ/代表取締役社長 豊福氏と、スタートアップ向けオフィスサブスクサービスを展開する株式会NovolBa/代表取締役 鄧氏にご登場いただきました。
※取材中、発話時はマスクを着用し、ソーシャルディスタンスを保って行っています。

豊福 力也 Toyofuku Rikiya 右

株式会社オリエンタルランド・イノベーションズ(以下、OLI)代表取締役社長。
東京大学法学部卒、テキサス大学オースティン校・経営大学院修士課程(MBA)修了。
2004年、新卒で株式会社オリエンタルランド入社(以下、OLC)し、人事部、出資先ベンチャー企業への出向、グループ会社の管理、自社農園の立ち上げなどを経験。経営戦略部を経てオリエンタルランド・イノベーションズ(以下、OLI)を設立、代表取締役に就任。

鄧 雯 Toh Bun (Deng Wen)左

株式会社NovolBa代表取締役。中国、福建省生まれ。
幼少期から日本文化や経済発展に興味を持ち、大学3年の時に留学生として来日。学習院大学 大学院・経営学研究科卒業。2012年、新卒で株式会社ミスミに入社。2016年、株式会社岡村製作所(現:株式会社オカムラ)に転職し、オフィス家具のB to C向けマーケティングに携わる。
2021年11月、株式会社NovolBa創業、代表取締役に就任。オカムラグループ初の女性代表となる。

OLI:ベンチャー企業の成長にコミットする伴走支援

NovolBaとう(以下、とう):豊福さん、本日はよろしくお願いします。
まず初めに、OLIさんのCVCとしての特長について伺ってもよろしいですか。

オリエンタルランド・イノベーションズ豊福(以下、豊福):OLIは、新規事業の創出を主な目的として活動しており、投資先ベンチャー企業の伴走支援に力を入れています。具体的には、社員が投資先に出向して人的支援を行っていることです。協業のよくあるパターンとして、既存事業の協業を進める目的で、CVCを設立することがありますが、我々の場合は、ベンチャー企業の成長が目的となります。

その他に、出資をさせて頂くベンチャー企業とのジョイントベンチャーやM&Aも一つの選択肢として持っていること、VCから出資されているスタートアップのエグジット先となり、その後安定株主になることもできることも、特長の1つです。

NovolBaとう(以下、とう):なるほど、「カネ」「モノ」の他に「ヒト」もダイレクトに支援できるのは珍しいですね!OLIさんから出向する方はどのような人材なんですか?

豊福:現在3名が出向していまして、出資先のベンチャーが異口同音で言ってくださるのですが、「コミュニケーション能力が高く、素直な性格で、地頭が良い」ということです。
僕の推測ですが、OLCに入社する人は、人に対して喜びやハピネスを提供したいと思う人が多く、とても素直でコミュニケーションを取ることが好きな人材が多いように感じます。また、採用時から「より良く」を求め続けてチャレンジができる人材を選抜しているので、思考力が備わっているのかもしれません。

とう:スタートアップは優秀な人材を獲得するのに苦労することが多いので、特にシード、アーリ―のステージでそのような人材が来ることは、とても魅力的ですね。また、OLIの人材から大企業の組織運営や仕事の仕方などについて、スタートアップが学べる良い機会にもなりますよね。

NovolBa:スタートアップが活躍する社会を作りたい

豊福:鄧さんは、なぜNovolBaを立ち上げようと思ったのですか?

とう:日本で活躍するスタートアップが増えて欲しいという想いが根源にあります。現在私たちにできる事として、スタートアップ向けのオフィスサービスや家具のサブスクを提供しています。

豊福:
先日、出資先がオフィス移転をしたのですが、家具の選定や電気ガス水道の契約から立会い、各所から請求など手間がかかる仕事だと思いました。NovolBaのサービスでは契約が一つになるので、スタートアップにはとてもありがたいですね。

とう:スタートアップは事業に集中したいはずなので、少しでもその手間やオフィスを持つハードルを下げられれば、と思っています。

豊福:おっしゃる通り、事業にリソースを割きたいのに移転に時間や体力を使うのはもったいないですね。この事業をスタートアップ向けにフォーカスしたのは、何か原体験があるのでしょうか?

とう:以前、大学の後輩から「スタートアップに入りたいのに、親に反対された」と相談されたことがありました。ご両親は「せっかく大企業に就職できたのに、なぜ辞めるんだ」と全く理解をしてくれなかったみたいです。世の中をより良くしたいと思っているのに、自分の家族に応援されないのはとても悲しいことだと思いました。
社会課題を解決して、より良い未来を作っていくのはスタートアップだ、と思っていますが、日本は大企業で働くことのブランドや安定を好む傾向が根強い、と改めて感じました。
それならば、NovolBaの事業を通してスタートアップの活躍を世の中にアピールしたい、日本でのスタートアップのプレゼンスを上げたい、と思っています。

OLI/NovolBa:新規事業を成功に導くチームとは?

とう:NovolBaは、オカムラとボーンレックス2社のジョイントベンチャーで、会社が立ち上がりました。 熱い議論をしたり、共感したり、腹を割って話しながら一緒に良いものを作っていこう、と日々挑戦しています。悩むことも多いですが、豊福さんはチーム作りでどんなことを大切にしていますか?

豊福:そうですね。新規事業を作るためには、まずは”個の強さ”が必要かなと思っています。

とう:個々のどのような強さでしょうか?

豊福:一人一人が何かのプロフェッショナルであることですね。そのために、各々が自分の責任をしっかりと果たし切ることが大事だと思っていますし、そういう環境をチームで作りたいと思っています。
機能分担が出来上がっている大企業での仕事の仕方と違い、ベンチャーでは自分の力がダイレクトに返ってきますし、それをやらないと組織は死んでしまう、という危機感が必要だと思っています。そのような危機感が個の力を強くし、その総和が還元されるようなチームを作りたいと思っています。
鄧さんが「2社の人材が合わさった混合チームで良かったな」、と思うのは、どんなところですか。

とう:刺激し合えるところですね。オカムラ社だけで議論すると、当たり前の共通認識が多いので、すぐアクションに移せるというメリットはありますが、それが最善ではない可能性もあると思っています
ボーンレックス社のメンバーが違う考え方を提示してくれると、「なるほど、そういう考え方もあるのか」と、とても刺激になります。
OLIは、社員がスタートアップの出向から戻って、新しい考え方や刺激が入り、仕事の進め方が変わったりしますか?

豊福:そうですね。スタートアップの現場を体感したメンバーは、色々なものを吸収して帰ってきてくれます。特に、ビジネスモデルを精査する力が高まるので、投資先を選定する際の質問などは、とても鋭くなりますね。

OLI:親会社と二人三脚で事業を推進

とう:豊福さんは、親会社で新しい事を始めたいと思ってCVCを立ち上げたとお伺いしました。
どのような経緯だったのでしょうか。

豊福:私が就職活動をしていた2004年頃、OLCは新規事業立上げに関する人材を募集していたので応募し、入社いたしました。しかしその後、外部環境に応じて既存事業に集中する選択をし、OLCの新規事業の立ち上げはなかなか進みませんでした。
既存事業以外の分野で経験やスキル、知識を得て、2020年にOLI立ち上げのチャンスを頂きました。このような素晴らしい機会を頂けたことに、感謝しかありません。

とう:それは嬉しいですね!新しい事をやりたい、と思う原動力はどこからきているのですか?

豊福:新しいことに挑戦することが、私が会社に貢献できることだと思うからです。
私のOLCのキャリアは、人事、株式会社スマイルズへの出向、農園事業の立て直しなど、既存事業とは少し離れた仕事でした。それが、会社の中で相対的に自分が価値を出せて、これからも貢献できる分野だと思っています。

とう:既存事業で実績のある企業が新しい取組みをすることは、周囲が失敗を恐れて保守的になったり、難しい部分はありませんか?

豊福:確かに、どうしても既存事業をより良くする仕事がメインになりますね。また、確立されたブランドを守ることが、非常に重要な仕事になります。ですから、OLCで新しいことを始める際には、「ブランドを守るためのリスクは回避する」という考え方は当然あります。
一方OLIは、リスクを取っても、投資ポートフォリオ全体で最終的に利益を出すことが必要という側面があるので、それを親会社に理解してもらう努力をしています。

また、新型コロナにより、既存事業にも力を入れる必要があり、新規事業の意義が薄れやすくもなりえます。そんな中でも、OLIの存在価値を親会社にも認めてもらい、応援してもらえる風土醸成に注力しています。我々の第一の目的は新規事業の創出ですが、親会社に関連した投資を行い、既存事業の発展に貢献しながら、新規事業についても社内に応援してもらえる風土を作りたいですね。

とう:すごく共感します。
最後に、豊福さんの最終目標があったら教えてください。

豊福:OLIがCVCとして、1社でも多くのベンチャー企業の成長をサポートできる存在になりたいですね。我々が結果を残すことで、OLCグループの社員が新規事業を提案するようになって、それらが認められるような企業文化を作りたいと思っています。

とう:ありがとうございます。 私もNovolBaの事業を成長させることで、オカムラ社内でも新しい事業が生まれやすい風土を作っていければ、と改めて思いました。本日はありがとうございました!

豊福:こちらこそありがとうございました!

株式会社オリエンタルランド・イノベーションズ

株式会社オリエンタルランド(以下、オリエンタルランド)の新規事業の創出を目的に2021年度に創立したCVCです。OLIは、ベンチャー企業等が持つイノベーションをもたらす技術やアイディアと、オリエンタルランドグループが持つ資源を融合することで、オリエンタルランドの企業理念である「夢・感動・喜び・やすらぎ」のある社会づくりに寄与する事業創出活動を行います。
また、出資先のベンチャー企業が望む場合は、出向などによる人的支援・協業・共同での新規事業開発を行い、バリューアップの支援を行います。(Websiteより引用)

https://www.oli.olc.co.jp/

株式会社NovolBa

オフィス家具メーカーの株式会社オカムラと事業支援を行う株式会社ボーンレックスが共同で、2020年4月にWaaS(Workplace as a Service)プロジェクトを発足し、スタートアップの向けオフィスサービスの実証実験を開始。スタートアップがオフィスを構築する際の課題やニーズを分析し、2021年11月に2社のジョイントベンチャーで株式会社NovolBaを設立。「挑戦するスタートアップの成長を支える」をミッションに掲げ、スタートアップ向けのオフィス空間サービス、オフィス家具のサブスクリプション等を提供している。

https://novolba.com/

執筆・文:西 かなこ
撮影:原 康太
構成:山田 直哉 / 神成 美智子
インタビュー場所: 株式会社オカムラ ニューオータニ・ガーデンコート 25F

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