今回は、株式会社PictoriaのCFOとして活躍する谷本 旭さんにお話を伺いました。
谷本さんは、なぜ安定した銀行を辞めてまで未知のスタートアップの世界に飛び込んだのか。そこにはどのようなマインドセットがあり、なぜPictoriaを選んだのかなど興味深い話をお伺いできました。また、Pictoriaでの仕事やカルチャー、メンバーとの関係性、そして今後の目標についても語られており、スタートアップに関心を持つ人やキャリアに迷いを感じている人にとって、貴重なヒントが詰まった内容になっています。
株式会社Pictoria CFO
谷本 旭
一橋大学法学部卒業。銀行に新卒入社し法人融資業務を経験後、信用リスク管理部門にて内部格付制度の運用、融資ポートフォリオリスク分析などを担当。2022年8月にPictoriaに参画し、バックオフィス1人目として経営企画・管理全般を担当。
地方銀行に就職した目的は、「〇〇」だった。
NovolBa : 現在、PictoriaのCFOとして活躍されている谷本さんが、新卒の就職先として地方銀行を選んだ理由は何だったのでしょうか。
Pictoria 谷本:元々は国家公務員になりたいと思っていて、実は国家公務員試験を受けて合格をしました。しかし、その後の面接試験で 官庁訪問をしたのですが、段々と”違和感”が芽生えてきたんですよね。
自分は、島根県松江市にある人口数千人の小さな町で生まれて、将来は「地元や地方に貢献したい」と思うようになりました。そこで、国家公務員になり行政の面から地方のためにできることを考えていたのですが、官庁での面接を通して省庁役人の方と話をするうちに、地方に対する考え方やその背景が自分と違うなと思い始めました。本当に地方の出身の自分と、言わば国家公務員のエリートが地方に対して思っているところとのギャップを感じてしまいました。
NovolBa : それは悩みますね。それで国家公務員ではなく違う選択肢を考え始めたのですか?
Pictoria 谷本:そうなんです。ただ、「地方に貢献したい」という思いは変わらなかったので、地元の公務員か銀行が良いのではと思いました。最終的には地元のビジネスの発展に寄与する仕事ができると思い、地銀に就職しました。
安心・安定の銀行を退職
NovolBa : 地銀に就職されて数年間活躍された後、Pictoriaに出会い転職を決断したと伺いました。地銀勤めという”安定”を失うことは怖くなかったのでしょうか?
Pictoria 谷本:正直、不安はなかったです。入社した時から自分には目的意識があったので、どこに行ってもある程度は力を発揮できるのではと思っていました。もちろん、地元で有力な企業で働けることは有難かったですが、自分が活躍できると思った場所だから地銀を選んだという意識を持っていました。
NovolBa:目的意識は大事ですね。ただそれがあっても動けない人も多いと思います。どういうマインドや考え方があれば、変化を恐れず動きやすくなると思いますか?
Pictoria 谷本:そうですね、自分が考えていたのは、銀行からスタートアップへ行く人が少ないので珍しい、 だから仮に失敗してもその後に市場価値はあるだろうと思ってました。何か大きく動くにあたって「失敗したら本当にそこで終わりかどうか」を考えることが重要です。ただ勇気を持つだけではなくて、たとえ失敗しても周りが価値を感じてくれる人材になれるかなど、そういうことを考えた上で納得して進むのも大事だと思います。
スタートアップという知らない世界へ。Pictoriaとの出会い
NovolBa :地銀を辞めて、Pictoriaさんに入社された経緯を教えてください。
Pictoria 谷本:自分の大学時代の同級生が、CEOの明渡と高校の同級生だったんです。彼から明渡を紹介されて、オンラインで2、3時間話をしました。その後、一緒にお酒を飲んだりして人柄も分かり、すごく信頼できる方だと思いました。結局、すぐにジョインを決めました。決断は早かったですが、自分にとって重要だったのは、同じ場所で働く人と人との関係性です。実は、それまではスタートアップのことやその業界もよく分かっていなかったのですが、明渡が信頼できると思ったので、比較検討はしませんでした。
また、Pictoriaは直接的に地方創生を掲げてはいませんが、日本のアニメはすごく世界中で人気ですし、Pictoriaの事業を通してインバウンドの観光客を地方にもっと呼び寄せられる可能性はとてもあるなと思いました。自治体さんと一緒にイベントもやらせてもらってますが、Pictoriaと組むことでAIやDXで省人化をもでき、人材が足りない地方にとっても相性が良いです。なので、もともと思っていた「地方への貢献」はこの分野から携わるのも良いなと思ったのも大きかったです。
NovolBa :Pictoriaに入社して、現在はCFOとして活躍されています。入社してから、スタートアップの資金調達など銀行と異なる業務で難しさはなかったのでしょうか?
Pictoria 谷本:そうですね、かなり戸惑いました(笑)。銀行のデットファイナンスと、スタートアップのエクイティファイナンスは、考え方もやり方も違うので分からないことだらけでした。でも、転職したらすぐに「次の調達をするから」と言われて、勉強するしかなかったです。ベンチャーキャピタルの方や調達を経験したことある方に聞いて、全てがOJTだと思って進めました。
他の業務もそうだと思いますが、マニュアルや本で勉強しても結局自分でやらないとスキルにならないと思うので、やりながら覚えていくことが大事だと思います。その後、専門書を読んだりして経験や知識をより深めていく、そういう姿勢が必要だと思いました。
NovolBa :本当にその通りですね。新しく仕事を覚えることに加えて、働く環境も地銀とスタートアップでは違うと思うのですが、どうだったのでしょうか?
Pictoria 谷本:そこはあまり違和感はなかったです。スタートアップのような、少しカオスな環境の方が実は好きなのだと思います。実は、実家が旅館を経営していて、その旅館に家族も普通に住んでいたような家庭環境だったんです。色んな観光客の方が家に来ていたので、そういう環境に慣れていたのも大きかったかもしれません。
Pictoriaのカルチャー、メンバーについて
NovolBa :Pictoriaさんの会社のカルチャーや、メンバーの特徴などを教えてください。
Pictoria 谷本:会社全体として「積極的に失敗していこう」というバリューを大事にしています。すごく準備をして、大きな勝負をして失敗するとインパクトが大きいので、小さな失敗をして試していこうと考えています。例えば、面白いコンテンツを作っても当たるかどうかは分からない部分もあるので、小さく色々と試して成功に繋げたいと思っています。
メンバーは、幅広く色々な人がいて多様性があると思います。エンジニア、クリエイターもいれば、もちろん営業がバックグラウンドの人もいる。年齢層も20代から50代の方までいて、スタートアップにしては幅広く、そして世代間の差を感じることなくみんな仕事をしていると思います。
会社として社内のイベントやランチ会を開催したりしてメンバー間の親交は深めていますが、適切な距離感があるのが特徴だと思います。スタートアップによっては、メンバーの仲が良く家族的なカルチャーのところもあると思いますが、私たちは適切な距離感で、助け合う時に助け合うような大人な雰囲気で仕事をしていますね。
今後の目標
NovolBa :最後に、今後の目標について教えてください。
Pictoria 谷本:Pictoriaとしては、AIなどの技術力を活用してキャラクターを世の中に普及させて、どこでもリアルタイムで双方向のコミュニケーションできるようなキャラクターコンテンツを作っていきたいと思っています。世界で通用するようなAIのキャラクターを育てていきたいです。現在はデジタルサイネージも手がけているので、世の中至るところにそういうものが見えるように、普及させていきたいと思っています。
また自分自身としては、CFOとしてVCからの資金調達をしっかり行い、将来的にはIPOを目指して事業を拡大できればと思っています。そのためにも、この1、2年は事業会社さんと業務とか資本提携も含めて色々と自分ができることをやっていきたいと思っています。
■株式会社Pictoria
所在地:東京都港区赤坂
代表者:代表取締役CEO 明渡隼人
創業年:2017年12月
https://pictoria.co.jp