【記事】NovolBa(ノボルバ)オンラインイベント「Withコロナ時代における『オフィス』の最適解とは」

(本記事で記載されているイベントの動画本編はこちら

昨年12月18日、スタートアップを効率的なオフィス移転で成長させるサービス「NovolBa(ノボルバ)」がたくさんの豪華なゲストをお招きして、Withコロナ時代におけるスタートアップ企業のオフィスの役割や価値観の変化について、熱く語っていただきました。

オープニングトークは、つい最近オフィス移転をしたばかりの下元 敬道氏(アクトインディ株式会社 代表取締役、以下「下元氏」)。

縮小移転の際に直面した困難とは何だったのでしょうか。


【縮小移転に重くのしかかる、莫大な費用】
新型コロナの影響で緊急事態宣言が発令された2020年。
例年であれば繁忙期であるはずの期間の売上が激減し、状況はすぐ改善しないだろうとの見通しから、下元氏はオフィスの縮小移転を決断しました。

いざ縮小移転の準備に取り掛かると、お金の無駄が多いと感じたそうです。

まず、什器の配置に合わせて配線したものをすべて現状回復しなければならないこと。

次のテナントが入った際に似たような配線になる可能性もありますが、それでも現状回復工事は必須です。

また、契約上、退去は6ヶ月前に通達しなければならず、半年分の家賃の支払いが残ります。加えて引越し業者への支払い、新しいオフィスでの内装工事も不動産オーナー側から業者を指定されて費用を削ることができず、縮小移転にかかる費用が500万円を超えたそうです。

移転にかかる費用

①現オフィスの「原状回復費」

②退去時の契約「6ヶ月前に通達」

③引越し業者の費用

④新オフィスの内装費

⑤その他・敷金礼金等

その経験から、お金の無駄がないようなオフィス移転やレンタル会議室などの新サービスが充実することを期待している下元氏。

「コロナ禍でオフィスが要らない時代がくると言われているが、リモート会議が増えた結果、実際に顔を合わせることの価値はあるなと感じている」

「駅前の貸しオフィスなど気軽に集まれる会議室のサービスはあるけれど、もっと借りやすい新しい契約形態が出てきたりするとありがたい」

と話されました。

【スタートアップ企業のオフィス存在意義】
オフィス移転の体験談のあとは、スタートアップ企業が自社オフィスを構える意義についてNovolBaが考えていることを、事業担当の吉住より3点お話ししました。

①メンバー間のコミュニケーション
緊急事態宣言下でフルリモートワークを経験したNovolBa事業の担当者たち。

「フルリモートが明けてオフィスに戻ってきたら、対面での会話の情報量の多さに改めて驚かされました。対面でのやりとりの気軽さや円滑なコミュニケーションは何にも代えがたいものです」。

②オフィス文化の醸成
会社の雰囲気は、あとから入ってきたメンバーには伝わりにくいもの。リモート勤務が続くとなおさらです。オフィスに来ることで会社の雰囲気や方針、今後の事業の方向性を共有することは、スタートアップ企業にこそ必要かもしれません。

③対外的信頼感
オフィスは企業の鑑だと思います、と吉住。求職中の方が面接を受けにオフィスに来社された際やクライアントの来訪時、しっかりとしたオフィスがあるだけで企業の信頼感がぐっと上がります。
大企業がスタートアップのオフィスを訪れて「ここなら一緒に事業を進めて大丈夫だな」と判断して手を組むことがあるのは、よく聞く話です。

【コロナ禍においてオフィスは不要となるか】
このように、対外的な信頼度や社内での文化醸成、価値観共有など、急成長するスタートアップにこそ欠かせない利点があるオフィス。

この2020年、世界中で急速に拡大した新型コロナの影響でリモートワークや分散出社が増えている中、オフィスのあり方は変わっていくのでしょうか。

オフィス移転やスタートアップ界隈に詳しいゲストをお呼びして、パネルディスカッションを開催しました。

最初のゲストは藤澤 正太郎氏(Knotel Inc. General Manager, Japan、以下「藤澤氏」)。
NY発ユニコーン企業にてフレキシブルオフィスを提供されている視点から、海外ではどのようにオフィスを捉えているかを伺いました。

―藤澤氏

Knotelは企業向けのオフィスを提供している会社です。アメリカも日本と同じように、オフィスは10年契約をしなければならないなど、テナントに対する負荷が大きい商習慣が続いていましたが、オフィスサービスをブランディングやデザイン力でテナント目線のサービスをしていこう、というのが近年の欧米のトレンドとなっていきました。

日本ではオフィスの空室率が1%を切るという環境だったのですが、幸か不幸か、コロナ禍によって今後の空室率が5%~10%と増えていくにつれて、オーナーもテナント目線で何かをやっていかないといけない風潮になっていくのかなと感じます。

その中で、オーナーとテナントが全員一致して無駄だと思っているのが「原状回復費用」。この再利用や環境面、経済面が合理的に解決されるビジネスモデルをどう作るかというところで、Knotelではオリジナル家具を作ってテナントに合わせて準備し、次のオフィス移転の際に持っていかなくても良いようにしています。

数多くのスタートアップ企業との関わりが深い、橋田 一秀氏(株式会社ペライチ 代表取締役、以下「橋田氏」)。Withコロナの昨今、スタートアップ界隈で感じるオフィスの価値観の変化についてお話しいただきました。

―橋田氏

肌感覚として、オフィスを解約または縮小移転する企業は一定数ありますね。会社の事情や、これからの時代に合った会社のコンセプトを考えていく中で、オフィスのあり方も変化していく企業が多いのではないでしょうか。

ケースバイケースではありますが、オフィス不要論は違うと思っています。オフィスは一般的には会社のカルチャー醸成や仲間が集まれる場として機能します。

作業は自宅でもできるけれど、オフィスに来て、何気ない会話からアイデアが生まれることも実際にありました。会社の文化を作り上げるためにも、スタートアップの立ち上げ初期であればあるほど、オフィスは持ったほうがいいとアドバイスしています。

―藤澤氏

オフィスの機能を代弁していただいて、オフィス事業側は嬉しい限りです(笑)。
企業へのエンゲージメントを高めるということ、ホームがあるということ、アイデンティティを示す場所があるということですよね。

業務はリモートでできるけれど、それとは別に、企業文化が作られる場を設けるといった面でも、オフィスの価値は欧米でも見直されています。欧米を見ていても、全くオフィスを持たないという動きはほとんどありません。

最近、オフィスを移転させたばかりの室岡 拓也氏(株式会社ボーンレックス 代表取締役。以下、「室岡」)は、オフィス移転についての持論を次のように語ります。

―室岡

スタートアップ企業は、社員が成長を実感できる瞬間を作ってあげるのが大事だと思っています。オフィスのセットアップや原状回復などは大変ですが、スタートアップに新しく入ってきた人たちが、今まであったオフィスではなく、みんなと新しい環境に入っていくことで、創業メンバーたちと同じオフィスで仕事を始められるスタートラインに立てるのがいいと思っています。

―藤澤氏

郊外にハブオフィスを持ち、縮小した本社があるというのが海外のトレンド。コロナが早々に収束するとは思えないし、コロナに感染したくないというのは社員の権利であるからこそ、自宅から近く、都心ではない場所にオフィスを構えて通勤しやすくしてあげるのが良いのではないかと。

オフィス事業者側から、こうしたら社員が通勤しやすいですよ、新型コロナの感染リスクが低くなりますよ、という提案が出てくるのは最近の傾向としてありますね。テナント目線での事業というものが増えてくるといいですよね。

【模索も楽しむ、今後のオフィスのあるべき姿】
オフィスが、誰目線で、どこで、どのようにセットアップされ、貸し借りされていくのが最適な形なのか。

ゲストそれぞれの立場から多角的にお話しをいただき、めまぐるしく変化する今の世界にマッチした、柔軟なサービスが生まれる期待感を膨らませました。

―橋田氏

共感できる部分がたくさんあり、参加していて楽しかったです。まだまだコロナの影響があってオフィスのあり方について固まっていない部分もあるけれど、自分たちも新しいかたちに着地できるように模索していて、その過程も楽しんでいます。コミュニケーションの形も模索して、新たに入ってきてくれる人たちを迎えたいですね。

―藤澤氏

ひとりで日本におけるKnotelのあり方を模索している中で、似たような事業をNovolBaがやっていると知ることができて良かった。日本の環境のなかでもどんなサービスが生まれるのがいいのかを考えていきたいです。

【編集後記】

長時間に渡ってお話しいただいた今回のイベント。会話が盛り上がり、まだまだゲストの皆さんは話し足りない様子でしたが、テナント側として注視するべき世界の動向や、オフィス提供側としての可能性など、さまざまな視点からオフィスを知ることができました。

Withコロナ時代におけるオフィスの最適解について、皆さんはどのように感じられましたか?このイベントが、皆さんの今後のオフィスのあり方を再考する一助になれば幸いです。